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『古代文明探求機構』の調査員を護衛せよ!

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第六章 協力して仕掛けを解こう!

 ゴーストに導かれるがまま来た一班。そこには、崖に出来た四つの足場からそれぞれ一本の道が伸びており、向こう側に渡れるように出来ていた。簡単に言うならば、横棒のないアミダくじみたいなものだ。
 もちろん、下は闇に染まった底の見えない崖である。踏み外せば即死だ。
「なんだ。こりゃ……」
 一班の扉から出てきた雲雀は困惑のため息を吐く。
「怖がらなくていいよ。雲雀。ちゃんと俺が付いてるから」
「だから怖がってねーよ! いいかげんあたしをビビリキャラに据えるのはやめやがれ!」
 エルザルドの胸倉を掴んでガルルー、と威嚇する。
「はっはっは。とりあえず進もう。ジャンケンで負けて最初に行くことになったんだから」
「わ、わかってるよ……」
一本道を歩く。やがて、中ほどに来ると分厚い壁にぶち当たる。
「行き止まりだ……」
「おかしーな。どうすんだろ……」
 周りを見渡す雲雀。すると、隣の道にレバーらしきものを見つけた。
(なるほど……)
 くるりと今来た道に向き直ると、歩き始めた。
「雲雀?」
「一回戻るぞ。隣から来た人たちと協力しないといけないらしいから」
 陸地に戻ってくる二人。自分の班に事情を説明して隣の陸地に人が来るまで待つことに。
 十数分後、隣の陸地に永太とザイエンデ、クロスの三人がやってきた。
「あれっ、雲雀さん、エルザルドさん、どうしたんですか」
「あっ……」
三人のうち、ヴァンガードが二人いることに気が付いて、雲雀の言葉が一瞬止まるが、進むためには互いの協力が必要だと自分に言い聞かせる。
「永太殿、ザイエンデ殿、クロス殿、実は協力してほしいことがありましてですね……」
 雲雀は、一本道のこと、レバーのことを伝えて、協力を請うた。
「わかりました。あのレバーを倒せばいいんですね?」
「はい。お願いします」
 雲雀の言葉を背中にして、三人は一本道を進む。ほどなくして、レバーにたどり着いた。
「これだな……」
 レバーを下げようとする。しかし、長い間放置されっぱなしだったので、錆び付いて動かない。
「だめだなぁ……ザイン、お願いするよ」
「はい。わかりました」
 ウェイトで何とかなると思い、ザイエンデに頼む。
 ギギギギギッと鈍い音を立てながらも、レバーは下がっていく。そして、隣の道にあった壁が下に沈んでいった。
「おー。すごいよ。ザイン」
 と、永太の言葉が終わった瞬間、ザイエンデは体重移動のバランスを崩し、道の外へと倒れる。
「ザインっ!!」
 崖に落ちる寸前でザイエンデの手を掴む。しかし、彼女の体重は非武装時でも90kgはある。片手で持ち上げるのは困難だ。
「私も手伝います!」
 文字通り、クロスは手を差し伸ばす。なんとか、二人で引き上げることが出来た。
「ふー、大丈夫だった? ザイン?」
「なぜ、助けたのですか? 一歩間違えれば永太様も落ちてしまったかもしれないのに」
「なぜって……当たり前だよ! ザインは永太の――」
 好きな人、と言いかけたが、唾と一緒に飲み込んだ。
「ザインは永太の――大切なパートナーなんだから」
「……」
 その言葉を聞いたザイエンデは、ほんの少しだけ微笑んだ。
 そうこうしていると、隣の道から声が飛んできた。
「大丈夫でありますか〜?」
「うん。大丈夫ですよ〜」
 永太の返事を聞いて、ホッとする雲雀。
「よかった……協力感謝するであります。あと、この道を行って分かったのでありますが、そちらの道にも障害物があるようであります。そのスイッチはこっちにありましたので、解除しておいたであります」
「そうですか! ありがとうございま〜す」
 感謝の言葉が返ってくる。正直、ヴァンガードから礼を言われるのは複雑な気分だったが、払拭して先に進む。


 第三班が一本道のある場所まで来たのは、一、二班が向こう側に向かって歩き出した頃である。
 つり橋効果による好感度アップを狙って参加したテディと、それに巻き込まれた陽、そして、ゴーストに会ってみたいという強い気持ちを持った蒼也。
 以上の三人が一本道に行くことになった。
 三班の道に設けられたのは、宙に浮いて回転している六面キューブであった。物を当てることにより面の色が白から赤に変わる仕組みで、全面赤にしないと先に進めない。また、こちら側からの攻撃では色は変えることは出来ないようになっているので、四班との協力は必須である。
「めんどくせートラップ仕掛けやがって……」
 蒼也が憎々しげにキューブを睨む。
「いいじゃん! 僕は楽しいよ。試練があればあるほど俺たちの愛は強くなるんだから、な〜、陽」
道の上でいきなり陽に抱きつくテディ。
「うわっ! ちょ、危ないってば。あっ、ちょっ、どこ触ってるんだよぉ……」
 腰から後ろに回した手で、陽のお尻を鷲?みにする。
「照れないの。あっはっは!」
「何やってんだおまえら……」
 蒼也は苦笑を浮かべる。
「おーい。そこの人たちぃ〜」
そこに、隣の道から北都の声がかかった。昶も一緒だ。
「どうやら協力しないと進めないらしいねぇ〜」
「そ、そうらしいね〜。ボクらも手伝うから、このキューブを全部赤にしてくれないかな?」
 早く帰りたがっていた陽は、積極的に助けを求める。
「いいけど、どうやってぇ〜?」
「物を当てれば色が変わるんだ〜。でもそっちから投げられた物しか反応しないらしいんだ〜」
「わかったぁ〜。今仲間を連れてくるから待っててぇ〜」
 そう言うと、北都と昶は踵を返し、来た道を戻っていった。
 数分後、和人、北都、昶の三人が協力してくれることになった。
「楽しませてくれそうな仕掛けじゃんか」
「和人さん、僕が超感覚を使ってタイミングを計りますんで、合図したら投げてください」
「おう。頼んだぜ!」
 すぅ、と静かに深呼吸すると、北都の頭にネコ耳が、お尻には尻尾が生えた。
 その辺に転がっていた石を拾うと、和人は北都に告げた。
「いつでもいいぜ」
「……今です!」
 北都の声を聞くや、石は綺麗に放物線を描いてキューブに当たった。石にぶつかった面が、赤に変わる。
「やった。さすがオレの北都」
「喜ぶのはまだ早いよ。昶。あと五つ。集中しなくちゃ」
 緊張した面持ちで指示を出すこと五回。なんと、一回もミスをせずにキューブを赤で統一した。
 三班の道の壁が沈んでいく。
「開いた〜。おまえら、サンキューな! そっちに何か困ってたら手伝ってやるよ〜」
「おう、頼んだぜ〜」
 蒼也の約束は、すぐに果たされることになる。


「何々、『朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足の生き物の名を答えよ』だってさ」
「なんだそりゃ。そんな生き物見たことないぜ」
「わかんねぇ……お隣さんに聞いてみるか」
 和人は、三班のメンバーに訊いてみた。
「なんだそりゃ……わかんないぜ」
「はいはい。ボク分かるよ〜。答えは、『人間』だよ〜!」
 自信満々に答える陽。言葉に反応し、壁が沈んでいく。
「すっげぇよ。陽。さすがは僕のヨメだ! この任務が終わったらいっぱい可愛がってやるからな〜。主にベッドの中で」
「ヘ、ヘンなこと言わないでよもぅ……」
「へ〜。一体どういうことなんだ?」
「朝、昼、夜、はそれぞれ人間の年に対応していているんだよ。朝、つまり幼い頃はハイハイで動くでしょ。これは四本の足を意味しているんだ。やがて時がたって昼。成長した人間は二本足で歩く。でも年老いてしまえば杖が必要になってくる。これが夜ってわけだよ」
「お〜、なるほどな」
 他の五人は感心しっぱなしだ。
「なんにせよ、これで進めるわけだ。陽、礼を言うぜ」
 白い歯を輝かせて笑顔を投げる。
「陽……浮気は許さないからな」
 その光景を見たテディの心に、嫉妬の灯る。
「えっ、何のこと?」
 求愛を冗談として解釈している陽は、意味がわからなかった。