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蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!

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蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!
蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!! 蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!

リアクション

 
〜 蒼空ヒーロー大戦 Siene 6 後篇その1 〜
 
 
時間ともにステージが暗くなり、不穏な音が鳴り響く
子ども達と応援練習をしていたテスラ・マグメル(てすら・まぐめる)長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が驚くなか
【魔法少女すーさいど☆さゆみん】こと綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)が姿を現す

 「調子に乗るのもそこまでよ、会場のちびっこ諸君!
  先程は不覚を取ったけど、同じ過ちを繰り返す私じゃない……出でよ!私の可愛い仲間たち!」

彼女の声と共に照明がフラッシュし、ステージセットの数箇所から次々に悪の刺客が姿を現す

 「【死神カラベラ】……只今参上!」

骸骨を象った衣装に身を包み、最初にラルフ モートン(らるふ・もーとん)が華麗に登場
ダブルムーンサルトプレスの応用で舞台に降り立ち、派手に名乗りを上げる

 「【行動隊長ヘル・ムギー】ここに!……出でよ我が最終兵器!【怪人・ドンヂー】そして【高知県民】」

続けて鈴木 麦子(すずき・むぎこ)扮する新たな悪の行動隊長があらわれ、雷鳴と共に仲間を召還する
音にあわせ、一人の最終兵器と獣が姿を現す

 「いや〜ん♪爪が伸びちゃったの。ネイルのお手入れ大変よ☆」

一方、両手に装備した鉄の爪(自作)を舐め、テカテカに輝かせながら登場するのは鍛冶 頓知(かじ・とんち)
この段階で一番の観客側の恐怖の歓声があがるのは恐らくその容姿のせいであろう
その傍らにいる獣こそ残りの最終兵器【高知県民】……まぁぶっちゃければ犬である

その様に個性溢れる幹部が揃う中、更に【魔法少女☆さゆみん】の言葉は続く

 「ふふふふふ……この精鋭に恐れをなすのはまだ早いわよ?
  【ドクター・ハデス】様が望むのはあなた達の恐怖に怯える心のエネルギー!
  これよりこの【悪の魔法少女『魔法少女すーさいど☆さゆみん』】があなた達を恐怖のどん底に陥れてあげます!
  力には力を!古代の竜の力をここに……い、出でよ!【大悪恐竜テラー!!】」
 「がぅぁぅぐぐぐぅがぁー!」
  
彼女の台詞とともに舞台中央がせり上がる
そこからバーソロミュー・ロバーツ(ばーそろみゅー・ろばーつ)クロウディア・アン・ゥリアン(くろうでぃあ・あんぅりあん)に挟まれ
テラー・ダイノサウラス(てらー・だいのさうらす)が特殊光源で迫力満点に姿を現した
稽古のときのトラウマ直前の恐怖を克服し、誇らしげ(やや居直り気味)に佇む【魔法少女☆さゆみん】

 「さぁおまえ達!この会場を派手に襲って、徹底的に泣かせておしまいなさい!
  それが嫌だったら一刻も早くヒーローを呼ぶ事ね!さぁ……や〜っておしまいっ!!」

テンションが昂ぶり若干キャラがぶれた方向で命令を下す悪の魔法少女
彼女の命で一斉に実に威勢よくそれぞれが会場に踊り出る
目の前の大恐竜より、くねくねとしなを作って鉄爪を煌かせる某幹部の方が
なんだかいろんな意味で阿鼻叫喚気味なのはこの際見ないことにして、会場に呼びかける司会二人

 「大変だ!会場のみんな!さっきまで練習した元気な声で、ヒーローを呼ぶよ!せ〜のっ!」
 『ヒーロー!』

テスラ・マグメル(てすら・まぐめる)の誘導で会場の子ども達がヒーローコールを行う
それに長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が続く

 「ダメだ!そんな小さい声じゃなく、も〜っと大きい声で呼ぶんだ!もう一度行くぞ!せ〜〜〜〜のっ!!」
 『ヒーロー!!』 



 「そこまでだ!悪党どもっ!」

子どもの声を受けて、ステージに高らかに声が響き渡る
派手な効果音とセット中段中央の扉が割れ九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)が姿を現す

 「【魔法少女・ライトニング・フェニキア!!】みんなの笑顔は私が守るっ!!」

ジャキィィィィン!と魔法少女と相反した格好いい音と共に見得を切る【ライトニング・フェニキア】
それに対してリーダーを差し置いて言葉を投げかける【怪人・ドンヂー】

 「やだ、かっこいい……でもそれだけじゃボク達の足はとめられなもんね! たった一人でこの数が相手に……」
 「ニャンコたちもいるよっ!!」
 「ブレイズアップ!メタモルフォーゼ!!」

【怪人・ドンヂー】の言葉を遮る様に【ライトニング・フェニキア】の背後に二つの影ぼんやり見える
変身及び登場効果音にあわせスモークが完全に晴れる
そこから勢い良く超 娘子(うるとら・にゃんこ)永倉 八重(ながくら・やえ)が姿を現した

 「呼ばれて飛び出てニャニャニャニャーン
  【正義のヒロイン☆ウルトラニャンコ】ここに参上!」
 「同じく【紅の魔法少女ダブルド・ルビー】参上!」

それぞれ元気良く派手に名乗りを上げる二人
特に娘子こと【ウルトラニャンコ】は先行ヒーローグッズ販売の効果もあり、満を持した態で子どもが沸き立ち
影でガッツポーズをする功労者霧島 春美(きりしま・はるみ)

 「雁首そろえて何を企んでいるか知らないけど、ここからは私たちが相手よ!」
 「面白いわ!あなた達、全力で相手をしてあげなさい!ヤッチマイナァァァァァ!!」

テンション最高潮の【魔法少女☆さゆみん】の声で
【大悪恐竜テラー】を覗き客席に降りていた悪の面々が再び舞台上に戻っていく

 「派手にいくわよ!レディィィィィ!」
 「「ゴォォォォォォォォッ!」」

【ライトニング・フェニキア】の台詞と共に揃った掛け声で3人が一斉にセット中段から天高く舞い上がり
華麗な空中回転と共にそれぞれの悪の幹部の下に降り立った



 「うなれニャンコの拳と肉球っ!」
 「ふん!可愛いは正義のつもり!?ねたましい!相手になってあげる!いくわよ【高知県民(土佐犬)】」
 「ニャンコにだって犬はいるんだからっ!」

舞台上手で繰り広げられるのは【ウルトラニャンコ】と【怪人・ドンヂー】
肉球と爪、本物と紛い物(性別)の戦いが繰り広げられる
一方でそれぞれのパートナー【パラミタ・セントバーナード】と【高知県民(土佐犬)】の闘犬……もとい戦いも展開
スピーディーな動きで巧みに【ドンヂー】の爪の攻撃をかわす【ウルトラニャンコ】

 「砕くぞ悪の心と野望っ!チェスト〜☆」

沸き立つ応援の中、彼女の拳が華麗に繰り広げられていく



 「ヨ、アラス バリエンテ!!空中でオレ勝てるかな!?」
 「望むところ!ライトニングの妙技を味わいなさい!」

一方、セット中段では、キャラ心躍る肉弾空中戦が繰り広げられている
戦うは【ライトニング・フェニキア】と【死神カラベラ】
それぞれの出で立ち、そして【魔法少女】と【死神】という個性溢れるキャラ設定が
完全に【ルチャ・リブレ】のそれと重なり、何だかこちらはお父さんたちが熱狂的に盛り上がっている

 「おお!すげぇアレは【コルバタ】ああ!【ラ・ケブラーダ】で反撃だと!?
  うおおおおおお燃えるぜ!【セントーン】がこんな所で拝めるなんてっ!!
  こいつぁ熱い技のデパートだ!うおぉぉぉぉぉぉぉぉ燃えるぜぇ!!」」
 「………以外に詳しいんじゃな、ウォーレン」

どうやらお父さんだけでなく観客スタッフのはずのウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)まで盛り上がっている
熱血青年の思わぬ一面にちょっと驚くルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)であった


そんなそれぞれの肉弾戦が繰り広げられる中、中央では【ダブルド・ルビー】の剣技が冴える
剣殺陣の手数のスピードを活かし、バーソロミューとクロウディアら戦闘員二人
そして【大悪恐竜テラー】の3対1の戦いを巧みに演出していく

 「炎をまとえ【紅桜】!今、真紅の翼で悪を断つ!!いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 「がぅぁぅぐぐぐぅがぁー!」

戦闘員二人の剣を捌き、横一文字になぎ払う
愛刀【紅桜】の剣先から出た炎が彼女の周りに円弧を描く中
それ後と食い破らん勢いで【大悪恐竜テラー】が咆哮と共に突っ込んでくる
だがそれを巧みにかわし、トンッ…という音と共にその頭部を踏み台に天高く舞う【ダブルド・ルビー】

もちろん、複数戦ゆえに戦闘員二人も空中へ追跡し、その剣を振るおう剣先で狙いをつける

 「貰いました!我(わたくし)達の勝利ですわ!」
 「我輩(わたし)の剣をその身に喰らえっ………何!?」

バーソロミュー、そしてクロウディアが勝利を確信した言葉と共に剣を突き出す
だが至近距離にも関わらず、その切っ先は空を切る
空中で回転反動をつけ、錐揉み状の横回転で巧みに剣を回避すした【ダブルド・ルビー】の妙技だった
【ハイパーガントレッド】の特性で加速された回転のままその身に炎をまとわせる
そのまま【レガース】を纏った炎の蹴りが炸裂し、墜落していく戦闘員二人

 「くらえ必殺!フェニックス・ブレイカーーッ!!」

回転により派手に渦巻いた炎が叫び声と共に両脇に爆発し、炎の翼を作り出す
そのまま大上段から降下しての剣の一撃が【大悪恐竜テラー】を縦に一閃する!
着地し、半回転で客席正面に向き直り【ダブルド・ルビー】が回転させた愛刀を鞘に納めるのと
縦一文字に【大悪恐竜テラー】に残っていた炎の残像が咆哮と共に一気に爆発するのが同時だった

 「ぅがぃぃぃぉぉぉぐぁあああ!!」

恐竜(きぐるみ)の絶叫と共に戦闘員二人がこっそりと近づく

(「はい、お疲れ様です!出番終了なので戻りますよ!」)
(「がぅがぅが!がぅ?」)

小声で段取りを説明するバーソロミューにもの言いたげにテラーが唸る
その声を聞いて一方のクロウディアが返答する

(「え?もうちょっと居たい……だと?無理無理無理!これ以上段取りを把握するのは限界であろう?
  それに少し着ぐるみの背中がほつれておる!戻らないとダメだ!」)
 「ぐげぇごががぁ・・・ぎぎぃがぁ!」

クロウディアの言葉に絶叫するテラー
『いやだいやだ!もっといて遊ぶんだ!』と言っていて、いつもなら甘い二人は折れることもあるのだが
着ぐるみのわずかな損傷に気がついた二人としてはそんな事に構っていられない

 「『見事だ…!だがこれで勝ったと思うなよ!』とテラー様は仰っておられます!」
 「『覚えておけ!次甦った時は必ず……!』という事だ!うわあああああああああぁっ!」

完全にそう入っていない意訳を通り越した通訳と共にテラーを引き連れて消える二人
気がつけば【ライトニング・フェニキア】も【ウルトラニャンコ】も戦闘が終わったようである

後半戦序盤に相応しい殺陣を追え、勝ち誇って佇む3人にウォォォォォと熱狂的が声援が響き渡る!


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 「すごいお、ねーたん!かいじょーがもりあがってるお!」
 「ああ、前半のトラブル分を取り戻してもお釣りが来るな、いい演出だ」

オペレーター席から様子をみながら林田 コタロー(はやしだ・こたろう)が興奮しながらの言葉に
林田 樹(はやしだ・いつき)も拳を握り締めながら返事をする

 「……だが悪いが本番はここからだ、こっちの本気に大いに盛り上がってもらわないとな
  照明!プロジェクターの準備は!?」
 『いつでもOKです。合図の方お願いします!』
 「という事だ、キュー出しはいつでもいいぞ!巽」

ヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)からの確認の通信を受け、そのまま舞台監督に通信を入れる
ヘッドフォンの向うで、気合を入れる風森 巽(かぜもり・たつみ)の気配を感じて樹は思わずニヤリと笑う

 『了解、では進めようか!音楽頼む!!』

巽の声と共に音源のスイッチをいれる樹
そしてステージには壮大な悪のテーマが鳴り響くのだった