リアクション
終章
生徒会室で仕事に励む聡。
「よし、これで書類は片付いたぜ!」
『お疲れ』
副会長のレオと茉莉に労いの言葉を貰う。
「今日中に片付けなきゃいけないものって、もうないよな?」
「それで全部だと思うよ」
「オッケー。今日は早めに終わったぜ」
「一段と生徒会長が板に付いて来たね」
「まあな」
先日の取材はあの後ちゃんと行われた。
そこでの聡は、はきはきと質問に答え、生徒会長としての自覚が芽生えていることを示した。
「僕の思惑とは違うけれど、学院も守れたし、これはこれでいいか」
「何か言ったかレオ?」
「いや別に、何でもないよ」
「そうか」さほど気にせず、「ところで、リオは今どこにいるんだ?」
「多分、廊下辺りじゃん?」
噂をすれば影。生徒会室の扉が開く。
「校舎内の廊下掃除、全部終わったよ……」
「おう、サンキュー」
事件の首謀者として科せられた罰。それは学院内掃除だった。
「次はこの生徒会室を掃除してね」
茉莉は新たに掃除箇所を提示。
「少しは休ませてよ……」
「駄目よ。それじゃ罰にならないじゃん」
「茉莉が言うのも新鮮だね」
レオの言うとおり、茉莉は「元」罰掃除や反省文のエキスパート。
「だからこそ、アドバイスとして受け取って欲しいじゃん」
「それはどうかと思うぜ」
苦笑いをする聡。
「ところで、聡」
「なんだ?」
「あたし、こんなの貰ったんだけど」
制服のポケットから一枚の写真を取り出す。
そこに写っているのは腕を組んでいる聡と深窓の令嬢風の女性。
「なっ!? 茉莉、それをどこで!?」
「新聞部の部長よ」
「笹塚か……」
もう少し懲らしめた方が良かったかと、内心で思う聡。
「で、この娘のこと、どう思うの?」
「どうって……」
「この時の質問にまだ答えてないでしょ?」
聡は思い出す。確かにあの時、そのような質問が――
「これ、実はあたしよ」
「な、なんだって!?」
驚愕の事実。どう見比べても、茉莉とは思えない 。
「ふふふっ、変装は上手くいったのね」含み笑いと共に茉莉は言い寄る。「それで、どう思っているの?」
「うぅ……」
あの時と同じく、返答できない聡。
「ナンパなんてしない方が、女の子がよってくるんだね……」
その光景を眺めていたリオはボソリと呟き、
「リオ、手が止まってるよ?」
「うぅ、わかったよ!」
レオに促され、モップへと力を込め、そして、
「か、勘弁してくれえぇぇぇ!!!」
聡は生徒会室を逃げ出した。
はじめに――
執筆が遅れてしまい、大変申し訳御座いません。
また、変装などの都合上、呼称や口調を多少変更させていただきました。
何卒ご理解の程、宜しくお願いいたします。
ご無沙汰しております。
ゲームマスターのAiryです。
「あなたが落としたのはかっこいい山葉聡ですか? それとも、モテモテの山葉聡ですか?」
「いいえ、生徒会長の山葉聡です」
そんな具合に色々な山葉聡てんこ盛りのお話になりました。
紆余曲折ありましたが、最後はコメディ。
いつものAiryでございます。
申し訳ない。
無茶振り希望だった方、笹塚からの指令がほとんどなくて申し訳御座いません。
頂いたアクションがとても面白く、そちらを優先して書かせていただいた結果、このような形になりました。
それでも、波乱な展開が多くあるので、笑いながら読んでいただけると幸いです。
それでは短いですがこのへんで。
次回、またお会いできることを願って。