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【神劇の旋律】ストラトス・チェロを手に入れろ

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【神劇の旋律】ストラトス・チェロを手に入れろ

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第十章 決戦はマジカルに 2

「やれるものなら……やってみろっ!!」
 一声吼えて、レガートがどこからか大量の毒虫を呼びだす。
 さらに、その口の中からも数匹の大柄な毒蜂が飛び出した。
 小さな虫の集合体に対して、プロレス技では高い効果は期待できない。
 危うしろざりぃぬ……と思いきや、実は全然危うくなかった。
「まだそんな真似を!!」
 いきなり、博季が魔法で毒虫を薙ぎ払ったからである。
 さらに、十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)がシーリングランスを叩きこみ、これ以上の毒虫の召喚を防ぐ。
 まぁ、毒虫だって当事者ではない「乱入者」なのだから、それをこちら側の乱入者が撃退してもプロレス的には特に問題はない……と、強弁できなくもない。
 ともあれ、その隙をついて、ろざりぃぬが一気に間合いを詰める。
 そのろざりぃぬを牽制しようと、レガートは次の毒蜂を吐きだそうとするが。
「マジカル☆チョークスラムっ!!」
 ちょうど毒蜂が出てきかかったタイミングで、ろざりぃぬがノド輪を決めるや否やブッ倒す。
 もう何がマジカルなんだというか、きっと「本気(マジ)で狩る」と書いてマジカルなんじゃないかとかそんな気もするが、ろざりぃぬ的にはあくまで平常運転である。恐るべし、物理系魔法少女プロレス派。
「…………!!!」
 自分の喉に吐きだそうとした毒蜂の針でも刺さったのか、もだえ苦しみつつもどうにか起き上がったレガートの前に、今度は瞳に静かな怒りを宿したカンナが立ちはだかる。
 一発、二発、三発と、無言のままローキックを連発していくカンナ。
 彼女の蹴りは空手仕込みのそれであり、加えてプロレス的な力加減などまだまだ慣れていないので、要するにガチ蹴りである。
 たまらずレガートが膝をつくと、それに合わせてカンナも少し後退し……。

 助走をつけて、相手の顔面に向かって強烈な膝蹴りを放った。
 さらに、そのまま後ろへ走り抜け、レガートが再び起き上がりかけたところを狙って今度は同じ一撃を後頭部に見舞う。
「ちょ、カンナ、やりすぎやりすぎ!」
 これもれっきとしたプロレス的決め技であり、一発目はろざりぃぬの指示なのだが、二発目は完全なアドリブである。
 実際そういう使い方をされたこともあるわけだが、カンナがそこまでプロレスに詳しいとも思えず……どちらかというと、怒りに任せてもう一発蹴った、というのが真相だろう。

 ともあれ、予定以上に相手がグロッキーになってしまったが、これはあくまで不幸な事故。
 もはや立ち上がることすら覚束ないレガートに、ろざりぃぬは両手を合わせて自分の顔の左側に寄せ、そのまま首を軽く傾げて「おねんね」のポーズをとってみせた。
 そしてそのままレガートに肉薄すると、「荒ぶる力」で彼を軽々と担ぎあげ……。

 前方に落としつつ、そのまま膝で蹴り上げた。
 グロッキー状態のところにさらに強烈な一撃を受けてはひとたまりもなく、レガートが倒れたまま気を失う。

 以上、ろざりぃぬ&ハートブレイクカンナ組の鮮やかな失神KO勝ち、フィニッシュは「マジカル☆GTS」であった。

「カンナ、やっぱり今のはちょっとやりすぎだよ」
 苦笑するろざりぃぬであったが、実はその方がよかったのかもしれない。
 なにしろ、やりすぎくらいにボコボコにしておかないと、本気で犯人を殺しかねないほどに怒っていた者もいるのだから。

 ともあれ、こうして邸宅外での戦いはすべて終結した。
 あとは、この真犯人のレガートを捕縛してセニエ氏に突き出し、三姉妹の無実を証明するのみだ。