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悪戯双子のお年玉?

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悪戯双子のお年玉?
悪戯双子のお年玉? 悪戯双子のお年玉?

リアクション

「楽しそうな双子さんだったし、楽しい夢が見られる予感!」
 双子から夢札を貰ったルルゥ・メルクリウス(るるぅ・めるくりうす)は嬉々とした様子で夢札を使った。

「……ここは実験室?」
 ルルゥが眠りの先に辿り着いた場所は実験室だった。
「すごい。色んな設備とか素材が揃ってる。何かすごい物が錬成出来そう」
 ルルゥは室内を見回し、感動の声を上げる。現実では入手困難な素材や貴重な設備が一様に揃い、自由に使える状態。錬金術をする者としては天国そのもの。
「何を錬成しようかな」
 ルルゥは室内を歩き回りながら錬成する物を考える。挑戦したい物がありすぎて迷ってしまう。
「よし、まずは金!」
 ルルゥは足を止め、ぱぱっと素材をかき集め、錬成を始める。
 夢の中なので現実とは違い、錬成の際の危険など気にする必要が無いため大胆に危険素材を使う。ただし、製法などは出鱈目だったりするがここでは何も問題無い。
 そして、錬成はルルゥの思い通りの結果を打ち出す。
「おおっ、あっという間に錬成出来たよ。さすが、ルルゥの夢!」
 出来上がったばかりの金に惚れ惚れするルルゥ。
「次はヒヒイロカネを作るよ!」
 金完成の嬉しさが落ち着いたルルゥは次の錬成を開始する。
「……使う物は」
 さすか錬金術関連の魔道書、次々と必要素材を集め出鱈目だが恐れ知らずの迷いのない錬成である。
 そして、結果は明らか。

「またまた完成!!」
 ルルゥは完成した伝説の金属ヒヒイロカネを満足そうに撫でながら歓喜の声を上げる。

「次は賢者の石の錬成!」
 ルルゥは次の錬成に移る。

 その時、
「あら、ここは実験室ねぇ」
「フラン、色んな素材や設備があるよ」
 エースの夢から来たオデットとフランソワが登場。

「うはぁ、キスミ、すげぇ設備だぜ」
「ヒスミ、レア素材がこんなにあるぜ」
 白銀の夢から来た双子も登場。

「……来たわね」
「そうね。でもどう伝えたら」
 フランソワとオデットは双子を発見するなり吹雪が言っていた事を思い出し、どう伝えるべきか考えていた。
 その間に
「キミ達来訪者だね。さっそくだけどルルゥのお手伝いをして貰うよ」
 夢の主ルルゥが四人に気付き、錬成に巻き込んだ。
「オデット、頼まれた事はどうするの?」
「これが終わってから」
 フランソワとオデットは吹雪からの伝言をルルゥの錬成が終了してからにする事にした。焦らなくても錬成中は逃げないだろうと。
「じゃ、賢者の石の錬成開始!」
 ルルゥの合図で錬成開始。

「よーし、世界最高の石を作るぞ!」
「オレ達がいれば最高の石が出来るぞ!」
 双子は乗り気でどんどん素材を集め、ルルゥの手伝いをしていく。時々、ルルゥと相談し意見を戦わせたりしながら楽しくしていた。オデット達は双子の様子から目を離さず手伝っていた。ここまでは平和な錬成だった。

 しかし、平和は長く続かず、とうとう双子の悪戯心が暴れ始めた。
「それ入れちゃいけないよ!」
 ルルゥは通常賢者の石の錬成には使わない素材を次々と使う双子を止めようと声を上げていた。

「大丈夫だって、ただの賢者の石じゃつまんないだろ。最高の賢者の石を作るぞ」
「ヒスミ、入れ過ぎだぞ」
 ルルゥの言葉でやめるような双子ではない。いつものようにやり過ぎるヒスミに制止をするキスミ。
「問題ねぇって。ここは夢だぜ」
「だな。じゃ、これも」
 ヒスミは笑いながらキスミを説得し、キスミもまた納得して悪ノリをする。いつもの悪いパターン。

「……嫌な予感がするわね」
「キスミさん、ヒスミさん」
 嫌な予感しかないフランソワとオデット。

「そんな事しちゃ」
 ルルゥが止めるよりも先に大きな爆音を発し、錬成に使用した素材は全て不気味な液体に成り果て凄まじい異臭を放ちながら床を満たしていく。

「うわっ、やべぇ」
「何だよ、この匂い」
 あまりの異臭に鼻をつまみ眉をしかめる双子。

「……失敗だよ〜」
 ルルゥは鼻をつまみつつ、双子がやらかした後始末をと洗浄効果のある素材を床に撒く。
「私も手伝うよ。フラン」
「えぇ、そうね」
 オデットとフランソワがルルゥの手伝いを始めた。

 その時、
「孝高、孝明さん、いたのだ」
 孝高と孝明を引き連れ双子を捜し回っていた薫が現れた。白銀の夢では入れ違いだったが今回は違う。
「さて、逃げられる前に急ごうか」
 孝明は薫に声をかけ、双子の元へ。
「……失敗するなよ」
 孝高は双子の死角に待機。

「いたずらはやめるのだ。みんな迷惑しているのだ」
 薫は効果が無いと知りつつも双子を注意しつつ登場。
「迷惑? 夢だぞ。なぁ、キスミ」
「おう。ちょっと遊びに来ているだけじゃん。というか一人足りねぇけど」
 薫の言葉に反発するヒスミと薫達の夢にいたあの怖い孝高が今いない事に気付くキスミ。すっかり逃げる事は忘れ、薫の相手をし始める。
「……孝高は目を覚ましていないのだ」
 薫は二人の逃亡を防ぐために嘘をつき、安心させる。
「本当に元気な子達だ。元気なのはいい事だ」
 孝明は怒りなど微塵も感じさせない笑顔。これも双子お仕置き計画のため。

「だろう!」
「また嫌な予感がしたぞ。な、ヒスミ」
 孝明の言葉に調子づく双子。
「……とりあえず、二人共、ここを離れようか。ここの人に迷惑が掛からないように。他の人の夢で一息入れよう。丁度、いい夢があるんだ」
「……孝明さんは普段は優しいから」
 笑顔の孝明に呆れる演技をする薫。

「それもそうだな」
「あの怖い熊の奴もいねぇし」
 双子はすっかり孝明と薫に騙され、ついて行く事に。孝高はこっそり同行。
 薫達が二人を導く夢は、仕置きの達人吹雪達の夢と繋がっている自分達の夢であった。何も知らないのは双子だけ。
 オデット達はルルゥの賢者の石錬成を手伝ってから吹雪達の夢へ急いだ。

 オデット達を見送った後、
「色々あったけど賢者の石完成!!」
 ルルゥは嬉しそうに賢者の石を撫でて見つめ回した。
 感動が収まってからまたルルゥは現実では難しい錬成を開始した。
 それは目覚めの時まで続いた。

「……やっぱり夢かぁ。簡単に錬成が大成功するわけないよね。現実はそんなに甘くないかぁ」
 目覚めたルルゥは少しばかり残念そうにしながらも夢には満足していた。途中、双子の妨害に遭ったりもしたけれど。