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夏だ! 祭りだ! また喧嘩神輿だ!

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夏だ! 祭りだ! また喧嘩神輿だ!

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決戦

 
 
「さあ、多くの神輿が散っていった今回の喧嘩神輿。残る御神輿も三台となりました。風雲急を告げる、シャンバラ宮殿前大通り。おおっと、一台の御神輿が近づいてきました。あれは、ロケットおっぱい鉄道神輿です。ですが、すでにおっぱいは発射してしまったため、ぺったんこです。ぺったんこになってなお、戦いの場にやって参りました。対するのは……。白い、白い御神輿です。白熊神輿がやって参りました。こちらは、何度か他の神輿と激突したらしく、結構傷ついています。けれども、まだ健在です。さあ、両者、大通りの端と端で睨み合った!」
 両雄がならび立ちましたが、多比良幽那さん家のアルラウネ・ラヴィアンさんは、相手の御神体を見て鼻から樹液を噴いています。どうやら、ちっぱいと股間のトライアンフはツボだったようです。いったい、どういう趣味をしているのでしょうか。
「うん、分かる、分かるよ、その気持ち。理解はしないがな。さあ、戦闘開始だ
 なぜか、アルラウネさんの心を読んで、如月正悟くんがうんうんとうなずきました。
「そんな公序良俗に反するような物は排除であろう。やってしまうのだ!」
 奇祭でもないのに、何を考えているとばかりに、天照大神さんがソア・ウェンボリスさんをうながしました。
「口から熊ビ〜ム!」
 ふいをつかれて、ロケットおっぱい鉄道神輿が直撃をくらいました。
「うおおおお、俺のトライアンフが火を噴いている!」
 半分溶け落ちたトライアンフを見て、如月正悟くんが叫びました。
「ははははは、そんな絶壁ちっぱいでどうやって戦うというのだ!」
 天照大神さんが、自分のたっゆんと多比良幽那さんのたっゆんを敵に見せつけながら言いました。ちょっと、あちこちに敵を作ったかもしれません。
「ふっ、どこがちっぱいですと。この私が、補給を根回ししておかなかったとでも……」
 御神体の中で、重攻機リュウライザーくんがニヤリとしました。
 次の瞬間、ロケットおっぱいが復活しました。予備弾倉からロケット弾を補充したようです。
「むっ……。なぜ、復活させる……」
 手許に、赤いボタンを握りしめながら、漆髪月夜さんが嫌な顔をしました。
「よし、いけ、ライザー、フルバーストだ!!」
「了解しましたマスター。ターゲットロックオン! リュウライザー・フルバースト!!」
 武神牙竜くんの命令を受けて、リュウライザーくんが全ミサイル一斉発射を行いました。白煙をあげて、御神体から2発のロケット弾と12発ものミサイルが一斉に発射されます。反動で思わず御神輿が後ろに倒れそうになりましたが、そこを樹月刀真くんが金剛力で耐え抜きます。
「お見通しだぜ!」
 多数のミサイルに一撃粉砕されるかと思われた白熊神輿でしたが、まさに着弾の直前に素早く宙高く舞いあがりました。台の下に取りつけてあったタイムウォーカーが発動したのです。
「うわー」
 担ぎ手たちが、振り落とされまいとあわてて担ぎ棒にしがみつきました。
 さっきまで白熊神輿がいた場所で爆発が起きます。
「やった、躱したぞ」
「まだだ。後ろ!」
 緋桜ケイくんが喜んだのも束の間、悠久ノカナタさんが後ろを指さしました。
 白熊神輿のその素早さに、一瞬ターゲットを見失ったミサイル群でしたが、すぐに重攻機リュウライザーくんの管制機能で姿勢制御し、上空の御神輿にむきを変えたのです。
 急いで、イシュタン・ルンクァークォンさんがアリスビームで迎撃します。すかさず、アッシュ・フラクシナスさんが歌で応援しますが、さすがに全部は打ち落とせません。
「みんな、しっかりつかまっていろ。落ちるぞ!」
「何をするのだ?」
 天照大神さんが聞き返す間もなく、緋桜ケイくんがタイムウォーカーを切り離しました。白熊神輿が自由落下します。けれども、ミサイルは全弾タイムウォーカーにむかって行きました。空中で大爆発が起きます。
「このまま、突っ込めー! 策はあるんだろう、カナタ」
 雪国ベアくんが、下に見えるロケットおっぱい鉄道神輿を指して言いました。
「もちろん」
 意味ありげに悠久ノカナタさんがうなずきます。
「ようし、次でお前は粉々だぜ
 雪国ベアくんが勝ち誇ります。
「残弾、ツインミサイルの予備弾二発のみですが、装弾間にあいません!」
 御神体の中で、重攻機リュウライザーくんが叫びます。
「まだたっゆんを使う気だった……の」
 なんだか、漆髪月夜さんがもの凄く不満そうです。でも、間にあわないようなので、じっと何かをこらえました。
「まだだ、まだ俺たちの股間のトライアンフは折れてはいない!」
 如月正悟くんが、不穏当な発言で、半分溶けているトライアンフを突っ込んでくる白熊神輿にむけました。
「こいやあ、貫いてやる!」
 樹月刀真くんと如月正悟くんが、トライアンフを支えて白熊神輿を迎え撃ちます。そのまま突っ込んでくればみごとに串刺しです。
「そうはいかぬ!」
 そのまま激突かというところで、悠久ノカナタさんが、魔女の大鎌をくるりと前に倒しました。
この力、受けてみせるか。くらえ、白熊御神体パニッシャー!!」
「ちょ、俺様の御神体に何を……!」
 あせる雪国ベアくんを無視して、白熊の御神体が大型ミサイルとして発射されました。反動で、白熊神輿が後ろに吹っ飛んで墜落します。
我求めるは、天翔る翼!
 間一髪、ソア・ウェンボリスさんが空飛ぶ魔法↑↑で、なんとか白熊神輿――いえ、今はただの釜神輿でしょうか――を不時着させます。
 一方、射出された御神体の肩の上には、いつの間にかソア・ウェンボリスさんのぬいぐるみ妖精が乗っかっていました。
「さあ、受け取るといい。それが君の運命だ」
 あいも変わらぬつぶらな目の無表情な顔で、ぬいぐるみ妖精さんがつぶやくように言いました。怖いです……。
 直後に、白熊ミサイルがロケットおっぱい鉄道神輿に命中します。直撃を受けて、ロケットおっぱい鉄道神輿は遥か後方へと吹き飛ばされてしまいました。ですが、ここで、ロケットおっぱい鉄道神輿は驚異のタフさを見せました。
つっ……油断したか
 なんとか、樹月刀真くんが踏みとどまります。
「まだ、完全に壊れてはいません。今のうちに攻撃です
 確かにトライアンフも吹っ飛び、重攻機リュウライザーくんも御神体から半分ほど露出してしまいましたが、まだかろうじて御神輿の形は残っています。けれども、もって後一撃でしょう。
「ツインロケット、装弾完了しました。いけます!」
 頭の部分がむきだしの重攻機リュウライザーくんとなった女神像のおっぱいロケットが、再びたっゆんに戻りました。ちょっときもいです。
「よし、今度は敵も避ける方法がない。止めだ、ライザー」
 武神牙竜くんの命令で、重攻機リュウライザーくんがロックオンしようとしたときです。
「私の前で最後までたっゆんにこだわるなんて……刀真のいじわる!!」
 突然、ロケットおっぱい鉄道神輿の後ろで、漆髪月夜さんが叫びました。ぽちっと何か押したようです。
「ちょっと、月夜、いったい何をした……。うおおお!?」
 突然、勝手に重攻機リュウライザーくんのブースターが全開になりました。
 遥か前方で動けなくなっている白熊神輿にむかって移動を始めます。
「ぐわっ」
 なんだかやばそうだったので、吹っ飛ばされるふりをして如月正悟くんが離脱しました。
「ちょっと、何か、私の足許でピコピコ鳴ってる箱があるんですが……」
 ブースターを停止しようと努力しながら重攻機リュウライザーくんが言いました。ツインロケットの発射装置も動かなくなっています。
「ああ、それは自爆装置です」
「ちょっ、嘘だろ。そんな物搭載した覚えはないぞ!?」
 平然と言う御神楽陽太くんに、武神牙竜くんが叫び返しました。まだツインロケットの弾体が残っています。このままでは誘爆して木っ端微塵です。
「漆髪月夜さんにぜひと頼まれて設計段階から組み込みました」
「ライザー、バカ、止めろ!」
「無理です。皆様、一緒に散ってください」
 止めろと叫ぶ樹月刀真くんに、重攻機リュウライザーくんが諦めたような口調で言いました。
「こうなったら、敵も道連れだ。突っ込め!」
「了解!」
 覚悟を決めたロケットおっぱい鉄道神輿が、白熊神輿に突っ込んでいきます。
「まずい、逃げるぞ!」
 危険を察知した緋桜ケイくんが叫びました。
「ちょっと待って、うちの子たちが絡まっちゃって身動きが……」
 どうやら、着地のときに多比良幽那さんのアルラウネさんたちが絡みついて、御神輿の身動きがとれないようです。これでは、完全な的でしょう。
「来るんじゃねー!!」
 雪国ベアくんが叫んだときです。
「ほほほほほほほほ、そんな半壊した御神輿なんか、一撃で踏み壊してあげますわ!」
 なんとも空気を読まないお嬢様が、横から突っ込んできました。
 さすがに自爆装置のことなど知りませんから、まだツインロケットを残しているロケットおっぱい鉄道神輿を粉砕してから、もうほとんど攻撃能力のないように見える白熊神輿を踏みつぶすつもりだったのでしょう。さすが、卑怯です。
「一挙に踏みつぶしておしまい!」
「はい、お嬢様。おおおおおお……!!」
 横から一気に突っ込んだ執事君が、ジャンプ一番、御神体を踏み砕こうとして……自爆装置の機晶爆弾を踏んでしまいました。
 ちゅどーん!!
 白い髑髏型のキノコ雲があがって、ロケットおっぱい鉄道神輿とお嬢様神輿のメンバーが宙を吹っ飛ばされていきます。
「きゃあ、お嬢様神輿がぁ!」
 密かに応援していた神代明日香さんが叫びましたが、もう手遅れです。
「勝負ありました。勝者は、白熊神輿です!」
 お祭りの場に、シャレード・ムーンさんの声が響き渡りました。