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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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第1章 豪華な正月料理を食べるために奪い合え! 空京戦場スーパー

-12月30日 AM0:10-

 空京の24時間スーパーが出血大サービスで、お正月用の食品を大安売りしていると聞きつけ、蕎麦や豪勢な御節を食べるために生徒たちが買出しに来ていた。
「どこに目当ての食材があるか、位置を把握しとかねぇとな。じゃないとおばさんどもに、全部持ってちまう」
 国頭 武尊(くにがみ・たける)はメモ用紙を手に、スーパー内の食材の位置を書き込む。
 ターゲットの品がどこにあるか知っておかないと、あっとゆう間になくなってしまうからだ。
「鮮魚売り場はこの辺、卵は2つ向こうの棚にあるのか。よし、明日に備えて今日はもう早く寝るぜ!」
 家に戻ると武尊は戦いに備え、すぐ眠ってしまった。

-AM5:00-

「むっ・・・もう朝か・・・。さぁてチラシチラシっと」
 武尊は目覚まし時計を止め、ポストにスーパーのチラシを取りに行く。
「今日の目玉商品は・・・天然の鯛が半額か!こりゃあ安いぜ。ぜってぇ手に入れねぇとな」
 着替えを済ませるとすぐさま空京スーパーへ向かった。
「うわっ結構いやがるぜ・・・」
 そこには数時間前から中で早くも何百人ものおばさんたちが待機している。
 目を獣のようにギラつかせ、狙っている品が運ばれてくるのを待ち構えていた。
 入り口では協力者の生徒たちが、商品を乗せたトラックがくる時をじっと見張ってる。
「そろそろトラックが来ますね」
 ルイ・フリード(るい・ふりーど)は携帯電話で時間を確認した。
「取られないように注意するのですよ」
「分かっているダディ。(しかし食材の買出しに来ただけで、この緊張感は何なんだ。まるで戦場へ特攻する戦士だな)」
 ルイたちの表情を見上げてリア・リム(りあ・りむ)は異様な緊張感に飲まれそうになる。
「決戦の時は来た・・・クロセル、シャーミアン、気合を入れるのだ!」
 豪華な料理を食べるためにマナ・ウィンスレット(まな・うぃんすれっと)は食欲という名の執念を燃やす。
「お任せください!不肖シャーミアン、身命を賭して必ずやマナ様ご所望の品を揃えてご覧にいれます」
 食材を死守してみせるとシャーミアン・ロウ(しゃーみあん・ろう)が声に力を込める。
「クロセル・・・万が一、それがしが確保した食材を一つでも奪われようものなら・・・覚悟いたせよ?」
 彼女はギロリとクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)を見上げて言う。
「安心して任せてくださいっ、オバチャンパワーなんかに負けません!」
 グッと拳を握りポーズをとる。
「決戦前にキーホルダーのおみくじで食材をとれるか占ってみよう」
 まず先にマナが振ってみる。
「くぅっ凶か・・・」
「本当は年越してからのほうが・・・とりあえず俺も。あ、中吉が出ました」
「お任せください、クロセルよりももっといいやつを引きます。このシャーミアンがマナ様の幸運を引き寄せますっ。や、やりましたマナ様!!」
 マナに運気を与えようと簡易おみくじをやってみると、超最大吉を引いた。
「でかした、シャーミアンの強運で食材はいただたも同然っ」
「―・・・やっと来ましたね。みなさん!生きてまたこの場所に集まりましょう!」
 トラックがやってきたことをルイはクロセルたちに知らせた。
「散開!!」
 ルイの声で生徒たちはいっせいにスーパーのという名の戦場中へ駆けていく。



「こちら今からタイムセールを初めまぁああす!」
 鮮魚コーナーでブリが10分の1の価格で売ると、店員がメガホンを手に叫ぶ。
「何ぃいっ、天然のブランド寒ブリが10分の1の値段・・・だと!?」
 超低価格にマナは青色の双眸を光らせ、200m先にいる定員の声を食欲魔神のセンサーで耳にキャッチする。
「走るのだシャーミアン!」
「必ずゲットしてみせますっ」
「マナ様のためにとってまいります!」
「やっやばい、オバチャンたち足速すぎですよぉお」
 買い物カゴを確保している間に餌へ群がる猛獣の如く、鮮魚コーナーへ走るおばさんたちの群れに追い越されてしまう。
「くぅっ追いつけない・・・このままではマナ様に美味しいブリを食べさせられない。仕方あるまい・・・クロセル、踏み台となれぇええ!」
「ふぎゅぅっ」
 だむっとクロセルの頭を踏み台にし、シャーミアンがブリをガシッィイと掴む。
「大物をゲットしましたマナ様!―・・・あぁっ何をする!?離せぇえ、その魚はそれがしたちの物だっ」
「それ私のよ、よこしなさい!」
「いいえ私のよぉお」
 おばさんたちにブリの頭を掴まれ、激しい引っ張り合いになる。
「マナ様にお渡しする前に千切れて傷物になってしまう、それがしはこの戦利品を無傷でお届けせねばならないのに・・・。手を離せぇえ、これはマナ様のものだぁああ!!」
 がしっと両手で魚を掴み、振り払おうとブンブン振り回す。
 ドミノ倒しのようにおばさんたちが倒れていく。
「やりましたマナ様、さぁお受け取りください!」
 買い物カゴを空飛ぶ箒にぶら下げているマナへ投げ渡す。
「うぅおばさんが群がってマグロが取れない。どけ、どけぇえ・・・ぁああぁぁあっ」
 ドラゴンアーツのような恐ろしいパワーで突き飛ばされたシャーミアンは、店内をコロコロと転がってしまう。
「そのマグロの切り身をそれがしによこすのだっ」
 ゲットしたパックのカドは掴み合いになり、無残に欠けてしまった。
「むむっ、あっちに特売の竹の子があるようだ。これはすぐ確保しなければなくなりそうなのだよ」
 マナは食材を運びながら情報攪乱によって狙っている食材からおばさんどもを引き離す。
 その隙にシャーミアンは鶏肉以外の品を全て手に入れる。
「事前に調べておいた鶏肉の詰め放題はここか。これも買い物リストに入っていたな」
 袋の中に鶏肉をぎゅうぎゅう押し込む。
「全て確保しましたマナ様!」
「―・・・シャーミアン」
「はい、なんでしょう」
「この愚か者めがぁあっ」
 突然マナに怒鳴りつけられ、なぜ叱られたか分からない彼女は目を丸くする。
「まだこんなに隙間があるではないか。詰め直すのだ!袋をこう引き伸ばせば、まだまだ入る!!」
「す、すみませんマナ様っ」
 詰め放題の袋を返された彼女は、ぎゅぅうっと袋を伸ばす。
「もっとだ・・・もっと詰めるのだ!そこの隙間にまだ入るっ、隙間を絶対作ってはならないのだぁあ!!」
 箒に乗り上からメラメラと食への執念のオーラを発生させる。
「は・・・はいマナ様!」
 常人が詰める量の4倍ほど袋へ押し込んだ。
「ふむ・・・・・・いいだろう。これくらいあれば沢山作れそうだ」
 早く料理が食べたいとマナは鶏肉をじっと見つめる。
 レジの近くで待機しているクロセルが持っているカゴの中に大量の食材を入れる。
 会計をしようとレジの前に並んでいると突然、背後からぬぅっと何者かが買い物カゴへ手を伸ばす。
 大トロをおばさんに奪われそうになる。
「そうはさせませんっ」
 食材を狙う敵の腕をドラゴンアーツのパワーを込めて殴りつけた。
「痛いわね、何するのよ!それ、私のカゴからとったでしょう、返してよ!!」
「へ、ぇええ!?」
 言いがかりをつけ、クロセルから奪い取ろうとする。
「これは俺たちが確保したヤツです、渡しませんっ。―・・・ちょっ、何するんですか、やめ・・・やめてください!」
 特上の大トロの存在に気づいた買い物客がいっせいに群がる。
「あわわっ、ヒーローの仮面が外れてしまいます!顔を・・・素顔を見られてはっ。ぎゃぁあああ゛!!」
 制服や仮面を掴まれ、ボロボロの状態になってしまう。
「何をしているクロセル、早くそれをこっちに渡すのだ!」
 ようやく会計の順番がまわり、クロセルはシャーミアンに大トロを投げ渡し力尽きた。
「しかと受け取ったぞ。ゆっくり休むといい・・・」
 彼が死守した品をキャッチしたシャーミアンは、マナに手渡し会計を済ませた。



「うむ、納得した僕も気合を入れなおすか。ルイに頼まれた大型の買い物カゴは死守するよ!」
 真剣に買い物するおばさんたちの姿にリムは気合を入れ直す。
「まず餅と醤油を確保しましょうか。えっとお餅は・・・あぁっ、もう残りが!」
 ガシイイッと餅の入った袋を掴み、おばさん連中と奪い合いになる。
「先に取ったんだから離しなさいよっ」
「いえ、ワタシが先に袋を掴みました」
「私よ・・・うちには食べ盛りの子供たちが沢山いるのよぉお」
「こちらにも食欲旺盛な生徒たちが大勢待っています!」
 ビリリリィイッ。
 餅の袋が伸ばされ、引き千切れそうになってしまう。
「ちょっとお客さんたち、商品の袋を千切らないでくださいよ!」
 店員に注意されてしまい、おばさんが一瞬手を緩めた隙に奪い取った。
「これはワタシがいただきました!」
「くぅううぅ・・・悔しいぃいいっ、私の餅返せぇええー!!」
 奪われないよう逃げ去っていくルイに向かって、戦いに敗れた女が大声で叫ぶ。
「次はお醤油ですね・・・これくらいあれば足りるでしょう。それとネギ・・・はっ、またあのおばさんが・・・・・・」
「また会ったわね・・・・・・家で子供たちが待っているのよ、絶対に渡してなるものですか!」
 同時にネギを両手で掴み、綱引きのように引っ張り合う。
「あぁっ手から滑っていく・・・!」
 ツルツルしたネギがルイの手から滑り抜けてしまった。
「やったわ、最後の1本」
「ぅう・・・ワタシとしたことが取られてしまうなんて・・・」
 凄まじい執念のパワーによって最後のネギが奪われる。
「―・・・ダディ・・・・・・やつらが来る!」
 食材を集められなかった女たちがカゴを抱えたリムの方へ猛スピードで迫る。
 取られてたまるかと、レジがある場所へ必死な形相で駆けていく。
「はぁ・・・・・・やっとついた」
 数分間も追いかけ回され、レジにたどりついたリムは会計を済ませた。



「凄い人の波ですね・・・」
「わたしくがおば様がたからお守りします!」
 目的の材料を手に入れるために神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)のために、ミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)がなぎ倒すと宣言する。
「お嬢様の為に道をおつくりいたしますわっ、いざ・・・!」
 有栖のために盾となって進む。
「ちょっと邪魔よあんた、割り込まないで!」
「きゃぁあっ」
 おばさんにドスンッと突き飛ばされ、転びそうになってしまう。
「―・・・お、お嬢様のために負けるわけには・・・」
 突き飛ばされても怯まず、目的の品を得るために進んでいく。
「えぇっと、これとこれ・・・イクラもいりますね」
 彼女が激しい死闘を繰り広げている間に、有栖はゆっくりと食材を選ぶ。
「これで全部そろいました」
「お役に立てたようでよかったですわ・・・」
 退かせようと襲いかかるおばさんたちから護りきったミルフィはすでにボロボロだった。



「栗の詰め放題か・・・栗金団にちょうどいいな。怪我しないうちに退きなおばさん!」
 鬼眼の睨み殺すような眼光を武尊が怯ませようと店内の客に向かって放つ。
 安売りの奪い合いに参加している女たちにはまったく効かなかった。
「ちぃっ、こうなったら詰めるだけ詰めてやるぜ」
 商品ケースに入っている栗を握り、ぎゅうぎゅう押し込んで詰めていく。
「さっきからかなりの量を詰めてるはずなんだが・・・ぁあっ!?取りやなだったな、それなら・・・」
 袋に詰めた栗を横から奪われているのに気づき、怒りのあまりに武尊は奪い返そうと相手の袋に手を突っ込む。
「返しなさいよ、それ私がさっき詰めたのよ!」
「ざけんじゃねぇえっ、俺がケースから取ったんだ!」
 双方激しい争奪戦を繰り広げる。
「は〜っははは、俺の勝ちだぜ。あばよおばさん!さぁて次は・・・」
 卵売り場へ向かい、半額以下になっている卵のケースに手をかける。
 同時に掴んだ主婦に睨みつけた。
「その手を離しな・・・」
「離すのはあんたのほうよ」
「いい度胸だぜっ」
「こういうのはね・・・どんな手を使っても奪ったもの勝ちなのよぉお」
 少しでも安くいい品を手に入れたい執着心のパワーを込め、彼の腕を力いっぱい殴りつけた。
「―・・・そんなことしても離さねぇえ・・・離せよオラァアア!」
 武尊は力任せに卵の入ったパックを奪う。
 猛獣のようなおばさんに殴られながらも、卵に続けて鯛をゲットした。
 彼と食材争奪戦に負けた悔しがる女たちの声が店内に響き渡る。
「皆さん無事・・・じゃない人もいますが・・・、なんとか集めましたね・・・・・・」
 武尊やマナたちの顔を順番に見て、無事じゃないクロセルの姿を見てルイは哀れむように言う。
 会計を済ませ武尊たちは集めた食材を分け合う。
 気絶しているクロセルを無理やり起こし、マナと共に正月バトルの会場へ向かった。