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リアクション
第5章 真犯人確保! そして新たなる刺客迫る! のこと
■□■1■□■
羽高 魅世瑠(はだか・みせる)と、パートナーの剣の花嫁フローレンス・モントゴメリー(ふろーれんす・もんとごめりー)、同じくパートナーのシャンバラ人ラズ・ヴィシャ(らず・う゛ぃしゃ)は、イルミンスールの食料庫に忍び込んでいた。
「イルミンスールに食料危機を引き起こしたあとの、じゃたの行方が不明じゃた! きっと食いすぎで森へ追っ払われてしまったに違いないじゃた! おいしい食べ物を奪われた恨みは恐ろしいじゃた! だから校長の附属品(=アーデルハイト)を恨んでいるに違いないじゃた! ……じゃたは銃を使えないじゃた? 関係ないじゃた! じゃたの一の下僕のオマタゲ・ソルデス(旧名グレートマシンガン)にやらせたかもしれないじゃた!」
すっかりじゃたの口調が移った魅世瑠は、憤っていたが、いつのまにかじゃたの食べ残しを食べ始める。
「魅世瑠の言ウ通りじゃた! 食べ物ノ恨み、恐ろシいじゃた!」
食いしん坊のラズは、魅世瑠に同調して憤り、イルミン食料庫のじゃたの食べ残しを平らげる。
かくして、イルミンの食糧危機が地味に再び訪れていた。
「オマエら、何してるじゃた?」
食料庫で、白髪ショートの10歳くらいの少女、じゃたが現れる。
「ああ、じゃた、ちょうどいいところにいたじゃた! 今からじゃたを探しに行くじゃた! じゃたも一緒に来るじゃた!」
「? よくわからないけどわかったじゃた」
魅世瑠のボケ発言に、素直なじゃたはついていく。
「解説するじゃた! じゃたは『ざんすかの森、じゃたの森』【前編】【後編】に登場するNPCで、ジャタの森の守り神じゃた! 詳しくはリアクション一覧から飛んでリアクションを読むじゃた!」
「……フル、誰に向かって話しているじゃた?」
フローレンスの発言を、魅世瑠がいぶかしむ。
こうして一行はジャタ族の集落に向かった。
カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)が、学生達の活躍により、独自の文化に目覚めてしまい、ロリコンとドMばかりになったジャタ族の一部族の集落で、族長オマタゲ・ソルデスを探していた。
「アーデルハイト師匠が誰かに恨みを買って殺されるとか、ありえない! きっと誰かに間違われて殺されたんだ。犯人は父親について恨みがあるんだよねぇ……。師匠の特徴は、白髪ショート、小さい、幼い容姿……。白髪ショートで、小さくて、幼い容姿で、最近父親に見えそうな男性に害を与えた人物……一人いるじゃん! きっと師匠はじゃたに間違われて殺されたんだ。襲ってきた人物はオマタゲ・ソルデス族長の息子か娘に違いない!」
そんな推理により、カレンは、ジャタ族の部族の集落にやってきていたのである。
「ねぇ、キミ息子さんか娘さんいない?」
「急にどうしたんだ? 俺は子どもはいないぞ?」
複雑な縛られ方をして放置プレイ中のオマタゲ・ソルデスが答える。
「そうか……。重要参考人としてイルミンスールに来てもらおうと思ってたんだけど……」
カレンは村を見学して帰ろうかと思っていたが、そこに、魅世瑠達がじゃたと一緒にやってきた。
「おお、じゃた! こんなところにいたじゃた!」
「いや、キミたち、今、じゃたと一緒に来たと思うんだけど……」
魅世瑠の発言に、カレンが突っ込む。
「えーとえーと、何だったっけ? そうだ、じゃた、お前の義姉妹のざんすかが何だか大変なことに巻き込まれてるんだよ! 助けに行こうぜ!」
素の口調に戻った魅世瑠に、じゃたがうなずく。
「わかったじゃた。ジャタの森を救ってくれた恩に報いるじゃた」
こうして、じゃたといっしょに、魅世瑠とフローレンスとラズとカレンは、イルミンスールに引き返した。
一方そのころ、イルミンスールの校長室では。
日堂 真宵(にちどう・まよい)が、独自の推理を展開していた。
なお、セバスチャンのゆる族カミングアウトとかは聞いていない。
「犯人はセバスチャンで間違いないわね。よく判らないけどチャンでチャンだしチャンだものね。痴情の縺れに違いないわね! 事件の定番だし。さては犯人から超ババ様がセバスチャンを無自覚に奪った事が全ての発端。年甲斐も無くド淫乱ね。良く考えたらセバスチャンは犯人じゃ無い気がしてきたけど……。多分セバスチャンを消せばなし崩し的に事件は解決ね。セバスチャンがメガババ様を弄んでた事にすれば、なんだか判らないけど全てよし! くどいぐらいしつこい繰り返しになるけど、ここはざんすかに例のパラミタ堆肥(マイルド)を再度またまたぶち撒けて一気にエネルギーチャージしてパワーアップさせ『犯人』であるセバスチャンを処理してもらうのが一番ね。ちなみにマイルドなのは、りんごと蜂蜜をブレンドする事でお子様でも喜んでいただけるようになるってアーサーから聞いた方式の結果ね」
パラミタ堆肥とは、いろんな生物の糞を発酵させたすごく臭い堆肥である。
「ざんすか、新しい堆肥よ!」
「ぎゃああああああああ!? 何しやがるざんす!?」
校内をやみくもに走り回っていたものの、手がかりが得られなかったざんすかが、校長室に戻ってきたとたん、パラミタ堆肥(マイルド)を頭からかけられる。
「これでセバスチャン殺人事件及び殺人未遂事件の犯人はざんすかで決まり! 私のアリバイはバッチリだし、元々動機もあるのは皆も周知の事実だから疑われる事も……あら?」
「ふざけんなざんす!! ざんすかラリアットネクスト!!」
「きゃあああああああああああああああああああああああ!?」
真宵は、ざんすかの改良されたラリアットで校長室の壁を突き破り、お星様になる。
真宵のパートナーの吸血鬼アーサー・レイス(あーさー・れいす)が、巨大な鍋にお湯をはって、パラミタ堆肥(マイルド)まみれのざんすかを入れる。
「さあ、ざんすか、お風呂ですよー」
「ひどい目にあったざんす!!」
ざんすかは素直に鍋にダイブする。ざんすかが出た後、アーサーは、鍋に手を加え、料理を作ると、満面の笑みを浮かべて、アーデルハイトに向き直る。
「犯人がチャーハンを返せと言ったと聞きました。食べ物の恨みが深いのは種族歴史を問わず共通の事項なのデース。ここは学び舎、知らず知らずのうちに誰かの食べ物をうっかり取ってしまう展開は王道、仕方ないですね。アーデルハイトカレー風呂入浴風魔女カレーを用意してかわりに差し出せば確実に問題は解決します。お肌もすべすべのぷりんぷりん余計な体脂肪も程よく燃えるダイエット効果もバッチリですよ。さぁアーデルハイト様、ざばーんとご入浴下サーイ! 下拵えにざんすかを41度の低温でじっくりコトコト煮込む事で出た『ザンスカールの森の出汁スープ』が隠し味なのですよー? ほーら皆さんも物凄い期待してるアーンド喜んでいますよ」
カレー大好きなアーサーは善意からの行動だったが、アーデルハイトがキレる。
「誰が入るかー!! だいたい、ざんすか汁はパラミタ堆肥(マイルド)を落としたお湯じゃろうが!!」
「カレーは究極の食べ物、王者の食べ物なんですよー!!」
アーサーは叫びつつ、お星様になった。
そんな中、譲葉 大和(ゆずりは・やまと)が、エリザベート、アーデルハイト、ざんすかに提案する。
「アーデルハイト様を護る秘策があるので協力してください。秘策とは、アーデルハイト様と分からないようにと変装をすることです!」
ネコミミゴスロリミニスカアイドル(尻尾付き)の衣装を用意し、大和が言う。
ウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)も、犯人に攻撃をためらわせるため、パートナーの吸血鬼シルヴィット・ソレスター(しるう゛ぃっと・それすたー)、同じくパートナーのアリスミーツェ・ヴァイトリング(みーつぇ・う゛ぁいとりんぐ)を連れてきて、大勢のロリショタっ子にアーデルハイトの格好をさせるのに加わる。
「木を隠すなら森の中……ロリっ子を隠すならばロリショタっ子の中! というわけでロリっ子の皆さん、……ていうかもうむしろざんすかたん! 協力してくれるよな!?」
「面白そうですぅ。だんだん退屈になっていたところですぅ」
「本当にそんな作戦、うまく行くんじゃろうな……」
「ちょうど着替えたかったからミーもその服着るざんす!」
こうして、なし崩し的にアイドルユニットが結成された。
プロデューサーになった大和が、ノリノリで言う。
「いいですか? 特徴的な語尾や格好がアーデルハイトという人物を記号化してしまうのです! なので、みんな一様に同じ格好をして、語尾に『にゃん♪』とつける事で個性を消し、誰がアーデルハイト様なのか分からないようにすればいいんです!」
そこに、大和のパートナーの吸血鬼九ノ尾 忍(ここのび・しのぶ)が、自分も着替えてやってくる。
なお、忍は全員の着替えを担当していた。
「ぬしらは4001歳のわしより年上かも知れんが、ケモノミミ暦はわしの方が先輩なんだにゃん♪ しっかりと言う事を聞くんだにゃん♪」
「なんだかバカっぽいですぅにゃん♪」
「こんなことして意味あるのかのうにゃん♪」
「どうしてこんなことになったざんすにゃん♪」
「イルミンスールが誇る美幼女アイドルグループ『イルにゃんスール』の誕生です!」
大和が高らかに宣言する。
そこに、魅世瑠たちとカレンがじゃたを連れてきたため、一緒にユニット結成となった。
「オマエらいったい何やってるじゃたにゃん♪」
「ユーが言うなざんすにゃん♪」
「えぇい! 聞き分けの無いアイドル達です……見て下さい、貴方達を見る世の男子生徒たちの熱い視線を! ぬっこぬこにされたヘヴン顔を!」
大和の宣言どおり、ウィルネストはめちゃくちゃ喜んでいた。
「イルミンの妖精・歌姫ざんすかたんがまた見れるなんて俺嬉しいぜ! まさかの超魔大樹シンデレラの出番もあったなんて!」
しかし、大和の発言に、シルヴィットが思いっきり頭を踏みつけてみせる。
「チガイますよねー? 大和? 命令じゃなくお願いしないといけませんですよー?」
「ぐふっ、な、何をするのですか……」
「カワイイはセイギ! 何をしても許されるのでーす! あいどるぐるーぷってタノシイですね!」
忍の演技指導をノリノリで受けていたシルヴィットは、大和の頭に足を乗せたまま、決めポーズなどしていた。
「キラッ★」
「シルヴィット、元気、だねー」
ミーツェも、一応、忍の指導を受けていたが、微妙に飽きはじめていた。
「ウィールー? このあそび、おわったら、ゴハンです?」
「ああ、はいはい。後でな。……ざんすかたん今食べたいものはー? 飲物はいるー?」
ウィルネストは、かいがいしくざんすかの世話を焼く。
「ミーツェもお腹すきましたですー。ねぇ、これ、食べていいです?」
「こ、こらー、にゃん♪ いいわけないじゃろうがにゃん♪」
「だって、これ、たんぱく質です。ゴハンとおなじですー」
床の死体を指差して言うミーツェに、アーデルハイトが語尾の制約を守りながら言う。
いろいろ必死であった。
「あーもー、あとでごはんにするから! いろいろヤバい発言はやめろー!」
ウィルネストに制止され、ミーツェはようやくうなずく。
かくして、猫耳アーデルハイトの集団が、アーデルハイト、エリザベート、ざんすか、じゃた、忍、シルヴィット、ミーツェのメンバーで結成された。
「それでは聞いてほしいにゃん♪ イルにゃんスールのデビュー曲、『世界樹間飛行』だにゃん♪……キラッ☆」
忍の言葉によって、コンサートが開始する。
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