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【琥珀の眠り姫】密林深く、蔦は知る。聖杯の謎

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【琥珀の眠り姫】密林深く、蔦は知る。聖杯の謎

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「もう終わりか? まだまだ行けるぜ!」
 キロスは横目でユーフォリアを確認すると、正面のリカインに向き直った。
 流れるように剣を振り、その斬りは着実にリカインを追いつめていく。
 と、キロスの脳内にムーンからのテレパシーが届いた。
 曰く、そろそろ撤退する。撤退の合図は、リカインが激励をすること。
 そうしたら、シルフィスティを巻き込める方向に向けてリカインの体を吹っ飛ばしてほしい、とのこと。
「ごちゃごちゃ細かい事は知らねえが……これでとどめをさしてやるぜ!!!」
 リカインの、激励の歌声が辺りに響き渡る。
 キロスの渾身の突きが、リカインの盾目掛けて繰り出された。
 盾の面積だけではその力を受け止めきれず、リカインの体が吹き飛ぶ。その頭に乗っているムーンがはためく。
「あああああああぁぁぁぁぁ!!!」
 狙い通り、リカインたちの体はシルフィスティを巻き込んだ。シルフィスティの叫びが木霊する。
 リカインはキロスに小さく目配せをし、煙幕の中に姿を消した。
 ……そして、取り残された約一名。
「さて、あっちは上手く行ったようだし拙者も脱出しなければねぇ」
 空賊たちと同じように武器を取り上げられた明日風が、ひとり呟く。
「またたビーム!!!!!!」
 声と共に、明日風の目から目映い光とともにビームが発射される。
 その光が消えた時には、その場にビームで焼き切った綱だけを残し、明日風の姿は消えてなくなっていた。

 乱戦状態だった闘技場も、徐々に戦う人数が減ってきていた。
 最初には闘技場の中央にあった巨大人喰花の死骸は既に完全に塵と化し、歪な穴だけを残して消えている。
「くっ、全力で妨害を続けるのだ!!」
 ハデスは指揮をするが、戦闘員たちは既に壊滅状態である。
 機晶姫のビームライフルがハデスの乗った飛空挺を貫いた。動力源である機晶石を打ち抜かれた飛空挺が、バランスを崩す。
「お、おのれえええええ!!! 覚えておれよおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
 ハデスの乗った飛空挺は機晶姫を巻き添えにして、地下の穴深くへと姿を消した。

「一通り片付いたか?」
 キロスとユーフォリアは、機晶姫の出てきた檻ーー闘技場の周りを取り巻く壁をぐるりと見回す。
 同じように周りを見たルカが、目ざとくその中の一点に目を止めた。
「ねえ、何かここにあるみたい!」
 キロスとユーフォリアがルカの指す壁に近寄った。
 機晶姫が元々保管されていた空洞の床の隅が、不自然に盛り上がっている。
「隠し階段になっているみたいだな。慎重に行ってみよう」
 皆は、キロスを先頭にして闘技場の地下へと降りて行った。