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今年もアツい夏の予感

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今年もアツい夏の予感
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リアクション

 外からの中継です。
「はーい、一名脱落ー……つーか、とんでもねぇなおい。大丈夫かー?」
 サウナの外の介護室、我慢大会の様子を見ていた救護班のウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)は、その過酷さに驚きの声を上げていました。
 水浴び前のただの遊びかと思いきや、全員本気でギリギリまで粘って出てくるのです。脱水症状や熱中症で、治療を要する生徒もいます。
「なにマジになってるんだ? 死ぬ気か、お前ら……」
「マジにならなきゃならないときもあるのよ……。それだけはわかって欲しいの……」
 ほどなく……北月 智緒(きげつ・ちお)がマスターの桐生 理知(きりゅう・りち)の肩を抱きかかえるようにしてサウナから出てきます。それにあわせて、柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)が、ぐったりと力を失った寿子を抱えて無言で出てきます。あの後……とうとう彼女も力尽きたらしくもう動く気力もないようでした。そんな寿子が着込んでいた厚着を抱えてアイリと共に崎島 奈月(さきしま・なつき)も棄権します。このあたりのメンバーは一蓮托生のつもりだったので特に不思議ではありません。
「早くベッドに寝かせるのじゃ。まさに、無茶しやがって……じゃのう……」
 人手が足りず救護班に回ることになったルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)が、応急処置の道具を持ってやってきます。
「胸……開けるぞ……?」
 聴診器を手にルファンが確認してきます。ベッドに寝かされた寿子は、呼吸が荒く全身も上気していて苦しそうです。厚着を脱がされたブラウスは汗でぐっしょり濡れています。看護が必要なのはもちろんですが、意識朦朧状態のしかも登場して間もない清純キャラをいじるのは背徳的でかなりの勇気が要ります。主に書き手が……。
「男の人は外に出て行ってください」
 アイリが恭也を診療スペースから追い出そうとします。
「男の娘はいいのかよ?」
「……っていうか、救護班も男の娘なんだけど?」
 奈月は、ルファンと向こうで救護を手伝っているリアトリスに目をやりながら言います。
「やはりわかったか……」
 苦笑するルファンに奈月も笑って答えます。
「そりゃ、同類だからね……」
「それ以前に……下には水着を着ているからいいと思うのじゃが……」
 ルファンが当然のように言いました。ああ、なるほど……と頷く皆。
「お疲れ様っ! 頑張ったね!」
 智緒はスポーツドリンクとタオルを手にブースに戻ってきます。
「ごめんね……全然ダメだった……やっぱり私……」
 額につめたいタオルを乗せられた寿子は、目を潤ませながらとても残念そうに言います。
「何を言っているんですか。その気持ちだけで充分ですよ」
 アイリは寿子の手を握りながら優しく言います。
「とにかくよかった、みんな無事で……! 本当にお疲れ様!」
 智緒は理知と寿子に抱きつきながらとても楽しそうに笑ったのでした。