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抱きついたらダメ?

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抱きついたらダメ?

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第5章
 エヴァルトと和輝によって発現した、光の道筋によって多くの人が一カ所に集まろうとしていた。
 そこは、大きなドーム状の形をしており、広さ、高さ共に巨人がが六体くらいは入れるようなスペースだった。
「うざったいくらいには、飛んでるな」
 一番にたどり着いた龍滅鬼 廉(りゅうめき・れん)は天井を見上げながらつぶやいた。
 そこには無数の黒い物体。ノラコウモリが飛んでいた。
 大きさは50センチくらいのも居れば、2メートルはあるものもで飛んでいる。
 先を進むには、どうしてもノラコウモリに気をつけなければ行けなかった。
「うむ、これはさすがに骨が折れそうですな」
 陳宮 公台(ちんきゅう・こうだい)が、上を見上げながらドームの中央へと歩いていく。
「え、これ全部闘うのかよ!?」
「いや、おそらく強行突破も可能だろう……だが、強行突破するにもその先がみあたらないとな……」
 張 宝(ちょう・ほう)は面倒だと言わんばかりに手をふらふらとぶら下げながらノラコウモリを眺めた。
 その腕には、キャロ・スウェット(きゃろ・すうぇっと)がぶら下がっていた。
「くしゅん! 廉お姉ちゃんも張宝お兄ちゃんも気をつけてなのー」
 キャロがくしゃみを口で押さえた後、激励の言葉を廉と張宝にかける。
「おう、キャロちゃんのためにも頑張るぜ! うおおおお!」
 張宝が公台のいるドームの中央へ向かった。
 廉もそれに続いて歩き出すと、ノラコウモリが一斉に廉達の元へと飛び込みはじめる。
「来るぞ!」
 公台は叫ぶと同時に火術をノラコウモリへと当てる。
 燃え上がる炎が数匹を巻き込む。
「張宝お兄ちゃん、来るのー」
「おう! まかせとけ!」
 張宝は、向かってくるノラコウモリを雷術で倒す。
 対して、廉はサイドワインダーで倒していく。
 だが、廉はすぐに自分の喉に違和感を持った。
「ん……っくしょん! なっ!?」
 自分はかかっていないと思っていた抱きつきたくなる病が急に出てしまった。
 気がつけば廉の腕は公台へと抱きついていた。
「なっ……なにごとですか!?」
 公台は身動きができなくなり、ノラコウモリへの攻撃の手が止まってしまう。
 その間にノラコウモリが迫ってくる。
「危ないのー!」
「させません!」
 女性の声と共に大きな陰が公台の目の前を遮る。
 同時に襲ってきていたノラコウモリはサイコキネシスによって打ち落とされた。
 廉達の危機を救ったのは、茅野瀬 衿栖(ちのせ・えりす)だった。
「……」
 だが、廉は驚いた表情で衿栖を見た。
 正確には、衿栖を抱いて俊敏に動けていた蘭堂 希鈴(らんどう・きりん)に驚いていた。
「よく、動ける物だ」
 希鈴は少し照れ、顔を下に向ける。
「しかし、おんぶなんだな」
 少し残念そうな表情を浮かべて廉が聞いてきたのに対し希鈴は首をかしげる。
「えっと……何を期待されてたんです?」
 廉は答えず、静かにノラコウモリ退治に戻っていった。