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【十一 次なる使命】

 第一班の捜索・救助の成果として、第一次及び第二次調査隊に参加していたコントラクター達の大半は無事に発見されたが、結局全員が見つかった訳ではない。
 恐らく、スキンリパーがフィクショナル・リバースを解除した際に、気を失っていた者達は電子の塵と消え、復活する手段を失ってしまったのだろう。
 そういう意味では悔いが残るのだが、それでも多くの人員が救助されたのは、彼ら第一班の活躍があってこその結果である。
 その後、ヴァダンチェラ内にはエージェント・ギブソンが持参したフィクショナル・レストリクション・ユニットが設置され、二度とフィクショナル・リバースが構築されない為の予防措置が施された。
 こうしておけば、次にラーミラがこのヴァダンチェラを訪れた際にも、スキンリパーの妨害を受ける可能性は低くなるというものである。
 かつて、ルーターマシンスパダイナの捜索に当たったことがある面々は、エージェント・ギブソンの登場に度肝を抜かれた様子を見せていたが、当人は全く涼しい顔で、淡々とヴァダンチェラ内での作業を進めていた。
 一方、姿を消したスキンリパーとフェイスプランダーの行方も気になるところではあったが、とにかくも、人工解魔房を確保出来たことで、ひとまず目的は達成されたといって良い。
 この後は、人工解魔房を稼働状態にまで持っていき、ラーミラをここに連れてくるというミッションが待ち受けている。
 それはまた、別の話である。

     * * *

 モルガディノ書庫での調査を終えたリカインとソルファインは、夕刻の紅い陽射しが真横から突き刺さってくる中、若干疲れた様子で持参した簡易座椅子に腰掛けて、休憩を取っていた。
「いやぁ、疲れた疲れた……流石に肩が凝ったわねぇ。明日、空大前の整骨院にでも行って、揉んでもらおうかしら」
 自身の肩を揉みながら、リカインは満足げな笑みを浮かべた。
 現場での戦いには一切参加出来なかった彼女だが、ここで調べた情報は間違いなくヴァダンチェラ側の面々には大いに有効活用されたのであり、そういう意味では十分に役割を果たしたことになる。
 と、その時、携帯の着信音が鳴った。通話に出てみると、コールの主はヴィゼントであった。
『お嬢、まだモルガディノ書庫に居ますか?』
「うん……何かあったの?」
『実は追加の調査依頼が来ましてね』
 曰く、ヴァダンチェラ側のコントラクター達から、フレームリオーダーが無限機晶器を内蔵しているかどうかを判断する為の資料を探してくれ、という依頼が飛んできたらしい。
 ヴィーゴ・バスケスはフレームリオーダーの生体構造までは把握していなかったらしく、ヴィゼントとアストライトの調査では、遂に分からなかったというのである。
 そこで、リカインに再び地下の書庫へ潜れという依頼が飛んできた、という次第であった。
「……やるっきゃないってか。分かったわよ」
『済みませんねぇ、お嬢』
 ヴィゼントの声には申し訳なさそうな色など全く含まれていなかったのだが、それでもリカインは仕方がないと諦め、腹を括った。
「あのぅ、もしかして……」
 ソルファインが、通話を終えたリカインに恐る恐る、問いかけてきた。
 対するリカインはというと、諦めた様子で小さく肩を竦める。
「うん……そのもしかして、よ。もう一度、潜るわよ」
 嫌になるぐらいの簡単明瞭な応えに、ソルファインはがっくりと肩を落とした。リカインがやるというからには、ソルファインも付き合わなければならない。

 それから二時間後、ふたりはモルガディノ書庫内にて、フレームリオーダーが無限機晶器を内蔵したサイボーグ生物である事実をやっとの思いで突き止めた。
 その結果が活かされるかどうかについても、矢張り、また別の話である。


『スイートルーム』 了

担当マスターより

▼担当マスター

革酎

▼マスターコメント

 当シナリオ担当の革酎です。
 このたびは、たくさんの素敵なアクションをお送り頂きまして、まことにありがとうございました。
 シナリオガイドでSAWフロと見せかけておいて、実は七人の悪魔超人でした。見抜かれておられた皆様、お見事でございます。

 今回、七人の悪魔を倒された方には称号として各悪魔の名称が付与されていますので、ご確認ください。
 これらの称号がどのような意味を持つかといいますと、今後下名が担当するシナリオ中で、各悪魔の名称に該当するオブジェクティブ能力の一部が使用可能、ということになります。
 例えば『マッスルブレイズ』なら、今後下名のシナリオ中にて、マッスルブレイズの炎熱を利用した格闘戦が可能になる、といった具合です。
 またオブジェクティブとしての能力を身につける訳ですから、まだ存在している他のオブジェクティブと戦う際に、諸々の特典が得られます。その内容は、是非ご自身の目でお確かめ下さい。


 ところで一部のお客様から、『過去のシナリオで発行された特定の称号や装備を所持するPCだけが、特別に有利になるのは不公平ではないか。あまり常連さんと新規さんを差別化すると、新規さんは全然楽しめない』という旨のご意見を頂きました。
 これは下名のマスタリング全体に関わる話ですので、この場を借りて公に回答致します。

 まず結論からいいますと、下名の担当シナリオ(但し運営サイドが用意したイベント系シナリオ等は除く)に於きましては、下名の過去シナリオに参加履歴のあるお客様が有利となるスタイルは今後も一貫して継続していく、という回答になります。

 基本的に、下名のシナリオは非常に連続性が強い内容となっております。
 連続性が強いということは、出遅れたお客様が先行するお客様に対し、多かれ少なかれ、何らかのハンデを背負うということでもあります。
 こういったハンデはアクション次第で挽回可能ですし、場合によっては常連のお客様を大逆転することも出来ますが、そのようなプレイスタイルを好まれないお客様も大勢いらっしゃいますので、下名のシナリオに参加を検討される場合は、上記内容を参考として頂ければ宜しいかと存じます。

 上記回答は、後日マスターページの方にも反映させる予定ですので、今後下名が発表するシナリオガイドにもほぼ全て適用されるとお考え頂ければ幸いです。


 長くなりましたが、今回はこれにて失礼をば。
 またのご来場をお待ちしております。