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黒羊郷探訪(第2回/全3回)

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黒羊郷探訪(第2回/全3回)

リアクション


episode メテオライトシャワー

 その魔法は、危険だ。
 メゾカーラ・ブリヒヤ、三つの村を滅ぼした呪われた魔導師と彼が呼ばれるのも、今やヒラニプラには彼しかその使い手は残っていないという禁呪を所有す故。――メテオライトシャワー。隕石群を降り注がせる驚異的な破壊力を持つ、その魔法は危険だ。
 今、メゾカーラはバンダロハムの最も高い丘に立つ。静かに目を閉じると、詠唱に入る。
 やがて……西の空の一角が朱を帯び、炎を纏った隕石が、境界に陣取る教導団の部隊に衝突する。
 数が100だろうが200だろうが、関係無い。衝撃が、辺り一帯を飲み込み、炎の海と化す。
 教導団の部隊は、全滅した。
 ……
 そんな光景を浮かべて、メゾカーラはニヤリ、と笑った。
 詠唱には時間を要す。
 だが、ここまでやって来れる者は居まいよ。
「メゾカーラ」
「……何故だ、貴殿……」
 メゾカーラと向かい合ったのは、騎士システィーナ
 その右手には、妖しく輝く刀・村雨丸。
「貴殿。騎士ではないな……!
 いや、騎士システィーナ。偽りの姿であったか。……斬れ」
 しかし、システィーナは、左手をメゾカーラの方へ差し出した。
「メゾカーラ・ブリヒヤ……呪われた魔導師。
 だけど……」
「そうか、貴殿……地球の者であったか……」
 獣人の血判だ。
「……。メゾカーラ。……私は、宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)
 私と来れば、きっと全く違う生き方や生活だって、できるわ」
「宇都宮、祥子。……残念だ。
 一度開始したこの禁呪の詠唱はもう止めることは不可能なのだ。
 俺を斬る以外にはな」
「! ……そうだったの、……」
「俺はこれで三つの村を滅ぼした。
 ……。
 降り注ぐ隕石に逃げ惑う愚民どもが、炎の渦に村ごと沈んでいくのは、愉快な光景であったなあ。
 跡には何も残らなかったよ。あの光景を今一度、この目で見たかったものぞ。
 俺は呪われた魔導師。さあ、斬るがよかろう、宇都宮」
「……。そう、……わかったわ。
 さよなら、メゾカーラ」
 宇都宮が妖刀を振るう。
 魔導師の首筋に、氷の一閃が走った。



episode 火事の後で

 谷間で行われた激戦。
 あのとき、山鬼の家で、炎のかたまりとして現れ、山鬼頭に突きつけたカービンを、躊躇いなく放った男。
 ジェイコブ・バウアー(じぇいこぶ・ばうあー)であった。
 その様子を……火事に集まった谷間の住人達と眺めていたのは、鬼の牢獄亭から駆け付けたサミュエル・ハワード(さみゅえる・はわーど)と、レーヂエ
 ど、っと倒れ伏した山鬼の足もとから、霧島らを助け出し、治療に駆け付けたロザリンドに後を任せることになった。
 逃げ惑う山鬼に、香取隊は徹底的な掃討を開始した。
「レーヂエは戦いのひと。戦わなくてもイイノ?」
「……。ああ。サミュ。
 この山鬼は滅ぶことになるな。戦の世とは、……。寒いな。サミュ、帰ろう」
「レーヂエ……」
 なんだカ、レーヂエ元気なさそウ。
 ゆっくり調子を戻していって戦場復帰してほしイ。
 でもレーヂエ。もしかしたらこのまま隊長には戻れないのかもしれナイ……
 それでもいいのかもしれない。レーヂエは死ぬ場所じゃなくて生きる場所を探してほシイ。……
 サミュエルは、背中を丸めて歩くレーヂエを後ろから見つめる。
 今回は絶対怪我ナンテさせないし俺が必ず守ってあげる! ……最後まで付き合うヨ!
 言葉では、言えないけれど。
「サミュ。どうしたのだ。俺の袖を引っ張るでないぞ?」
 引退後は俺の家にオイデ!(←



 山鬼の家が炎に包まれる前に、なんとか財宝を運び出していたのは……もちろん、国頭 武尊(くにがみ・たける)。とその仲間。見事目的を達成した。
「半分は、燃えちまったか……惜しいな。しかしこれだけの財宝をオレ達で独り占めできるなら……」
 ところで、半分は、燃えていない。
 トレジャーセンスで財宝の在り処を探知した皇甫配下のうんちょう タン(うんちょう・たん)伽羅に知らせると連携プレーで残る財宝を運び出しに向かった。
 その銭ゲバっぷりに嘆息しつつも、皇甫嵩(こうほ・すう)は周囲の警戒に務めた。
 これによって、教導団側も師団資金を得ることができた。
 香取と応酬の後、皇甫は……これを龍雷連隊の浪人給与に充てることに同意。
 伽羅は、うんちょうと嵩とを護衛に付け、連隊本部に赴くことになる。
「パルボン殿のご高配によりぃ、皆さんの給料をお持ちしましたぁ。
 全額連隊長殿にお預けしますのでぇ、連隊長殿から受け取って下さいねぇ」
 傍らに侍る嵩、
「兵の戦功を判断するのも恩賞を分配するのも部隊長の責務と器量のうち。
 部下の向背はこの一点にかかっておりますぞ」
「岩造様!」「岩造様、おおお。財宝でござる」
「ありがたく受けとらねばならんな。さて、これをどう使っていくかだ」



episode サミュエルとレーヂエの旅

 三日月湖周辺で、まだ戦のごたごたや、ごたごたを巡る諸々が続くだろう中、サミュエルとレーヂエは、全く別の道を行くことになる。
「ねぇねぇレーヂエ! 今日は違う宿に泊まってみようヨ」
 サミュエルは……レーヂエのことでなんだかいっぱいだった。
 今のレーヂエを戦乱に巻かせたくない。セイバーズのとこ行ったら無理しちゃいそうだし……。(レーゼマンも心配だけど。)
 どこに行っても、教導団ってバレるとアレだから……
 レーヂエにネコ耳でもつけておこうカ。
 ぽん。
「サミュ。これはなんだ……」
 獣人ってことで。
 俺は犬耳で。ぽん。
「うん。イイ。あったかいネ」
 外は、雪がちらつき始めている。
「そうだ。こうなれば、いっそ騎凛殿のあとでも追ってみるか。
 俺はどのみちシナリオガイドでは療養してることになってるから、軍律違反もないだろうし……まあ、違反ばかりしてきた俺だがな。
 そう言えば温泉で、風次郎が騎凛殿のことを聞いてきたな。俺は、ハルモニアに寄るかも知れん……と言ったのだった。
 ハルモニアか。懐かしい。あの頃俺も若かった(?)。
 サミュ、行くか。風次郎のように気ままな感じもいいかも知れぬな。なんだか、ワクワクしてきたぞ。ははは」
「レーヂエェ!! 行こウ!」
「い、いたいぞ。サミュ……」


 さて、三日月湖を巡る教導団と黒羊軍のその後。
 全く別の道から、あるいはどこかでその道を交差させつつ、黒羊郷へ向かう者。そしてそこで行われようとしている事とは。
 教導団の、それぞれの命運は。いかに。


 ――to be continued...




次回予告


 戦部のパートナー、【実況役】リース・バーロット(りーす・ばーろっと)が発表する。
「今回の、音信不通者……相変わらず、ミヒャエル・ゲルデラー博士(みひゃえる・げるでらー)……。そのパートナーのアマーリエ・ホーエンハイム(あまーりえ・ほーえんはいむ)ロドリーゴ・ボルジア(ろどりーご・ぼるじあ)のお三方ですわ。ただ、彼らに似た者をバンダロハムで見た、という声もありますわ。食い詰め集団の中にいた、という声もあり、黒羊軍にいた、という声もあり……真相定かでありませんが、そうなれば博士造反、の可能性……いえ、私はただの実況役ですので、そこまでは。失礼致しましたわ」
 他にも、様々の情報が、本陣に入ってくる。
 行方不明者、戦死者、逃亡者、裏切者、……
 どれが本当で、どれが偽りなのか、把握もままならない状況。
 そんな中、黒羊側から、使者が訪れる。
 使者の語ったことは……
 教導団のファルコン・ナイト(ふぁるこん・ないと)オルキス・アダマース(おるきす・あだまーす)を黒羊軍が捕えている。という。
 そこで、黒羊側が持ちかけてきたのは……
 イレブンとレーゼマンの間にぐるぐる巻きで引っさげられているこの男……黒羊の将ボテインとの、人質交換であった。
 本営に、松平 岩造(まつだいら・がんぞう)天霊院 華嵐(てんりょういん・からん)が呼ばれる。
 教導団第四師団は、三日月湖の浪人らを雇い入れることになる。
 浪人らは、最前線で奮闘した岩造と、後方で持ちこたえさせたカルラすなわち華嵐のおかげで、敵に討たれ減りはしたものの、およそ100が無事残ることとなったのだ。
「浪人達も俺の大切な仲間だ!!」岩造は叫ぶ。
 だが、お金のない第四師団に、この二人は食い詰め浪人を勝手に組み入れたことの後の処理を問われることになるのだが……無論、その前に。
 囚われのファルコンとオルキス……
 この事態をどうするか。
 その決断を問われることになった。
 二人のパートナーも、それぞれのパートナー2が囚われたこと、そして主の心痛を思い、心配そうに見つめるが……
 フェイト・シュタール(ふぇいと・しゅたーる)は隣の獣人天霊院 豹華(てんりょういん・ひょうか)を見る。
「あら? 確か、戦場でお会いしませんでしたか?」「あ、ああ。……フェイト。いずれ恩は返させてもらう」

 三日月湖を巡る戦いの顛末についても、語られるべきことがまだ残っていよう。
 また、後代のある書物が、三日月湖の歴史にその名を記すことになった「龍雷来来」、そして「黄金の鷲」。そこに書かれていたこととは……
 更に、ヒラニプラ戦記に記されるヒラニプラ南部勢力とは。あと、そこにある「ひろし率いる王羊軍」、「みなみおみ120万石」、等というのは、誤植なのか? それとも?
 次回、明らかになる。筈


☆今夜のオマケ
「もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふここで会ったのも何かの縁。せっかくなのでご一緒に。もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ至ってまともですよ、私。もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ戦闘?んー、皆がんばれー。え?働け?やだー、もふもふしたいーもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ隊長?御凪様でいいですよー?もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ何ですか。機関銃、喰らいたいですか?」(シャーロット
「もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ」(桐生ひな(きりゅう・ひな)

 麻上 翼(まがみ・つばさ)がベースを弾き始める。オクターブで跳ぶ。跳ねる。
「歌わなきゃダメかなぁ」
 月島、歌っているうちにノリノリで踊り始めるが、次の瞬間。

☆今夜のオカズ
「月島かくごしろにゃ」「えいっえいっにゃ」「にゃっにゃっ♪」
「皆で私のこと弄らないでぇー(乙女モード)」

! 垂ってば!
 あ、あ、っああ」
 おっぱいとか、お   。
「……」「……」
 隣の女風呂から聞こえてくる声を聞きながら、感慨深そうなユウルイス
 そこに、三厳ルゥが普通に入ってきました。お風呂なので、普通は裸です。
 ルイス(鼻血)
 ユウ、「ルイスがいるのですから」(余裕)
「あ、ちょっとユウさん……? 鼻血防止のアクション出しましたね……ひ、卑怯ですよ、男なら鼻血出しましょうよ鼻血を!!」
 裸と書きましたが、修正指示が出たので、タオルを巻いている、と修正致します。


 さて、いよいよ黒羊郷入りを果たす騎凛一行。
 カナリーは、マリーの牡羊のペンダントが、いつの間にか黒くなっていることに気付いた。
「牡羊、……黒羊……? も、もしやこれは!」

 ――次回、最終回。


担当マスターより

▼担当マスター

今唯ケンタロウ

▼マスターコメント

 ご参加頂いた皆様。公開予定より遅れること三日、「黒羊郷探訪」の第2回ようやくお届けすることができました。
 お待たせしてしまいました。申し訳御座いません。
 25日から、゛空京放送局゛が始まっております。そちらにも、ニュースの方に他のマスター様と一緒にコメントを寄せさせて頂いております。御覧になってみてください。
 そして、扉絵に登場した黒い鎧を纏った女性。実は、リアクション中では今回登場までいかなかったのですが、この女性については、異端の間で【しるしの女】と呼ばれている。とだけここでは触れておきます。それと空京放送局での情報や、今までのシナリオの流れからすると……何か見えてくるかも知れません。もちろん今後のキーとなってきます。

 今回もシナリオガイドの記述についての補足ですが、
 湖賊の砦(本拠地)は、バンダロハム東の沼地から川になる辺りにあったことになります。この川に湖賊は船団を持っています。湖賊は今後も重要な勢力の一つとなってきます。

 今回のアクションを読んでの雑感ですが、面白いところは、やっぱり続きものシナリオですと、誰が注目されたかというようなのが、次の回に生きてきて、GAを組んでいるわけでなくても他の方のアクションから例えば今回だったら戦部小次郎さんや龍雷連隊や自警団・黄金の鷲や香取さんやレーゼさんなどなど、に対しそれぞれの思いや手段で何らかの手を差し伸べていたりということがあること。こうして物語が膨らんでいくというのは、リアクションが豊かになっているということでもあるのだな? と思いました。
 それから、ただ戦って敵を倒していくというのではなく、そこに様々の思惑やら感情やら義憤やらが絡んでくるということですね。同じ教導団のシナリオでも、いつもは軍律を守り作戦を遂行している軍人が、第四師団シナリオでは、何かしらの義や情に動かされて思わぬ方向へ動く、などとというのは面白い部分ではないかなと思うのです。普通なら軍法会議もの? というのもとりあえず「そこは第四師団だから」ということで……。
 あとは部隊も増えてきて、いきなり窮地に立っていたり様々な苦難の上にある部隊もありますが、個人同様に部隊も是非成長する姿を見れたらなと思います(劉備や曹操の軍だって最初の頃は壊滅の苦難にも曝されながら大きくなっていったわけですからね)。第四師団シナリオでは今後、部隊での戦いが重要になってくるパートもある予定。もちろん、ソロも大歓迎なわけで、リアクションを見ればわかるように軍同士の戦いの中でもソロで光る活躍をされている方もいるわけです。今、その両方を絡めて展開できるシナリオを考えています。
 他……偽名で活動する方数名。とても効果的に使用している人もいます。ただ偽名に関しては、基本的には後にこの人だったのか、と読者にはわかるのは前提になります。使い方次第では渋い活躍も派手な活躍もできそうですが、本当に使う必要性があるかなど考慮の上にしてくださいね。そのあたりは調整もさせて頂きます。

 さて「黒羊郷探訪」としては、次回で最終回になります。
 その他諸々色々最終回にて記させて頂きます。とくに時間軸・空間軸について整理したものを提示したいのですが、……次回に。(アクションにも関わってくるかも知れませんが、全体を正確に把握しようとするとかなり大変なことになってると思います。こちらで調整させて頂いている部分や、またどうしてもつじつまの合わないのも若干無理につなげている部分もありますので、ご了承ください。)
 今回は個別コメントはごめんなさい基本的に書いていないものと思ってください。かなり難しい位置や中にはとんでもない状況にある方もいらっしゃると思いますが、次回シナリオガイドや今回までのリアクションを参考に、最終回の行動を決めてください。今回個別コメントはある場合、主に称号や招待枠のお知らせになっています。部隊・GAに送っている場合、部隊長の方に送らせて頂きました。あとはまあほんのアドバイス的なこととかを書いた人もちらほらです、何か参考にして頂ければ。

 最終回、公開予定は、……未。たぶん1月ですが。
 シナリオのお知らせやリアクションの雑感等を書けるかどうかわかりませんが「Out of Scrap Basket*今唯ケンタロウBlog」も一応、あります。
 では最終回も皆様のご参加お待ち致しております。(今唯)