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蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!

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蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!
蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!! 蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!

リアクション

 
〜 蒼空ヒーロー大戦 Siene 4 前篇その3 〜


 「何?今の声は……何者!?」
 『『輝け!乙女の力☆魔法変身』』

止めの引導の瞬間を邪魔された綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)こと【魔法少女すーさいど☆さゆみん】
彼女の声に呼応するように二人の声が変身音と共に響き渡り、煌びやかな音と共に声の主
ジーナ・フロイライン(じいな・ふろいらいん)飛鳥 桜(あすか・さくら)がステージ両脇から姿を現した

 「魔砲少女・ジナ!」
 「同じくヴァルキュリア・サクラ!」
 「「ふたりはバニ☆パニ」」
 「悪い奴はワタシたちがゆるしません!」
 「さあ、正義と自由のジャッジを始めるよ!」
 「「この世にヒーローがいる限り、悪が栄えたためしはない!」」
 「二人とも!来てくれたのね!!」

稽古を重ね、練りに練られた華麗な名乗りポーズをばっちり決める二人
そのまま舞台中央奥で追い詰められているリネン・エルフト(りねん・えるふと)の声を受け
桜扮する【ヴァルキュリア・サクラ】が毛元気良く声をかける

 「僕達達が来たからにはもう大丈夫!後は任せて!」
 「見つけたわよ!【悪の行動隊長・虎鬼】!今日こそワタシ達が手下もろともお前を倒してやるんだから!
  覚悟しなさいこの悪党!!」

続いてジーナ扮する【魔砲少女・ジナ】が山下 孝虎(やました・たかとら)こと【虎鬼】を指差し言葉を放つ
それを悠然と受け、ニヤリと笑いながら【虎鬼】が言葉を返した

 「ふん、派手に姿を現したと思ったから誰かと思えばお前達か、この………この?」

しかし不意に外見に似合わず言葉を詰まらせる悪の行動隊長

 「(しまった、二人の登場に見とれてたら台詞忘れた……えっと、なんだっけ…………?ああもう、ままよ!)
  ……このぺったんこコンビ」

今まで演じてきたキャラから180度反転したような彼の言葉に一瞬場が凍りつく
……そしてすぐに鳴り響いたのは、登場した助っ人二人のビキリ!……というコメカミが鳴るありえない音だった

 「な、ななななななななななななな!いきなり何を言ってるんだこのおっさんは!」

顔を真っ赤にして怒声を放つ【ヴァルキュリア・サクラ】
続けて【魔砲少女・ジナ】が居直って胸を張りながら反論する

 「びにゅーはステータスです!レッドデータブックに載るほど大切なのですっ!
  そんな貴重さを知らないとわ!」
 「そうそう!乙女のステータスを馬鹿にしただろ!
  もっさりした食生活送ってるおっさんには……って、そこ反論するとこじゃないから!」

すでにノリツッコミが彼女達の中で展開されていく流れに
再び台本進行外の展開が予想されるか……!?と浮き足立つ裏方スタッフの面々
舞台監督風森 巽(かぜもり・たつみ)が強引に進行を進めるべく指示を出そうとした刹那、舞台に声が鳴り響いた

 『勝手に盛り上がってるんじゃねぇ!俺もいるぜ!』

声と共に姿を見せたのはベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)
台本上、すぐさま一緒に現れる予定だったのだが、いつまでも切欠の台詞がジーナたちから出てこないので
痺れを切らせてアドリブと共に登場したのである

(「ったくアリッサの奴面倒なモノに俺まで参加させやがって……まぁフレイの手間だ、しゃあねぇ……やるか!」)

イベントに参加するべくスタッフを名乗り出たパートナーフレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)が心配で
なし崩しにキャストに参加させられたゆえ、乗り気ではないのだが
何より惚れた相手が一生懸命頑張っているイベントがグダグダになるのは我慢なら無い
そのまま腹をくくり、舞台の共演者全員に台詞を紡ぎだす

 「なにやら面白そうな事やってるじゃねぇか?俺も混ぜろよ!
  どうやらピンチな方に付くのが盛り上がりそうだ……正義に興味はねぇが、今日はそっちについてやるよ
  【ダークヒーロー・ベルヴァリン】暴れてやるから覚悟しな!」
 「自分からダークなのにヒーローって……」
 「うるせぇ!俺が正義と言ったら正義だっつの!」

女幹部【マジカルアーマーダークアリッサちゃん】ことアリッサ・ブランド(ありっさ・ぶらんど)の突っ込みを
即座に一刀両断し、登場したセット最上段からリネンの元に飛び降りる【ベルヴァリン】

台本どおりだと、ここで【悪の行動隊長・虎鬼】は戦闘を任せて自分の傍に戻りながら
自分の傍で佇んでいるはずのルカルカ・ルー(るかるか・るー)扮する暗黒騎士とともに退場する流れである
……が、気がつけば彼女は既に舞台上から消えていた

 「予想外に流れが変ったようだな……だが悪いがお前たちと遊んでいる時間は終わりだ
  先ほどの人質の女どもは頂いていく、後はおまえ達で何とかするがいい」
 「かしこまりました【虎鬼】様!というわけで、覚悟してください」
 「数が増えたところでアリッサちゃん達には問題ないよ!戦闘員よ!やっちゃえ〜!」

彼女に言葉を履き捨て、そそくさと立ち去る【悪の行動隊長・虎鬼】
【魔法少女☆さゆみん】と【ダークアリッサちゃん】の言葉と共に、前半最後の戦闘が繰り広げられる
   

 「【ダークシールド!】……覚悟しな!かたっぱしから暴れてやるぜ!」

【双龍のバングル】をシールド展開
【黒うさ戦闘員】芦原 郁乃(あはら・いくの)鬼久保 偲(おにくぼ・しのぶ)の二人がかりの攻撃を防ぐ【ベルヴァリン】
そのまま【双龍のバングル】をナックルに変換し残りの戦闘員二人
蒼天の書 マビノギオン(そうてんのしょ・まびのぎおん)アンタル・アタテュルク(あんたる・あたてゅるく)に踊りかかる


 「ほらほら!歌わせる間は与えないよっ!」
 「いい気にならないで!貴様は、私に倒されるべきなんだ!」

【クレセントアックス】を振り回し【魔法少女☆さゆみん】に攻撃を繰り出していく【魔砲少女・ジナ】
歌の攻撃を連撃で封じられ、痺れをきらせた【魔法少女☆さゆみん】が【含み針】とともに剣を突き出す

 「なんのっ!ガードタイフーン!正義の力はこんなものじゃないよ!」

【クレセントアックス】をバトンのようにくるくる回し攻撃を防御した後、再び反撃に踊り出る【魔砲少女・ジナ】


一方で【ダークアリッサちゃん】と【ヴァルキュリア・サクラ】の戦闘も盛り上がっている

 「真打ちの実力はこれからだもんね!良い子はやっつけちゃうよ!【マジカルアーマーダークアロー☆】」
 「なんのっ!【ヒーロー☆エスケープ】」

【ダークアリッサちゃん】のアルテミスボウを超感覚発動でバック転回避
そのまま派手な決めポーズと共に護国の聖域を発動する【ヴァルキュリア・サクラ】

 「どうした!その程度ならこっちからいくよ!」
 「攻撃をかわした位で調子にならないでよ!この貧にゅ……」
 「【シィィィィィルドストライク!!】」 
 
つい先ほどの勢いで禁句を口にしそうになった【ダークアリッサちゃん】に技を発動する【ヴァルキュリア・サクラ】
敵が喋る前に盾をぶん投げるという荒技をギリギリ【龍鱗化】で防御する【ダークアリッサちゃん】
ガッキィィィィィィィン!という音がステージに鳴り響き、荒い息ともに悪の女幹部の顔が恐怖に引きつる

 「【マジカルアーマーガード☆】……あ、あぶなかった、思わず勢いで言っちゃ……!?」
 「【ホールドウィップ】………逃げられるものなら逃げてみろ……」
 「ちょ……ワイヤークローって!?サクラちゃん本気だしす……」
 「【レディアントヴァルキュリアキィィィィック!!】」

ギャリッ!!という地面を削る音と共にバーストダッシュの助走で天高くジャンプする【ヴァルキュリア・サクラ】
空中回転を入れてからの武器の聖化とともに光の飛び蹴りが派手に炸裂した

 「イタタタタタタ……あれ?」

【龍鱗化】で何とかダメージを受けて舞台袖に転がったアリッサが周りを見ると
残りの悪役全員は既に殺陣を終えて集まっているところであった

 「この俺が全員まとめてぶっ潰す!【ブラッディ・ナイト!!】」

【ベルヴァリン】ことベルクが放つエンドレス・ナイトメアの力により全員が苦悶の声をあげる
……無論、ここまではお芝居である。約一名の本気をのぞいては………

 「正義の弾幕、思い知るのです!」

魔法の効果が切れアリッサ達が【魔砲少女・ジナ】の声で顔を上げると

【六連ミサイルポッド】をセットした彼女と
【ドライゼ銃型光条兵器】をセットした【ヴァルキュリア・サクラ】……もとい、目の据わった飛鳥 桜がいた
……もちろん、その照準はざっくりと約一名に向けられ、その本人が悲鳴をあげる

 「ちょっと桜ちゃん!無しなし!さっきのは謝るからっ……アリッサちゃん言いかけただけだからっ!」
 「【バニ★バニ】のバニーの意味はバニッシャー!……星が黒い時の僕らはもう止められないよ」
 「ちっとも聞いてないし!そんな名前の星なんて読んでる人しかわからない内輪ネタ……」
 「「【ツインバニースナイプ!】」
  誰がつるぺただぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 「いってないしぃぃぃぃぃぃぃ!」

重なる業の名、その後の約一名の絶叫……そしてアリッサの悲鳴とともに多量の弾幕が舞台に炸裂する
大量の光とスモークに包まれ、それが晴れたのを見計らい【魔法少女☆さゆみん】と戦闘員達が舞台袖に移動する

 「仕方ない!ここは一旦引きます!覚えてなさ〜い!」

8割芝居、残り2割本気で退散する悪五人。ようやくその後
一人だけ実弾(加減あり)を喰らってボロボロの【ダークアリッサちゃん】もといアリッサがよろよろと移動する

 「うえーん!桜ちゃんに苛められたぁぁぁぁぁ〜!
  ひっく…い……いつかぎゃふんと言わせるんだからぁ!覚えてるといいんだもんねー!!」

そのまま脱兎の如く退場するアリッサ
最後にちゃんと芝居をこなしたあたりは役者の鑑と褒めてあげたいところである



 「さ………三人とも、ありがとう。たすかった……わ?」

目の前の戦闘に若干あっけに取られていたリネン……もとい【天空騎士リネン】が我に帰って芝居を続ける
台詞を受けて振り返った一人のバニッシャーは元の【ヴァルキュリア・サクラ】に戻っていた
(若干、晴れ晴れとした顔をしているのは多分気のせいだとリネンは思う事にする)
彼女の次にリネンの傍に来た【魔砲少女・ジナ】が彼女に問いかける

 「リネンちゃんこそ大丈夫?」
 「私はおかげさまで何とか……でも今はそれより、さらわれたお姉さん達を何とかしないと」
 「早く探さないと【秘密結社オリュンポス】は人の恐怖を集めて、古の兵器をよみがえらせようとしているって!」

芝居に戻った桜も【ヴァルキュリア・サクラ】として会話に参加し言葉を続ける

 「とにかくリネンさんは怪我を治さないと!
  【オリュンポス】の暗躍を知り、多くのパラミタの戦士がこの地に集まっているんだ
  僕達は又、別の場所をパトロールしないといけないから、後は彼らに連絡を取り全てを任せよう!」
 「悪いが俺の出番はここまでだ、俺の道は俺が決める
  だが又、風が気まぐれに吹いたらお前たちの味方をするかもな!じゃぁな!」

【サクラ】達の会話を聞いていた【ダークヒーロー・ベルヴァリン】が一足先に退場する
そして立ち上がった【天空騎士リネン】が会場に向かって話しかける

 「会場のみんな!私たちはここから離れるけど、何かあったら今みたいに大きな声でヒーローを呼んでね!
  そしてもし彼らがピンチになったら、今みたいな大きな声で応援をよろしくね!」

は〜い! という子どもの反応を背に退場する【天空騎士リネン】【魔砲少女・ジナ】そして【ヴァルキュリア・サクラ】


舞台は少しの間を置きながら、何とか無事に後半へと続くのであった………