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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第2回/全2回)

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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第2回/全2回)
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「ああ…」
 悦楽の声を上げるマリア。
「お、オレのテクニックが利いたのか」
「残念ながら、それは違う。マリアは献血マニアなんだ。マリアの献血手帳のコレクションはハンパじゃないんだ…」
「…そ、それは残念というか、ラッキーというか。まあ、元気は回復させて貰ったぜ!」
 総司はニヤリ、と笑うとそれに呼応するかのように、アンジェラがぺろり、と自分のチェリーのような唇を舌で舐めた。


 ウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)広瀬 刹那(ひろせ・せつな)に再突入前に、こんこんと諭していた。
「2人がどうしてここに来たか思い出して。一度突入を開始したら、ファイが受けた以上に、女の子として立ち直れない傷を受けるかもしれない。それでもその想いは貫ける?覚悟は出来てる?できていなければ、ボク達は足手まとい。見守っていた方が賢明だよ?」
「ファイは世間知らずで甘いかもしれないです。でも、真珠ちゃんと赫夜ちゃんが仲直りする所が見たいです!一緒に喜び合いたいです!だから、どんなつらい事が待っているとしても、ファイは逃げたくないです!逃げたら、みんなと一緒に喜べない!そんなのは嫌ですっ! ファイ達は、他のみんなが赫夜ちゃんを連れて帰ってくれると信じて部下さん達を食い止めたり、道を作るです!
今まで美少女戦士部のみんなと練習して鍛えた【武術】を駆使して相手の動きを読んで、隙を突いて倒していく手段で戦うですっ! アンジェラ隊って人たちが立ち塞がって、どんな事をしても、今度は退かないですっ!今のファイは、真珠ちゃんや赫夜ちゃんのために、一歩も退かない頑固親父ならぬ頑固娘ですっ!」
 ファイリアはぐっと拳を握りしめる。
「真珠さんと赫夜さんと一緒に、また学校で喋りたいっス!色々なお話がしたいっス!私も、ファイリアお姉ちゃんと一緒で、逃げたくないっス!みんなで帰るっスよ、絶対! 私も、お姉ちゃんと一緒に前に出て、お姉ちゃんが対処しきれない相手を倒すっス!私だって美少女戦士部のみんなに鍛えられているっスからね!美少女戦士部のお姉ちゃん達より遅い人の動きくらい、何とか避けてみせるっスよ!」
 刹那にもみなぎるものがあった。
「よし、行こう。二人の覚悟はよく分かった!」
「いくです!」
「いくっすよ!」
 ウィノナは煙幕ファンデーションを使い、アンジェラ隊の動きを封じ込めようとする。また、ファイリアや刹那は背中合わせになり、元ネッリ隊や、ダンツオ隊を赫夜や傷付いた生徒たちから遠ざけようと、頑張る。
「絶対にみんなで帰るです!」
「そうっすよ! みんなで笑える未来を切り開くっすよ!」
「その調子だよ! 二人とも!」
 ウィノナは二人の成長に心打たれるものがあったらしく、鼓舞して回る。



☆   ☆   ☆   ☆   ☆    ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 諸葛涼 天華(しょかつりょう・てんか)は『王座の間』からの退路を造ろうとしているとき、シャムシェルと鉢合わせになる。
「…どこへ行く、蛇遣い座のシャムシェル」
 と、一瞬戦いになりかけるが、
「君に答えなきゃいけない義務もないけど、…マ・メール・ロアだよ。ボクはここから去る。君達には手出しはしない。だから見逃して欲しいんだけどね。こっちも急いでるんだ…まあ、その代わり、ティセラ・クローンを置いてきてる。だから君もボクと戦う前にティセラ・クローンと戦ったほうがいいよ」
「…がたがたと五月蠅い娘だのう。…勝手にいくがいい」
 天華は戦いは無用とさけ、シャムシェルを見逃す。
 そこへ鬼崎 朔(きざき・さく)が走って現れる。
「ここでシャムシェルを見なかったか!!」
「…さあ? シャムシェルは見なかったが、シャムシェルがティセラ・クローンなるものをこの浮遊島に配置したと言う話は聞いた。…そなたはそちらを倒した方が、結果的にはシャムシェルへの報復になるのではないか?」
 天華は頭に血がすっかりと昇っている朔をセーブするため、嘘と真実を織り交ぜながら話をした。
「…どこにいるんだ、ティセラ・クローンは!」
「恐らく『王座の間』付近だろう」
 その言葉を聞くやいなや、脱兎のごとく走り出す朔。
「…無茶をしなければいいのだが」
 天華はそういいながら、情報を携帯から集めながら、正確な退路を生徒達と情報交換し、マッピングしていく。

 一方で紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は自分の飛行艇はちゃっかり確保し、お宝探しに夢中になっている。
「もうすぐ沈む島に残しておいても壊れるだけ、なら俺達が頂いても良いでしょう…うわ! 黄金の首飾り!」
 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)
「火事場泥棒!!」
 と唯斗を非難するが、その声を聞かれまいとエクスに周りの目とか気にせずディープキスをして唇を塞いでしまう。
「なにをするのだ!」
 唯斗は
「続きは帰ってから、な。これ、エクスに似合いそうな指輪ですね」


 虎鶫 涼(とらつぐみ・りょう)はマッピングしたマップで確認しながら【バーストダッシュ】を活用し格納庫を探していた。リリィ・ブレイブ(りりぃ・ぶれいぶ)は、涼に言われて、脱出路を捜索してる間、逃げ遅れの捜索中は常に銃型HCでマッピングをすると、それを生徒達に配信して回る。更に涼と同じく素早く移動するために【バーストダッシュ】を使用した。
 そこにたまたま、周からの連絡が入り、格納庫にたどり着くことができた。
「これで『王座の間』から格納庫への場所の地図が出来た…それにしても周の奴、格納庫の場所がすぐにわかったな」
「犬みたいに鼻が利くところがありそうだものね」
 リリィ・ブレイブが相づちをうつ。

 そして、大型飛行艇を操っているパイロットにも連絡し、格納庫の場所を知らせる。
 涼は、全員脱出したのを確認したら自分もリリィと小型飛行艇と共に脱出するつもりで、格納庫で待機していた。
 次第に人が集まってくる格納庫。
 リリィは真珠の事が気にかかるが
(きっとそれは涼も同じだわ…きっとにゃん丸たちが何とかしてくれるはず…)
 と我慢して、負傷者たちから格納庫にある大型飛行艇に乗り込ませていった。


 ウォーデン・オーディルーロキ(うぉーでん・おーでぃるーろき)は、黒龍や静麻からの連絡を受けて仲間達の小型飛空艇を回収に向った。念のため、狼の「ゲリ」と「フレキ」を大型飛空艇に残しておき、奇襲に備え周囲を警戒させておいておく。
「小型飛行艇…! 思ったより多いものじゃな…なんとか早く回収せねば、浮遊島自体が落ちていってしまう」
 他の仲間達と連絡をとりながら小型飛空艇を必要数、大型飛行艇の甲板にとめておくよう、指示してまわった。