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ひな祭り…ほのぼのと過ごす? それとも段を占領?

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ひな祭り…ほのぼのと過ごす? それとも段を占領?

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第1章 ひな壇?ひな段!?

 生徒たちと一緒に楽しく過ごそうと、エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)桜井 静香(さくらい・しずか)の2人は、ひな祭りパーティーを開いた。
「普通に過ごすのか?それじゃあ、ちとつまらぬのぅ」
 テーブルの準備をするエリザベートを見つけたアーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)が声をかけた。
「じゃあ大ババ様は、何か面白いことを思いついたんですかぁ〜?」
 パーティーを楽しむだけなんてつまらないと言われたエリザベートは、眉を吊り上げて頬をぷぅっと膨らませる。
「ふっふふ。こんなこともあろうかと、ひな祭り用の企画を考えたのじゃ。あれを見よ!」
 アーデルハイトは杖をビシィッと窓の方へ向けた。
 校長たちが視線を移すと、窓の外に高さ200mの巨大なひな壇がある。
 彼女は黒子部隊・笑転ジャーに協力してもらい、イルミンスールのカフェの前に用意したのだった。
「壇というか、もう段だねこれ」
 静香は1000壇くらいありそうなひな壇を見上げて小さな声で呟く。
 ひな壇というより、静香とエリザベートにとってはもう、ひな段のほうが合うと思った。
「いっそのこと今回のお祭りの壇は、ひな段で呼び方を統一したらいいですわ」
 今回に限り呼び方を変えようと、ラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)は勝手に改名してしまう。
「おひな様と、おだいり様を決める場を用意したのじゃっ。座れるのは地球人のみ!」
「他の壇はどうするんですぅ?」
「無論、そのポジションを地球人同士で奪い合うのじゃよ。パートナーをサポートにしてもらう制限はない。あの手、この手を使って狙うのじゃ」
 パートナーに手伝わせることを許可したアーデルハイトはニヤニヤと笑う。
「さっそく生徒がやってきたのぅ」
 祭りの場にやってきた生徒の方へ顔を向ける。
 壇に花を飾ろうとリュース・ティアーレ(りゅーす・てぃあーれ)が重たい植木鉢を抱えてやってきた。
「お待たせしました。ネットショップ「T・F・S」(ティアーレ・フラワー・サービス)、花の配達と飾り付けに来ました!」
「持ってくるのに時間かかったわね」
 彼と同じT・F・Sのメンバーのレイ・パグリアルーロ(れい・ぱぐりあるーろ)は、植木鉢サイズの桃の花を抱えている。
「ようやく来たようじゃな!頼んだぞ」
 花を届けてもらったアーデルハイトは嬉しそうにリュースたちを手招きする。
「おひな様とおだいり様になるための試練を課す祭ですか・・・。日本って変わった文化を持ってるんですね」
「年に1度だもの。きっとすごい試練なのね」
 ひな祭りとのことで花の配達に来たリュースとレイは、巨大な壇を見上げて目を丸くした。
「あっ、ひな祭り用の花。これでいいんですよね?」
 アーデルハイトに杖で肩を叩かれ、ぼーっと見上げていたリュースは我に返り、持ってきた花を確認してもらう。
「うむ!頼んだぞ」
 それだけ言うとアーデルハイトは壇のチェックへ戻った。



「ふぅ・・・やっと50段まで飾りつけしましたね」
 は1段ずつ桃の花を飾りつけていき、リュースは疲れたように背伸びした。
「リュースも来てたのね!」
「あっ・・・・・・あの声は!」
 地上の方を見ると愛しい恋人の姿があった。
 白波 理沙(しらなみ・りさ)がリュースの方を見上げて片手を振っている。
 彼女の隣に見知った女子生徒たちもいる。
 リュースとレイは段を駆け降り、彼女たちの元へ走り寄った。
 まず最初に初対面の理沙へ挨拶しようとレイが顔を向ける。
「リュースがお世話になってます」
 丁寧にお辞儀をして挨拶をした。
「あなたがリュースのパートナーね。どうも初めまして」
 理沙も挨拶を返す。
「リュース、パートナーの方にご挨拶しないと駄目よ?日本ではご挨拶するそうだから、きちんとしないと」
 レイはリュースにチェルシー・ニール(ちぇるしー・にーる)白波 舞(しらなみ・まい)へ挨拶するように言う。
「(挨拶・・・ここはやっぱり、日本式に合わせたほうがいいですよね)」
 記憶の中からリュースは一生懸命に、日本式の挨拶を思い出そうと探す。
「理沙をオレにください」
 これが日本式の挨拶だと誤った知識を思い出し、そのまま言ってしまった。
「イヤですわ」
 チェルシーにきっぱり言われてしまう。
 彼をライバル視している彼女は眉を吊り上げる。
「もうすぐお祭りが始まるから、段の前へ行きますわよ」
 理沙と舞の手を握るとチェルシーはへこんだリュースをその場に残してひな段の方へ向かった。



「高さ200mだと?50階建てビルと同じ高さではないか・・・」
 これから登る段を見上げた変熊 仮面(へんくま・かめん)は思わずぶるっと身を震わせた。
「いや・・・これしきのことで、嫉妬の炎を消すわけにはいかない!」
 恐怖心を押さえ込み、腰に両手を当てて段の前にスタンバイする。