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今年もアツい夏の予感

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今年もアツい夏の予感
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「掃除をした後のプールは気持ちが良いな〜」
 抜けるような青空を見上げながら、桜葉 忍(さくらば・しのぶ)はぷっかりとプールに浮いていました。皆で力を合わせて一生懸命頑張ったおかげで、とても快適なプールを満喫できます。以前は泳げなかった忍ですが、最近は少しずつ泳ぐことが出来るようになった模様。ですが、掃除後の心地よい疲れもあって、忍はいきなり全力で泳ぐことはせずまったりと水を楽しんでいるのでありました。
「信長、今頃何してるのかな……?」
 忍のすぐ隣で浮きながら東峰院 香奈(とうほういん・かな)が聞いてきました。日の光を浴びながらまどろむように目を閉じくつろいでいます。
「信長は我慢大会に参加しているけど、我慢ができるような奴じゃないからな〜。優勝は難しいかもしれないな」
 忍がのんびりした口調で答えました。
「早く来てくれないかな。水はこんなに気持ちいいのに……」
 忍と頭をつき合わせるように浮いている桜葉 春香(さくらば・はるか)が寂しそうに言います。
「学食券もらっても、四人で遊ばないと面白くないのに……」
「案外、今頃リタイヤして水に浮いているかもね……」
 香奈が浮いたままクスクスと笑います。
「……悪かったのぅ」
 向こうから流れてきた信長が仏頂面で答えました。
「うむ……、結構頑張ったのじゃが、プールに水が張られたと聞いていてもたってもいられなくなってな。自主的に切り上げてきたのじゃよ……はぁ……冷たくて気持ちがいいのぅ……」
「……噂をすれば影、本当に流れてきたよ。しかも理由が信長らしい」
 忍は水に浮いたまま視線だけで信長を見ようとします。
「で……我慢大会、どうなったの……?」
「さあ……後のことは知らぬが、もうじき決着はつくじゃろ。私と同じく、我慢していた連中もプールに殺到してきたからのぅ」
「学食券を取るかプールを取るか、最後は究極の二択ってわけね」
 香奈が言います。それは過酷な大会だったのね、と……。
「でもよかったわ。これで四人揃ったじゃない。さっそく遊びましょう」
 春香が嬉しそうにぱあっと笑います。
「では遠慮なく、楽しむとしようか」
 忍は言ったのでした。



「……というわけで帰ってきました。よく考えたら学食券よりも、一緒に遊ぶ時間の方が大切ですから」
 我慢大会で瞑想していたアルトリア・セイバー(あるとりあ・せいばー)はさばさばした口調で言いました。
「申し訳ありません。食費が浮くと思ったのですが……」
「泳ぐ前には心臓マッサージを……胸にこぶしを当ててとんとんとですぅ」
 アルトリアのマスターのルーシェリア・クレセント(るーしぇりあ・くれせんと)は、笑顔で迎えてくれます。
「……お疲れ様でしたぁ。私も、食費が浮くよりプールで一緒に遊べたほうがうれしいですよぅ。ですから、それは英断ですぅ」
 二人は、手を取りながらざぶざぶと水に入っていきます。
「はあ……、熱で火照った身体に冷たい水が、最高に気持ちいいです……」
「私も……掃除で疲れた身体に冷たい水が最高に気持ちいいですぅ……」
 かくして、彼女らは我慢大会も切り上げ、楽しく水遊びを始めるのでした。