校長室
【十二の星の華】剣の花嫁・抹殺計画!(第3回/全3回)
リアクション公開中!
第三章 タタミカケル駆ける イルミンスールの森の中、巨大な針葉樹が密集した林の奥。針葉樹に囲まれた台地にて、パッフェルの一行は合流を果たした。パッフェルと共に襲撃に参加した者、そして人質交換の場で女王器の受け取りと警護をした者たちだ。 「姫さん、女王器、持ってきたぜ」 先に到着していたパッフェルに、トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)が笑みながら言うと、ゆっくりと歩み出した者がいた。グレン・アディール(ぐれん・あでぃーる)とソニア・アディール(そにあ・あでぃーる)である。 「グレン…」 ソニアは心配そうな顔で女王器をグレンに手渡した。グレンは真っ直ぐにソニアを見つめると、その視線をパッフェルへと突き刺した。 「約束通り、こうして女王器を確保した」 「…… 見せて」 「その前に、水晶化の解除方法を教えてもらおうか。それと引き換えだ」 「てめぇ!! 何言ってやがる!!」 トライブがグレンに詰め寄ったが、グレンは静かにハンドガンをトライブに向けた。 「てめぇ……」 「俺は本気だ。さぁ、答えろ! パッフェル!!」 ソニアもライトブレードを構えて、今にも飛び出そうとしていた。 「がっ!!」 呻き声が、林の中から聞こえてきた。その声に、誰もが体に力を込めたが、木々の間から現れた鬼崎 朔(きざき・さく)は葉月 ショウ(はづき・しょう)を突き出した。気を失っている緋山 政敏(ひやま・まさとし)を尼崎 里也(あまがさき・りや)が引いて現れた。 「尾けられていたぞ」 「よく見つけたな、鬼崎、さすがだぜ」 強盗 ヘル(ごうとう・へる)は笑みと共に朔を迎えたが、言葉は切らずに続けていった。 「パッフェルの護衛についていたんだろ、随分遅かったんだな」 「あぁ、こいつらの様に先走った奴を止めてたんだ。それより、これは一体…」 朔が指したのはトライブに銃を向けているグレンの事であった。ヘルが口を開こうとした時、桐生 円(きりゅう・まどか)が妖しく笑み叫んだ。 「ほぅら、来たよ!!」 上空から雷が降り落ちてきた。デーゲンハルト・スペイデル(でーげんはると・すぺいでる)が唱えたサンダーブラストと共に、金砕棒を構えたロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)が飛び込んでいた。 「やあぁぁぁぁぁぁ」 「っと、行かせないわよぉ〜」 試作型星槍で受け止めたオリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)は、押されながらも笑みを見せた。 「奇襲は弱者の正攻法だもんねぇ、よくできました♪」 「くっ、出力全開!」 加速ブースターを全放出にしたロートラウトにオリヴィアは押し切られたが、着地と共にデーゲンハルトに向けて毒虫の群れを放った。 「デーゲンハルト君!」 「分かっている」 デーゲンハルトは追撃のサンダーブラストを諦めて火術へと切り替えた。放たれた火術は、拡散するより前に毒虫を焼き切るのに成功した。 「予想さえしていれば奇襲なんて怖くないのよぉ。ほら、ほらぁ〜」 ロートラウトの打撃を避けながらも、オリヴィアは毒虫を放ち続けた。2人の行動を同時に制限する、これに成功していたのだった。 降り落ちる雷と共に飛び出したのはロートラウトだけではない。 ソニックブレードを繰り出した樹月 刀真(きづき・とうま)の刀の初動を、桐生 円(きりゅう・まどか)が星輝銃の銃口で突いて止めていた。 「退け! 邪魔をするな」 「邪魔なのはキミだよ。怖い顔をしたってダメさ」 ガチ合う2人の横を、爆音と共にセルウィー・フォルトゥム(せるうぃー・ふぉるとぅむ)のバイクが駆け抜けた。 「機械の足なんて使うなよ」 これにマッシュ・ザ・ペトリファイアー(まっしゅ・ざぺとりふぁいあー)は遠当てでセルウィーを狙ったが、同乗していたアルゲオ・メルム(あるげお・めるむ)がこれを防いだ時、バイクが大きく揺れた。 「きゃっ」 「アルゲオ、大丈夫?」 シャノン・マレフィキウム(しゃのん・まれふぃきうむ)が唱えた氷術が障害物として速度を止め、鋭生した氷矢がタイヤをパンクさせたのだった。 「このっ」 アルゲオが地面に向けて爆炎波を叩きこむと、その衝撃でバイクの横回転が止まった。同時に強烈な慣性が生じたが、その勢いを利用して、バイクからイーオン・アルカヌム(いーおん・あるかぬむ)が飛び出した。 「イオっ、行けぇ!」 イーオンは丸めたブラックコートをパッフェルに投げつけると、迎撃される前に自分の矢でそれを撃った。すると空中でコートが広がり、パッフェルの視界の一部を黒で塗り潰した。 「好機!!」 イーオンがリカーブボウをパッフェルに向けるのと同時に、エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が叫んだのだった。