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ゾンビ トゥ ダスト

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ゾンビ トゥ ダスト

リアクション

 最前線で戦っていたオフェンダーの活躍もめざましいものだったが、ゾンビの数はそれを上回り倒しきれず後ろに取りこぼしてしまう。
 だが彼らはそれを追わなかった。彼らオフェンダーは、ディフェンダーを信じて最前線で戦い続けるのだった。
「来ましたね、最前線の戦線を越えて来てしまった者たちが。しかし、彼らにも罪はない。だからこそ私は、彼らも助けたい」
 そう言うのは真っ白な外見で立つエメ・シェンノート(えめ・しぇんのーと)だ。以前にも、二つの像と同じような者の為に戦っているため、今回もまた守りたいと思い像を守るディフェンダーとしてきていたのだ。
「これはこれは、思った以上の数だね。骨が折れるよ」
「あんまり手加減してるとこっちがやられちゃうにゃう」
 エメの隣で戦況を見極めているのはアレクス・イクス(あれくす・いくす)リュミエール・ミエル(りゅみえーる・みえる)の二人だった。
「仔猫ちゃんの言うとおりだ。救いたい救いたいなんて思って戦ってたらこっちがやられていた、なんていう展開もありうる数だ。割り切ったほうがいいぞ、エメ」
「そうにゃう。今回ばっかりは割り切ることも考えたほうがいいにゃうよ」
「わかっています。この数が尋常ではないことを。それでも、私は彼らも救いたい。二つの像もそれを望んでいるのではないかと思うのです」
 あくまで戦闘に徹しろという二人に対して、一人だけ全てに救いをというスタンスを崩さないエメ。
「甘いな。まあ今回は僕が攻めでエメは守りだ。数が足りなくて今は前のほうで戦っているけど後で像のところまで戻って戦うし、いいか」
「リュミも甘いだにゃう、甘甘だにゃう」
「うるさい仔猫ちゃんだ。そんなことより、対ゾンビ用の武器はできたのかい?」
「もちろだにゃう! 聖水をたっぷりしみこませたティッシュが完成したにゃう!」
「よりによってそれかい、まあ期待しているよ」
「エメとリュミにも二〜三枚あげるにゃう」
「ありがとうございます」
「使わないと思うけど、ありがとう」
 三人のやりとりの前に詰め寄るゾンビたち、ついに作戦の中核であるディフェンダー部隊がゾンビと交戦する。
「……もう生者として歩けないならばせめて、安らかに眠れるように塵へと還します」
 二人に【禁猟区】をかけた後、各種防衛スキルを使用。敵の注意を引くために『光精の指輪』を光らせて注意を引くエメ。それに釣られたゾンビをすかさず【神の目】で攻撃するリュミエール。
「悪いが、僕は君たちを敵としか見ないからね。成仏したいのならエメのほうに行くといい。まあ触れることすらできないだろうけど」
「ボクを忘れてもらっては困るにゃう!」
 そう言って自身の機関銃を聖水仕様に変えていたアレクスも攻撃。次々とゾンビたちは塵へと還っていく。
 三人は、人手不足が解消するまで前のほうで戦うのだった。

「今回もあんまり戦いたくないからディフェンダーになってみたら、もうゾンビのお出ましかよ……」
 そう言いながらゾンビを視認するのは瀬島 壮太(せじま・そうた)だ。壮太は聖水式落とし穴を仕掛けるために一旦像から離れていたのだ。
 そこに運悪くオフェンダーが狩りきれなかったゾンビが来た、というわけだ。
「あんまり戦いたくないからこそ、ディフェンダーを選んだってのに。これじゃ本末転倒じゃねぇかよ……」
 壮太が愚痴ってもゾンビの動きは止まってはくれない。まだ壮太には気づいていないようだが、このままでは像に向かうことになるだろう。
「ああもう! 乗りかかった船だ! 仕方ねぇから最後まで付き合ってやろうじゃねぇか! おいゾンビ野朗! こっちだ!」
 大声を出してゾンビの気を引く壮太。それに気づいたゾンビが壮太のほうへと向かいだす。さらに、後ろからわらわらと新手のゾンビが沸いてくる。
「くそ、増えるとか聞いてねぇぞ! でもまあいい、一網打尽だぜ!」
 丁度仕掛け終えた落とし穴に誘導する壮太。そのまま、見事に落とし穴に引っかかるゾンビの群れ。すかさず駆け寄りその穴に円裂刀を投げつけて止めを刺す。
「うし、これでとりあえずなんとかなった……っ!」
 落とし穴に気をとられすぎて後ろからにじり寄ってきていたゾンビに気づかず、攻撃を受けてしまう壮太。
「く、クソッタレ!」
 動揺しながらも【炎術】をゾンビの足元に発生させて足止めをして、円裂刀で倒す壮太。
「はぁはぁ、オフェンダーのやつらはずっとこれの続きとか、考えられないぜ」
 しかし、一難さってまた一難。壮太の後ろからは一つ、二つと次々にゾンビたちのうめき声が聞こえてきていた。
「こりゃ、落とし穴を設置したかいがあったかもな。少しは報われたってところか?」
 そう言いながら円裂刀を構え直す壮太。最悪の場合を考えつつも、決して引こうとはしない。
「まあ俺一人じゃいつかは像のところまで引いちまうだろうが、そこまでいったら腹くくるさ!」
 そう言って落とし穴と【炎術】を併用してゾンビに立ち向かっていく壮太だった。

「来たか」
 即席のバリケード、自ら持ってきた兵器を改造してもらった特別製の第一銃座に跨りゾンビを待ち続けていたのは大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)だ。
 彼の後ろには第二銃座も用意されており、この第一銃座にも爆弾が仕掛けられていてゾンビたちがここに殺到するようであればここを爆破する手はずを整えていた。
 その隣ではパートナーのコーディリア・ブラウン(こーでぃりあ・ぶらうん)が固唾を呑んで待っていた。彼女もまた地面を清めることでゾンビたちの歩行を妨害することに一役買っていた。
「危なくなればすぐに下がるぞ、この数だ。そう遠からず、ここも爆破することになるからな」
「わ、わかりました」
 ゾンビたちが剛太郎が使用する銃座の射程に入った。途端に、剛太郎が動き出す。銃座からは雨のように射出される聖水使用の弾薬がばら蒔かれる。
 一体目のゾンビがあっという間に蜂の巣にされる。すかさず剛太郎は射線をずらして次のゾンビへと。
 最初は優勢だったものの、想像以上のゾンビの数に銃座の周りは瞬く間にゾンビに囲まれようとしていた。
「こ、来ないでください!」
 それまで剛太郎の言われるまま弾薬補充をしていたコーティリアも、【浄化の札】で剛太郎と自分に近づいてくるゾンビたちを撃退していた。
 二人の奮闘も空しく、辺り一体がゾンビの群れになりつつあった。
「これは、思っていたよりも早すぎるな……もう少し粘りたい、が」
 ちらっとコーディリアを見る剛太郎。その顔には若干の疲弊が見えていた。バリケードがもう少し完全であれば悔しい表情をする剛太郎。
「コーディリア、これ以上は危険だ。下がるぞ」
「は、はいっ」
 銃座を放棄して軍用バイクに乗り込む剛太郎とコーディリア。エンジン全開で後ろへと後退する二人。銃座での足止めがなくなったせいか、銃座の周りはゾンビで埋め尽くされる。
 それを確認した剛太郎がポケットから、第一銃座にセットしている爆弾のスイッチを取り出す。ゾンビが一番多く巻き込めるタイミングでそのスイッチを押す。
 轟音とともに吹き飛ぶゾンビたち。これでいくらか時間が稼げるだろう。
「疲れているとは思うが、このまま第二銃座まで戻ってバリケードをできるだけ再構築する。平気か?」
「だ、大丈夫ですっ」
「わかった、ならしっかり捕まっていろ!」
「はいっ!」
 そう言って第二銃座がある場所まで全速力でバイクを走らせる剛太郎だった。