天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

【冬季ろくりんピック】情け無用! アイス騎馬ホッケー!

リアクション公開中!

【冬季ろくりんピック】情け無用! アイス騎馬ホッケー!

リアクション

「さぁ、前半戦も残りわずか。西シャンバラチームは追いつけるでしょうか?」
「攻撃メンバー主体のチームだからな。これはまだまだ分からないぞ?」
 パックを持つのは西チーム、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)
「一点差……。なら、まだ行けそうですね」
「オレ達も手伝うよ」
「貴重な一点だもの取り返そう」
 ハインリヒ・ヴェーゼル(はいんりひ・う゛ぇーぜる)鶴 陽子(つる・ようこ)の言葉を聞いて頷くベアトリーチェ。
「それでは、時間もありませんし一気に畳み掛けましょう!」
 ベアトリーチェを先頭に三人が突撃する。
「来たな。さっきのようにはいかんで!」
 すでに第一防衛ラインとなっている優奈達がベアトリーチェ達の前に立ちはだかる。
「今度は止めるよ。みんな!」
「また出番だな! やろうども行くぜぇ!」
「ヒーハー!!」
 優奈のスサノオ隊にウル達、更にモヒカン達が襲い掛かる。
「ヒャッハー、ヒャッハー!」
「フルヒャッハー!」
「なんだこいつら……、邪魔すぎる……!」
 周りでぴょんぴょんはねるモヒカン達に足止めを食らうハインリヒ。
「ガウッ!」
「さぁ、ウル達を抜けるかな?」
「何とか進まないと……!」
 同じようにウルとウルフ達によって足止めを食らう洋子。
「うっ……!」
「いてこましたれ!」
 その間に、ベアトリーチェに襲い来るスサノオ隊。
「ベアの邪魔はさせないんだから!」
 だが、支援に来ていた小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が『サイコキネシス』を使い。スサノオ隊を吹き飛ばした。
「美羽さん、ありがとうございます!」
「スサノオを吹き飛ばすなんてやるなぁ……、でも、うちにだってまだ手はあるんやで! いでよ雪だるま兵団!」
 優奈の言葉と共に天から飛来する。『召喚獣:不滅兵団』を媒体とした中身が鋼鉄の雪だるま。大きいものから小さいものまで、たくさん降ってくる。
「わわっ!?」
 必死で避けるベアトリーチェ。
「ベア!?」
 美羽が『サイコキネシス』で援護するも、数の多さに間に合わず。
「今や! 頼むで!」
 更に『召喚獣:ウィンディゴ』で雪男を召喚。必死で避けているベアトリーチェからパックを奪い優奈の元へ。
「しまった!?」
「よっし! みんなありがとな! ここから反撃――」
「それを待っていたよ……」
「え?」
 直後、モヒカン達を吹っ飛ばして脱出していたハインリヒが優奈の近くを通る。だが、パックを取られたわけでもなく、何も起きない。
「な、なんだった――」
 と、優奈が言いかけた瞬間。ビリッ! という嫌な音が聞こえる。
「……な、なんやこれ!? ど、どうして!?」
 何かに気づいた優奈がその場にしゃがみこむ。
「優奈どうしたの?」
「しゃがみこんじゃって……、って、えぇ!?」
「わっ!!」
 驚きの声を上げるウルとレン。
「優奈選手どうしたのでしょうか?」
「胸元を押さえているようだな」
「ふふ、良い感じに足止めになったね」
 ハインリヒの手には鋏が握られていた。
「な、なんで服が破れてるの!?」
 その言葉にいち早く反応したのはモヒカンホッケーチームの皆さん。
「なんだと!?」
「それは一大事じゃねぇか!?」
 なんて言いながらもちゃっかり見ようとしているモヒカン達。
「見ちゃだめだよ!!」
 それをレン達が止めていた。
「さっきの……! これあり……?」
「主審さん、どうネ?」
 キャンディスが話を振ると佳奈子達がまたも難しい顔……というよりは顔を赤くしていた。
「は、破廉恥ですのっ!」
「た、確かに。まさかそんな方法まで……」
「女としてはちょっと恥ずかしいわね……」
「ですが、今回のルールは何でもあり……。妨害行為も三秒以内であれば許される……。失格にできる確率はあまり高くないですね」
「そうね……。優奈さんには可愛そうだけど……。有効ね」
 佳奈子が白旗をあげる。
「おっと、主審からは白旗! ゲームは続行だ!」
「ごめんね……。そういうわけだからこれはもらうわね」
「あっ!」
 混乱している優奈達、そして、優奈に釘付けのモヒカン達をすり抜けパックを取りゴールへ向かう陽子。
「うちは大丈夫だから。みんなは守備を!」
「わ、分かった!」
「うん!」
「お、おう。やろうどもいくぞー!」
 優奈の言葉にレン達が慌てて守備に戻る。
「代えの服取りに行かんとなぁ……」
 レン達が行ったのを確認した優奈は一時、控え室へと向かった。

「……ふぅ、拾う作業も楽じゃないね」
 その頃、ジークリンデの方では、ハインリヒに吹っ飛ばされリンク外に落ちていたモヒカン達の回収作業に追われていた。
「めんぼくねぇ……」
「……よいっしょ。しっかりつかまっててくださいね?」
 ジークリンデと一緒に回収作業をしていたティー。
「おうよー」
 だが、呼び声むなしくつるりと滑っていく手。
「あ……」
「なんてお決まりなんだぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 そんな叫びと共に落下していったモヒカン。雲の藻屑となっていった。
「……だ、大丈夫! たぶん日ごろの行いの差です……!」
 そのまま何事もなかったかのように回収作業に戻るティーだった。

「やり方に少し難はあったが……。良くやったな」
「そ、そうですね」
「でも、守備が薄くなりました。今から行けます!」
「そうだな。突き進むぞ!」
 突き進む陽子にベアトリーチェ、加夜、涼司の三人が合流する。
「みんな頑張って!」
 美羽が全員に『ゴッドスピード』をかける。
「サンキュー!」
「お、気が利くな!」
「ククク……、燃やしてあげるわ!」
 そこに、レロシャンが『パイロキネシス』で炎のカーテンを作り行く手を阻む。
「……行きます!」
 加夜『グレイシャルハザード』を放つ。冷気は炎のカーテンを打ち消し、溶けた氷を更に凍らせ、小さな坂を作り上げる。
「行かせませんよ!」
 クロセルの『電磁ヨーヨー』が涼司向けて放たれる。
「よっと!」
 それを作り上げられた坂をよういたジャンプで回避。ヨーヨーは坂を直撃し、坂を粉砕させただけだった。
「なんと! 見事な回避ですね……」
「ウル達も行かないと……!」
「そうだね」
 レン達も慌てて守備に入る。
「ここは通らせていただきます」
 ベアトリーチェが『ミラージュ』で分身。二人を翻弄する。
「わわっ!」
「どっち!?」
 これにはウルフ達も困惑し、動けないでいる。
「失礼します」
 その隙に二人を追い抜くベアトリーチェ。
「ヒャッハー! 女きたあぁぁぁ!」
「さぁ、お嬢さん俺様の胸に飛び込んでおいでぇ!」
 陽子の前には別のモヒカン達。
「それで、行く人なんていないわよ!」
「しょうがねぇ、俺様が飛び込んじゃうよぉ!」
「あ、ずりぃぜ兄貴! なら、俺様も!」
 ぴょんと飛んできたモヒカン達。
「悪いけど、先を急ぐから!」
「ぐはっ!」
 したたかに床に顔面ダイブを決め込んだモヒカン達を綺麗にかわしながら突き進む陽子。そして、四人はゴール前へ。
「リラードさんをお願いします!」
 つかさずベアトリーチェがパビモン リラードを要求。
「おっと、ここでベアトリーチェ選手がリラードを要求! ティーさん、サクッとお願いするぜ!」
「リラードさん、また出番ですよ。お願いしますね」
「痛いケド……頑張るリラ!」
「失礼しますね」
 導入されたリラードを叩きたくさん分裂させるベアトリーチェ。
「お、気が利くな!」
「一気に行きましょう!」
「させないよ!」
 シュートを打とうとする四人。レキが『サイコキネシス』を使い軌道をずらす。
「私を忘れてもらっちゃ困るんだから!」
 それを美羽が『サイコキネシス』でレキの『サイコキネシス』を相殺。
「えいっ!」
 陽子がずれたパックとリラードを『風術』で修正する。
「行くぜぇ!!」
 涼司の合図と共に四人同時の大量シュート。
「防げるだけでも……!」
 北都が『超感覚』で数と位置を把握。
「数は9……。行くよ!」
「やれるだけやってやろう!」
 北都とモーベットが迫り来る球を弾いていく。だが、こぼれた球が入っていく。
「……最後まで諦めるわけには!」
 二人で奮起した結果、入った数は4つ。
 ピーッ! そこで前半戦終了のアラームが鳴る。
「前半戦終了! 終了間際、すばらしいものを見せていただきました!」
「だが、東シャンバラチーム四点の大量失点。現在5対2と三点差! これは厳しいところだ」
「でもマダ、前半戦。しっかり休んデ、後半戦に望んで欲しいネ」
「そうですね。それでは、皆様しばしの休憩タイムに入ります。しっかり休んでくださいね」
「心の火は消すんじゃねぇぞ? ボンバー!!」