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第1章 ウェザーの協力者

「任せてください! きっと高く売れるようにしてみせますね」
 杜守 柚(ともり・ゆず)が僅かに上気した顔でサニー・スカイ(さにー・すかい)に請け合った。
「柚ちゃん、ありがとう……」
「売れないと大変なんだろ? 僕も手伝うよ」
「三月さんも、ありがとう〜」
 杜守 三月(ともり・みつき)の言葉に、サニーはほっとした様子で微笑む。
 サニーが買い取った装飾品が元で引き起こした一連の騒動。
 オークションで高額で売らなければウェザー存亡の危機。
 そこに、サニーの友人たちが助力にやって来てくれたのだ。
「おーくしょん、という物がどのような催しなのかはよく分かりませんが、サニーさん達がお困りでしたらお力添えをしたいなと思ったのです」
「フレンディスさんも……このご恩は忘れないわ!」
「そんな、大げさです……」
 感謝の表情を向けるサニーに、フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)はどこか曖昧な笑顔を返す。
(これは、私なりの贖罪でもあるのですから……)
 ちらりと見るは、レインたちと話しているベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)
 ベルクの話している相手がサニーではないと、それを見てほっとした気持ちになる自分が嫌になる。
 サニーの事は好きなのに。
 サニーは何も悪くないのに。
 なのに、ベルクと話している所を想像しただけで嫌な気持ちになってしまう。そんな自分が許せない。
 その感情がどのような物か分からぬまま、一方的な罪滅ぼしとしてサニーの手助けをしようと誓うフレンディスだった。
「しかし、サニー君。紋章の意味も分からなくて物品を仕入れていたのかな」
「ええ。高価そうだなーって思って……」
 エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)の質問にけろりと答えるサニー。
「な、なかなか思い切ったことをするね……」
「こういうのは、ちゃんと売り手の身元を確認してから買い取れよな」
 なんとかフォローしようするエースに対し、ベルクはストレートだ。
「盗品だったりしたらどーするつもりなんだ」
「と、盗品!?」
 その発想はなかったとばかりに動揺するサニー。
「そ、それは大丈夫だと思ったのよ。売りに来た人はすごく物腰柔らかで、どこかの貴族だなって思わせる品格のある風貌で……」
「外見なんてアテにならないって」
 ベルクは大げさに溜息をつく。
「ひとまず、この紋章について調べないとな……っと」
「え……エロ吸血鬼! 億の事は構わないで下さい」
「なんも言ってないって……」
 いち早く紋章について調査に入っていた忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)が、伸びてきたベルクの手に大げさに反応する。
 どうやら先日二人の距離が縮まりそうなひと悶着があった結果、その反動としてツンが増大しているらしい。
「まあまあポチちゃん。あたしで良ければ一緒に手伝うさね?」
「はっ、マリナさん感謝いたしますです!」
「えらい対応の違いだな……」
 マリナレーゼ・ライト(まりなれーぜ・らいと)の言葉には素直に反応し尻尾を振るポチの助を見てぼやくベルク。
「まずは、そうさねえ。端末で紋章の手がかりを調べることは出来るさね?」
「はいっ!」
 そんなぼやきを気にも留めず、二人は早くも調査に集中している。
「情報が集まったら、それを元に広告を作りましょう」
 柚は、蒼空学園の掲示板への告知を考えていた。
「それから、サニーさん。もしよろしければ帳簿を見せてもらえませんか? 赤字を埋めるためにどれだけの値段で売ればいいか計算してみます」
「何から何までありがとうー、柚ちゃん。うん。もう多少赤が出てもこのお店さえ手放さなければ……」
「そんな弱気にならないで」
 滂沱の涙に沈むサニーを元気づけるのは三月の仕事だった。

「あのう。ちょっとよろしいでしょうか……?」
 そんな混乱の真っ只中のウェザーに、来客があった。
「こちらのお店がオークションに出品している商品についてお伺いしたいのですが……」
「いらっしゃいませー!」×全員
 オークションサイトを見てやって来たリース・エンデルフィア(りーす・えんでるふぃあ)に、ウェザー中の熱い視線が集中する。
「これは、どのようなルートで入荷した商品なんでしょう?」
「えーと、それはとある没落した名家の人が持ち込んできて……」
「き、貴族みたいな恰好をした人から購入したんです」
 未確定情報を口にしようとするサニーを、柚が慌ててフォローする。
 ベルクとフレンディスも協力し、出来る限りの情報を少し盛りつつリースに説明する。
「なるほど、よく分かりました。あとはこちらでも調査してみますね」
「ありがとうございます!」×全員
 礼を言って帰るリースを、全員が期待を込めた瞳で見送る。
「なんとか興味を持ってくれるよう、お話できたかしら……」
「これがオークションの成功に繋がるといいですね」
 リースの背中を目で追うサニーたち。
 この時のリースとの会話が思わぬ方向に発展していくことを、この時の彼らはまだ知らない……