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夏だ! 祭りだ! また喧嘩神輿だ!

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夏だ! 祭りだ! また喧嘩神輿だ!

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そして、夏祭り

 
 
「優勝した白熊神輿は、空京神社に奉納されます。ではまた、次のお祭りまでさようならー」
 空京神社の境内に移動された白熊神輿をオーロラビジョンに映し出しながら、シャレード・ムーンさんが喧嘩神輿の中継を締めました。
 
    ★    ★    ★
 
「まったく、グリちゃんったら、今までどこに行ってたんだもん」
「ん〜っと、多分、葵と同じだにゃ〜」
 やっと合流できた秋月葵さんとイングリット・ローゼンベルグさんが、お互いたくさんの食べ物をかかえたままてへへっと苦笑いし合いました。
「とにかく、どこかでゆっくりと座って……食べよ」
「にゃ〜♪」
 
    ★    ★    ★
 
「お嬢様御神輿はおしかったですぅ。さあて、喧嘩神輿も終わったので、後は食べ歩きですぅ!」
 帯の間に軽く手を差し入れて再び食べられるようになったことを確認すると、神代明日香さんが屋台に突撃していきました。
 
    ★    ★    ★
 
「これが、奉納された御神輿ですか。御神体がないですが、いいのでしょうか?」
 飾られた白熊神輿を見あげて、非不未予異無亡病近遠くんが言いました。
「うん、変わった風習でございましたね」
 でも、それなりに楽しめたとアルティア・シールアムさんは満足そうです。
「あれだけの騒ぎで、みんな怪我もなくてよかったのだよ」
「なんにしても、大した被害がなくてよかったですわ」
 ほっとしたようなイグナ・スプリントさんの横でユーリカ・アスゲージさんはそう言いますが、結構爆発していたので、明日からの道路工事が大変なような気がします。
 
    ★    ★    ★
 
「手を放してはだめですよ。一人じゃ危ないんですから」
「そんなことはないですわ」
 言い返しつつも、しっかりと笹野朔夜くんの手を握りしめているアンネリーゼ・イェーガーさんでした。
「とりあえず、次は盆踊りが見たいのですわ」
「そうですね。それならば、ちっちゃくても大丈夫でしょう」
「失礼ですわ、わたくし、ちっとも小さくなんかありませんのよ」
 そう言い返すと、アンネリーゼ・イェーガーさんは全身で笹野朔夜くんを引っぱって走り出しました。
 
    ★    ★    ★
 
『そうですか。よく分かりましたわ。陽太に替わっていただきます?』
「はい、お兄ちゃん、お姉ちゃんからだよ」
 ノーン・クリスタリアさんが、エリシア・ボックさんからの電話を御神楽陽太くんに替わりました。
「もしもし……」
『なんでも、負けたって話ですけれど……、無様ですわね』
「ぐっ……」
 ドストレートに言われて、御神楽陽太くんはぐうの音も出ないようです。ノーン・クリスタリアさんの命の息吹で回復してもらえなかったら、今ごろは病院送りのところでした。
 とりあえず、藍染めの縦縞浴衣に着替えてくつろいではいましたが、そこへこの電話です。
『祭りの惨状は、貴様の連れあいには伏せておいてさしあげます。感謝するといいですわ』
「感謝します……」
 嫌々、御神楽陽太くんが答えました。まあ、それでも、変なことを吹聴されるよりはましです。
『感謝の気持ちは、具体的に金銭で示していただけるとありがたいですわね』
 ちゃっかりとエリシア・ボックさんがつけ加えました。
 
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「あーあ、さすがに重装甲アーマーがぼろぼろだなあ」
 重攻機リュウライザーくんの壊れたアーマーを取り外してやりながら、武神牙竜くんが言いました。一緒に吹っ飛ばされたはずの武神牙竜くんの方は、超人的な肉体できっちりと復活しています。
「面目もありません。最後の特攻に失敗するなどと……」
「いや、あれはイレギュラーだから。よし、これで、行動に支障はないだろ。ゆっくりと祭りをぶらつくとするか」
 恐縮する重攻機リュウライザーくんをポンポンと叩きながら、武神牙竜くんが言いました。
 
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「お前なあ、さすがに自爆装置はやり過ぎだぞ」
 まだむすっとしている漆髪月夜さんの頭をくしゃっとなぜて、樹月刀真くんが言いました。間一髪、お嬢様の殺気を看破して防御をとったので、大した怪我もせずに助かっています。
「あの御神体に御執心だった……。とても傷ついた……」
 むすっとしたまま、漆髪月夜さんが言いました。
「こだわっていたのは、正悟だろうが。誓ってもいいが、俺はツインロケットには関わってないぞ。俺がこだわったのは股間のトライアンフだ!」
 弁明するように樹月刀真くんが言いますが、それはそれで問題なのではないでしょうか。
「分かった分かった。まだ時間も早いから、これからお祭りを楽しもう」
 じーっと睨むように見ている漆髪月夜さんを軽くぎゅっとだきしめると、樹月刀真くんはお祭りへと誘いました。
「じゃ、あれがほしい」
 樹月刀真くんの腕にピッタリとしがみつくと、漆髪月夜さんが嬉しそうに屋台の一つを指さしました。
 
    ★    ★    ★
 
「みんな無茶しやがって……。せっかくの御神輿が吹っ飛んじまったじゃないか」
 職人さんたちが埋めている道路の穴を見つめて、如月正悟くんがつぶやきました。
「まっ、後腐れなくていいか。よし、次のたっゆんを見つけだすぞ!」
 なんだか変な決意を新たにすると、如月正悟くんはお祭りに来ている浴衣の女の子たちの胸元ウォッチングにでかけていきました。
 
    ★    ★    ★
 
「こんな所にいたいた。どうした、怪我でもしたのか?」
 救急テントでやっと織田帰蝶さんを見つけた天照大神さんが訊ねました。
「別に……。ただ、めんどくさいのでここでゴロゴロしているだけですわ」
 本当に簡易ベッドの上でゴロゴロしながら織田帰蝶さんが言いました。
「まったくものぐさであるな。少しは、幽那たちを見習えばいいものを。せっかくの祭りであるのだぞ」
 天照大神さんが示す方では、多比良幽那さんとアッシュ・フラクシナスさんが、取り囲んだファンたちにせがまれてゲリラライブをしていました。
 
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「はっはっは、これもみな、わらわのおかげだ!」
 悠久ノカナタさんは、優勝できて上機嫌です。もしかすると、御神体の白熊人形を木っ端微塵に吹き飛ばせたので機嫌がいいのかもしれません。
「まあ、確かに決め手はあれだったとも言えるし、勝手に敵が文字通り自爆したとも言えるし……」
 緋桜ケイくんとしてはちょっと複雑です。はっきり言って、オウンゴールで勝ったような気分ですから。
「勝てばいいのだ。さあ、祝杯をあげるぞ。つまみはよりどりみどりだ」
 振る舞い酒の升を片手に、悠久ノカナタさんは屋台に突撃していきました。
 
    ★    ★    ★
 
「いたたたた……。やっぱり無茶はするものじゃないよね」
 身体中がちがちに痛くてぎくしゃくと歩きながらミルディア・ディスティンさんが言いました。それでも、怪我はしていないのがさすがパラディンです。身持ちが堅すぎます。これでは、いつお嫁に行けるか……げふんげふん。
「でも勝てたんだから、みんなの力を合わせた結果だよねー」
「うんうん」
 嬉しそうに言うイシュタン・ルンクァークォンさんにミルディア・ディスティンさんがうなずきました。
「うーん、そんなに歩くの大変だったら、私が担いであげようか?」
「もしかして、まだ担ぎ足りない?」
 まさかねと聞き返すミルディア・ディスティンさんに、イシュタン・ルンクァークォンさんが満面の笑みでうなずきました。
「ようし、じゃあ、担ぐよぉ。えっさっ! ほいさっ!」
「ちょ、ちょっと、恥ずかしいよぉ」
 ひょいとおんぶされて、ミルディア・ディスティンさんが恥ずかしそうに声をあげました。
 
    ★    ★    ★
 
「御神体なくなっちゃいましたねえ」
「ぐぞう……、まさかミサイルにしやがるとは。すぐに作り直して飾ってやる!」
 褌に半被姿の凛々しい桜井 静香(さくらい・しずか)さんの山笠の隣にならんだ釜だけの白熊神輿を見つめて、ソア・ウェンボリスさんと雪国ベアくんが話し合っていました。
「でも、子供たちには人気のようですよ。みんな御神体になりきってます」
 ソア・ウェンボリスさんの言うように、白熊神輿によじ登った子供たちが、魔女の大釜の中に入り込んで口からビームごっこをしています。
「うーん、これはこれで、ガキ共が俺様に憧れるのは仕方がねえな……」
 そうなると、とっても御神体を新しく釜の中に入れにくくなります。だいたい、御神体を新調したら、陰で白熊の釜ゆでとか噂が立ちそうです。
「とにかく、俺様たちは勝った。それがすべてだあ」
 雪国ベアくんが、両手を挙げて勝ち鬨をあげて子供たちをビビらせたので、ソア・ウェンボリスさんに軽くたしなめられました。
 

担当マスターより

▼担当マスター

篠崎砂美

▼マスターコメント

 
 2021年度、喧嘩神輿のお届けです。
 参加者がちと少なかったので、NPC総動員しています。
 意外と派手なバトルになったと思いますがいかがだったでしょうか。掲示板ダイスの反映で、ロケットおっぱい鉄道神輿の方が若干攻撃力と防御力が上回っています。
 喧嘩神輿終了後は、みんな浴衣に着替えてお祭りを楽しんだようです。