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【WF】千年王の慟哭・後編

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【WF】千年王の慟哭・後編

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エピローグ


 契約者たちの手によって魔石に封印されていた教授は、封印を解かれ、しかるべき処罰を受けることになった。
 そしてルカルカ・ルーや柊恭也が奪取した敵の飛空艇内部やフライトレコーダーなどの解析が進められることになり、WFへの本格的な捜査の手が入ることになる。
 それに伴い、鏖殺寺院と繋がりテロ活動の関与をも疑われるWFに対する専門的なチームの結成も検討されはじめた。
 WFについては、これから本格的に調べられていくことになるだろう。


                                        ***


 一方、作戦の失敗したWF側は事を急ぐことになってしまった。

「……Mよ」

 WFを指揮する者と思われる”ウィアード”なる人物が、Mと彼女に協力した契約者たちの前に姿を見せる。
 ウィアードは、黒い上下のスーツに黒い帽子をかぶる痩せ細って筋張った体の老人だった。
 彼は車椅子に座っており、メイドに押されて現れる。
 サングラスをかけているのでその表情をうかがい知ることは難しいが、作戦を失敗させたMへの怒りがその身からは感じられた。

「……もっ、申し訳ありません! 申し訳ありません! 申し訳ありません! 申し訳――……!!」

 普段のMからは想像もできないくらい錯乱している彼女は、その頭を地面にこすり付けたまま、壊れたおもちゃのように同じ言葉を繰り返す。
 彼女はウィアードに捨てられることを異常なまでに恐れていた。
 そんなMにウィアードは怒りのこもった言葉を向ける。

「失敗しおって……!」
「あっ、ああッ! ウィアード様、お願いです! 私を……私を見捨てないでください!」
「うるさいわッ!」

 ウィアードはそう叫ぶと突然立ち上がり、腕を前に突き出して、老人とは思えない握力でMの首を絞め始めた。

「がぁ……はァッ……ウッ、ウィアード、様!」
「我のために死ぬのじゃ、M。そうすればおまえを捨てたりはせんぞ?」
「……あっ、ありが……と……う、ござ、います――」
「むぅッ!?」

 と、ウィアードは突然Mから手を離した。
 そして自分の腕をおかしな方向に曲げる。

「ぐぅ、こやつ……まだ、こんな力が――!?」

 ウィアードは意味のわからないことをひとりつぶやくと、誰かに押されるように後ろへと下がり車椅子に腰を下ろした。

「……くっ、まあ良い。今回は許そう、M」

 急に気が変わったのか、ウィアードはそういうとMを許した。
 そしてさらに口を開く。

「今回の失敗できっと我々の存在は知られたものとなるだろう。少しやりにくくはなるが、問題はない。だが、器を手に出来なかったことは大きいな問題だ」
「――申し訳ありません」
「もう良い、M。それよりも、計画を少しばかり早める。我が配下の科学者たちを集めよ――”アルスマグナを開始する”と言ってな」
「ハッ!」

 Mはそう答えて頭を下げた。
 ウィアードは今回協力してくれた契約者たちの方へ顔を向けると礼を述べ、力を貸してほしいという旨を伝えた。
 彼らはその言葉を聞き、色々な思いを胸に抱きながら、それを承諾した。
 そんな契約者たちに、ウィアードはいった。

「我の願いを果たすためにも、強い力を持つ器が必要なのだ。それを手に入れるため、力を尽くしてくれ」