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JYOUBUTU

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「――もう、いい加減にしてッ!!」

 びかーんっと目を光らせ、ルカルカは休暇モードから軍人モードへと切り替わる。
 そして、地を這う角度からドラゴンアーツで強化された壮絶な右アッパーを繰り出した。

 ――バゴォッ!

「ふおおおおぉぉぉッッ!?」

 アッパーを綺麗にもらった変熊は、そのまま空高く舞い上がりお星様になった。

「……さらばじゃ、変熊よ」

 アリエティは星になった変熊仮面に向かって、ぽつりとつぶやく

「なんか無駄に疲れたわ」

 セレンはそういって、大きなため息をつく。
 と、苦笑いを浮かべながらエースがいった。

「早いですけど、少し休憩にしますか?」

 その提案に、ビーチバレーをやっていた面々はうなずく。
 するとエースは、用意していたクーラーボックスから飲み物を取り出し、皆に配り始めた。

「権兵衛さんは……飲めそうにありませんか?」
「ええ、そうですね。そのお心だけいただかせてもらいます」

 権兵衛はそういって頭をさげた。

「権兵衛さん!」

 と、どこからともなく権兵衛を呼ぶ声が聞こえる。
 その声に権兵衛は周囲を見回すが、人の姿は見当たらない。

「こっちです」
「ああっ、そんなところにいたんですか」

 権兵衛は、岩陰に隠れていた葛城吹雪の姿を見つけて近づいていく。

「こんなところで何をしているんですか?」
「実は、権兵衛さんと一緒に遊ぼうと思いまして」
「そうですか、それはどうもありがとうございます。ところで、いまは隠れ鬼でもしているのですか?」
「えっ、隠れ鬼! どっ、どこにそんな危険な生物が潜んでいるのですか!?」

 吹雪は岩陰から顔を出して周囲を見回し、鬼を探し出す。

「いえ、鬼といっても本物の鬼ではなくてですね……」
「落ち武者、頭を下げろ!」

 と、レリウス・アイゼンヴォルフがそこに現れ、厳しい口調でそういった。
 その気迫に、権兵衛は思わず岩陰にしゃがみ込む。

「鬼に見つかったらどうするんです? あなたも傭兵だったのでしょう、気をつけてください」
「あっ、はい……でもですね、鬼といいましても本物ではなく――」
「鬼の姿は周囲にはありません」

 周囲を見回していた吹雪はそういうと、緊張を解いて小さなため息をつく。
 そんな吹雪に向かって、レリウスはいった。

「まだ気を抜かないでください。敵はどこに潜んでいるかわかりません」
「そうですね。警戒を続けます」
「あっ、あの〜……」

 完全に置いてきぼりをくらった権兵衛は困惑する。
 と、コルセア・レキシントンとハイラル・ヘイルがそこに現れ、岩陰に隠れる3人の姿を見て首をかしげた。

「ちょっと吹雪。なにやってるの?」
「あっ、コルセアさん。いまは鬼から隠れているのであります」
「ふーん、そっか。かくれんぼで遊んでるのね」
「えっ、かくれんぼ?」
「そうよ。まあ、隠れ鬼って言い方をする人もいるみたいだけど……違うの?」

 吹雪はコルセアの言葉を聞いて、自分の間違いに気づく。
 と、ハイラルが笑顔でレリウスに聞いた。

「おい、鬼は誰がやってんだ?」
「?」

 ――なにを言っているんだ?
 そんな顔で、レリウスは首をかしげる。

「おい、レリウス。まさかとは思うが――おまえ、かくれんぼっていう遊びを知らないのか?」
「かくれんぼ? 遊びといったら、こういうものではないのですか?」

 レリウスはそういうと、爆薬を手早く調合して手製の手榴弾を作り、それを海へと投げ入れた。

 ――どっかーん。

 爆弾が爆発し、海に水柱が立ち上がる。
 それを見たハイラルはぽかーんとしていたが、すぐに正気を取り戻すとレリウスに詰め寄った。

「コラーッ、レリウス! なにやってんだよぉぉぉッ!? それは普通じゃないから!!」
「はあ、そうなのですか? これは昔の傭兵仲間に砂遊び、おもちゃ遊び、ボール遊ぶと教えられたのですが……」
「うぅ、レリウス。わかった、俺がおまえにも普通の遊びっていうのを叩き込んでやる!」

 ハイラルはそういうと、海水浴場でのイロハをレリウスに説き始める。