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闇世界の廃校舎(第2回/全3回)

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闇世界の廃校舎(第2回/全3回)

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第6章 第1生存者ルフナ・ロード

-PM20:00-

「おーいっ!ロード、クイーン、ジャック!居るんだったらさっさと出てこい、助けに来てやったぞ!」
 大声で呼びかけながら国頭 武尊(くにがみ・たける)たちは、校舎内の1階を探していた。
「武尊さんもうちょっと優しく呼んであげましょう。」
 シーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)が肩をすくめてため息をつく。
「これをもって帰って売り出せば、そこそこ儲けになるはずだぜ」
 捜索風景をビデオに撮りながら、猫井 又吉(ねこい・またきち)は武尊とシーリルの後ろを歩く。
「じゃあどうやって呼べばいいんだ?」
「こうやって呼ぶんです。ロードさん、クイーンさん、ジャックさんー助けに来ましたよ。無事なら返事をしてくださいー!」
 スーッと息を吸い、シーリルは大声で呼びかけた。
「(そこまででかい声で呼ばなくてもいいんじゃないか?)」
「おっと危なねぇ・・・・・・」
 声に驚いた又吉は、危うくビデオを床に落としそうになってしまう。
「あっ、武尊さん!」
 シーリルの声を聞きつけて、メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)たちが武尊の方へ駆け寄る。
「武尊ちゃんたちも行方不明の人たちを探しにきたの?」
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)がひょこっとメイベルの後ろから顔を覗かせる。
「あら・・・それ何ですの?」
 目敏くフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)は、又吉がとっさに背後に隠したビデオを見つけた。
「―・・・あぁこれか?これはだな・・・・・・この世界にきた記念映像だ!」
「そうなんですの・・・・・・」
 売ろうとしているのがばれたら不味いと思ったのか、とっさの言い訳にフィリッパは青色の瞳で睨み訝しげに見つめる。
「さぁて・・・早く行方不明者たちを探してやらないとな」
「校庭の方も探してみませんか?」
「あぁそうだな」
 武尊たちはドアを開けて校庭へ出た。



 校庭へ出ると人の手入れがされていないせいで、枯れた葉っぱが土を覆い隠していた。
「まったくどこにいやがるんだ・・・」
「もしかしたらゴーストに追われて逃げているのかもしませんね。以外とこいう場所に隠れていたりしそうですから頑張って探しましょう」
 草を掻き分けて探す武尊に、メイベルが励ますように言う。
「こいう場所ですし、一箇所にじっとしていませんわ」
「逃げ回っていたんじゃあ見つけづらいよね」
「おかげで帰りそびれちまったしな・・・・・・」
 疲れたようにため息をつくと、ガサガサと草むらを何かが移動する音が聞こえた。
「生存者が見つかったのか?それとも・・・ゴーストか?」
「さぁな・・・」
 武尊が慎重に近づいていくと、またガササッと音を立てて逃げるように離れていく。
 草の間から銀色の髪が見えた。
「おい待て!」
 獣のような速さで逃げていく人影の後を追う。
「待ってください、私たちは行方不明の人たちを探しにきたんです!」
 シーリルの声で人影はピタッと動きを止めた。
「ゴーストやないみたいどすな」
 人だということが分かって安心した生存者が、ゆっくりと草むらの中から出てきた。
「助けに来てくれはったんどすな、おおきに。おっかないゴーストに追われとったから隠れていたんどす〜」
 足首までありそうな銀色の長髪を後ろ手に一本に束ね、長身のスラッとした体型の22歳くらいの二枚目な感の青色の瞳をした若い男だった。
「で・・・君の名前は?」
「うちはルフナ・ロードと言います」
「少し怪我をしているみたいですね・・・」
「私が治してあげます」
 メイベルがルフナの腕の傷を見つけ、シーリルがヒールで癒してやる。
「おおきにお嬢はん」
「とりあえず1人見つけたことだし、美術室の方へ行こうぜ」
「そうですね、生徒さんたちがいるから安全ですし」
 彼女たちは生存者と一緒に、美術室へ向かうためドアを開けて校舎の中へ入っていった。