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リアクション
第五章 弾けた火種 3
「敵襲! 敵は同じ契約者の模様!
各員は邸宅の守りを固めるとともに、邸宅周辺に潜む敵を捕縛、掃討せよ!!」
その報を聞いて、ロア・ドゥーエ(ろあ・どぅーえ)はつまらなさそうに言った。
「なんだよ……せっかくモンスターなら食べてもいいと思ったのに」
「まあ、敵にドルイドなどの人間がいる可能性があるのは最初からわかっていただろう」
ロアをなだめるようにそう言ったのはグラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)。
「それはそうだし、グラキエスより美味いのなんてまずいねえだろうけどさ」
そう言いながら、恨めしそうな目でグラキエスを見つめるロア。
と、突然ロアがその瞳を輝かせた。
「そうだグラキエス、俺の方が活躍したらご褒美もらっていいか?」
「ご褒美?」
不思議そうな顔をするグラキエスに、ロアはにやりと笑って軽く舌なめずりする。
「ちょ、ちょっとロア! ご褒美って、一体何考えてるの!?」
イルベルリ・イルシュ(いるべるり・いるしゅ)が慌てて止めようとするが、その言葉はロアにも、そしてグラキエスにも届かない。
「わかった、ロアが勝ったら好きに食べていいぞ」
その返事に、ロアは満面の笑みを浮かべ、イルベルリとアウレウス・アルゲンテウス(あうれうす・あるげんてうす)が大慌てする。
「グラキエスも、そんな簡単に承諾しないでええ!!」
「そ、そうです主よ! その御身体に傷をつけるようなことを……!!」
けれども、グラキエス本人は全く気にしていない様子だった。
「別に俺だって負ける気で勝負を受けているわけじゃないし、そのくらいの緊張感があった方がいい」
「そ、そうですね……わかりました、ならば主に勝利をもたらせばいいだけのこと!」
とりあえずの目標が見つかり、気合いを入れ直すアウレウス。
そんな様子を見ながら、ゴルガイス・アラバンディット(ごるがいす・あらばんでぃっと)は用意してきた釣り竿の調子を確認していた。
「ところでゴルガイス……帰りに釣りでもするのか?」
尋ねるグラキエスに、ゴルガイスは一言こう答えたのだった。
「ああ。ちょっと大物がかかる可能性があってな」
「ああ、もう、どうしてこうなっちまったんだ!」
そう吐き捨てて、羅儀はいらだたしげに椅子を蹴った。
「落ちつきなさい」
「これが落ちついていられるか!」
肩に置かれた白竜の手を、乱暴に振り払う。
そんな羅儀に、白竜はこう言った。
「君の言うように黒幕がいるとします。
もし君がその黒幕の立場なら、一体どう動きますか」
「そんなの、当然こっちで争ってる隙にチェロを……」
そこまで答えて、羅儀の表情に落ち着きが戻る。
「それなら、我々のやるべきことは一つです。
黒幕がいようと、いまいと、今はまず誰にもチェロを渡さないこと」
「そして、狙ってきたやつを捕まえれば真犯人が誰かもはっきりする、か」
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