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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 5

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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 5

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第9章 ショップ&入浴タイム

 昼食を済ませると、早々と集合場のコテージへ向かう者もいれば、土産屋を見ている者もいる。
 グラキエスたちは集合場に、行方不明者の所持品をテーブルに並べ、サイコメトリで読み取りを始めた。
 パートナーの2人は彼の言葉を復唱しながらノートに書いた。
 途中でエルデネストは“さあ、こちらをお飲みになって少しお休み下さい。私が代わりに情報の読み取りを行います。”とグラキエスに告げ、紅茶を出して休ませる。
 その頃、ディンスとトゥーラは土産物屋に入る。
「トゥーラ。ここでもう少し情報集めしナイ?」
「―…ディンス。校長が調査に時間をあまりかけないように、村と森どちらへ行くか決めてくださいって言っていましたよ」
 パートナーに頭を振って、“それはいけない”と止める。
「そうだったカナ?」
「えぇ、そうでした…。村に残った人たちが、ちゃんと聞き込みを行っているはずですよ」
「ぅーん…そっか、分かったヨ」
 今頃、収集した情報を紙面に書き出しているだろうと思い、手伝った方がよいかとディンスはトゥーラと集合場へ向かった。
「もう集合場へ行くみたいですね?」
 2人の後姿を見ながらフレンディスが言う。
「コレットたちも、すでに行っているみたいだな。集めた情報を伝えるために、紙に書いてるんだろうな」
「えっとマスター…。私たちもお手伝いしたほうがよいのでは?」
「準備してる者の人数が多いから大丈夫だろ」
 フレンディスにプレゼントを買う機会はそうそうない。
 ベルクは彼女を連れてショップへ入った。
「気に入ったものがあれば、俺が買ってやるぞ」
「そ、そんな。自分で払います…」
「遠慮するなって」
「ですが…、誕生日はもう過ぎていますゆぇ…」
 “買ってあげたい”という気持ちに気づかず、フレンディスは遠慮してしまう。
「俺が買ってやるっていってるんだから、気にするなって」
「…えぇっと……。この腕に身につけるもの…、キレイですね」
 いくつもの小さな星が連なるネックレスを見つける。
 星と星の間を繋いでいるのは、キラキラと輝く赤い色の石だ。
「―…いえ、お洒落などしている暇などはありませぬ。マスター、集合場に参りましょう」
 今はそのような時ではないと思い、ショーケースから離れた。
「あ、…ぁあ。ちょっと店の前で待っててくれないか?」
「はい?…承知しました」
 何の用があるのだろうか?と思いながらも、フレンディスは先に店を出た。
 しばらく待っていると、ベルクがキレイにラッピングされた小さな箱を持って出てきた。
「ほら、受け取れ。そんで絶対に返すな」
 そう告げると、フレンディスに手の中へ納めさせた。
「開けてみな」
「―…は、はいマスター…。こ…これはっ」
 箱を開けてみると、買ってもらおうか悩んでいたネックレスが入っている。
「こんな高価なものは受け取れませぬ」
「返すなって言っただろ?それはもう、フレイの物だ」
「あ…、ありがとうございますマスター」
 フレンディスはプレゼントされたネックレスを手首につけてみる。
 彼女の細い手首に身につけられた星と赤い石が鮮やかに輝いた。
 赤い石はレッドサファイアで、星はそれなりに純度の高い金だった。
 値段を見たフレンディスは、とても言い出せる額ではないと諦めていた。
「大事に使わせていただきます。ですが、実戦の際は傷がついてしまう可能性があるゆえ、外させていただきます」
「あぁ、分かった」
「皆さんが待っていますから、そろそろコテージへ参りましょう」
 フレンディスはベルクとコテージへ向かった。



 早々と食事を済ませたクリスティーは、クリストファーに見張りをしてもらいながら風呂に入る。
「シャンプーとかはちゃんと常備されているね。持ってこなくてよかった」
 髪を丁寧に洗ったクリスティーは、風呂に入りながら浴室を見回す。
「―…そろそろ出ようかな」
 風呂から出てボディーソープで体を洗うと、ぬるめのシャワーで流した。
「ねぇ、誰か来ていないよね?」
「まだ大丈夫だ。洗濯物はもう干しておいたよ」
「いつもありがとう」
 クリスティーは扉を開け、その傍において置いたカゴの上にあるタオルを掴み、髪と体を拭いて予備の服を着る。
「洗濯機もあってよかったね」
 小さいが手荷物を減らすためには嬉しいサービスだ。
 室内用の簡易的な干す場所もあり、下着以外の服が干されている。
「汗かいちゃったでしょ?お風呂に入っておいでよ。出る時にバスタブのお湯を流して、溜めなおしておいたよ」
「ありがとう、俺も入るかな…」
「服は洗濯しておいてあげるね」
「時間がないから、休憩時間にさっと干しておくからいいよ」
「そう?」
 クリスティーはカメラを服につけると、ソファーに腰をかけて備え付けのドライアーで髪を乾かす。
 別のコテージにいる女子の何人かも、汗を流そうと風呂を利用している。
「エリザベートちゃん、髪を洗いましょうね♪」
 明日香はエリザベートのウェーブのかかった長い髪を丁寧に洗う。
「泡を流すので、目を閉じていてください」
 シャワーの温度を手で確かめ、シャンプーの泡を流してやる。
「次はリンスをしましょね♪」
 エリザベートの髪にリンスをつけ、ゆっくりとクシで解かす。
「リンスを流しますから、目を閉じましょうね。―…はい♪キレイキレーイになりました」
「ありがとうございますぅ〜」
 湯船に髪が広がらないよう、髪留めもしてもらった。
「私も洗いますので、先にお風呂に入ってくださいね」
「はい〜」
 玩具のアヒルを湯船に浮かべながら待つ。
 明日香は手早く髪を洗うと湯船に入り、一緒に10秒数えて出る。
 体を洗ってやり、自分も洗うと風呂場から出た。
 備え付けのバスタオルでエリザベートの髪や体を拭いてやり、替えの服を着せた。
「そのままだと床に触れてしまうので、髪留めをしておきましょうね♪」
「ソファーで待ってますねぇ〜」
「私も拭いたらドライアーで乾かしてあげますね」
「はぁ〜い」
 大人しく待っていると…。
「では乾かしましょうね♪」
 ものの数分でしっかりと拭き、着替える工程まで終えた明日香はエリザベートの傍へ寄る。
 髪留めを外し、クシで解きながら乾かす。
 他のコテージでは、月夜と玉藻も風呂で汗を流していた。
 その場所へ、刀真が忍び寄る。
「くそー…。勝手に財布を持っていくなんて!」
 仕返しに覗いてやろうと、窓の向こう側の景色を見ようとするが…。
「そこで何をしているんですかぁ〜?」
 女子用コテージの見回りをしていた校長に発見されてしまたった。
「ぇーっと…。あっ、やめてくれ!ぎゃぁあーーーっ!!?」
 どこから取り出したのか、大きなハリセンで尻をぶっ叩かれた。
「玉ちゃん、何か聞こえなかった?」
「む…?気のせいであろう」
「…お風呂に入りながら、冷たいジュースを飲むのもいいね」
 それも刀真の財布から出しで買ったものだった。
 その頃、テスタメントと真宵の2人も風呂に浸かっている。
 揃って長風呂派だが、テスタメントの方が先に出た。
「早く出ないと、集合時間に遅刻しちゃいますよ?」
 ドライアーで髪を乾かしながら急かす。
「だったら先に行ったら?」
「もうっ、遅れてもしりませんよ!」
 手早く身支度を整えると、先に集合場所へ行ってしまった。