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リアクション
春だ!
俺となななに春が来た!
大好きな金元 ななな(かねもと・ななな)と一緒に花見デート。
我が世の春を謳歌する、シャウラ・エピゼシー(しゃうら・えぴぜしー)。
頭に揺れる花は、センノウ。
花言葉は『恋のときめき』なのだがそんな花がなくてもときめきまくりのシャウラ。
「えーと、言われた通り弁当持参したけど……良かったかな」
「うん、ゼーさん」
早起きして作った手製のホットドックを取り出すシャウラ。
本当は、なななの手作り弁当が食べたかったなーなんて思ったが、なななが「それぞれお弁当持参ね!」と言い出したのだから仕方ない。
少しだけしょんぼりしているシャウラの手から、ホットドックを取り上げるななな。
「はい、これ」
そして、代わりに乗せられる可愛らしいお弁当箱。
「えっ、これって……?」
「せっかくだから、お弁当交換しよ?」
「お……おぉおー!」
お弁当!
なななの手作り弁当!
しかも俺のホットドックはなななが……
瞬時にしょんぼりから癒され、レジャーシートの上を転がらんばかりにいや実際ごろんごろんと転がりまくるシャウラ。
しょうがないなあゼーさんはとそんなシャウラを眺めながら笑うなななの頭にも、クランベリーの花。
花言葉は『天真爛漫』『心痛を和らげる』。
◇◇◇
「綺麗だねー。ボク、梅見は初めてだったけどこんなに綺麗なんだね。それに、いい香り……」
梅の下、瞳を閉じて香りを楽しむアゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)。
そんな少女を見つめる、ふたつの熱い視線。
「ど、どうしよう親父。なんだか胸がドキドキするんだ!」
「そうかそうか。何故か知らぬがいつもより元気で可愛いな。さすが我の息子」
噛み合わない会話を交わすヴァイス・アイトラー(う゛ぁいす・あいとらー)とアルバ・ヴィクティム(あるば・う゛ぃくてぃむ)。
「きょ、今日のアゾートさんはいつも以上に可愛く見えるんだ。これは、『変』? いいえ、『恋』?」
「むむむ、弾の様子がおかしい! よーしあたしが喜ばしちゃうぞ!」
こちらはアゾートに胸ときめかせる風馬 弾(ふうま・だん)と、それを見て何やら画策するエイカ・ハーヴェル(えいか・はーゔぇる)。
そして二人は行動に移す。
一人は燃える衝動に突き動かされて。
一人はパートナーに背中を押されて。
「アゾートさん! オレはあんたが好きだ!」
「えっ」
「一緒に死ぬために、やってきました……あなたの忠実な騎士に、どうぞお手を……」
「えっ、えっ」
ヴァイスはアゾートの右手を取って、情熱的に告白する。
弾はアゾートの左手を取って、恭しく宣言する。
ヴァイスの頭にはポインセチア。
花言葉は『燃える心』。
弾の頭にはグラジオラス。
花言葉は『情熱的な恋』。
「そ、そんな風に言われたら、ボク、ボク……」
二人に同時に情熱的な告白をされ、顔を真っ赤に染めて俯くアゾート。
本当は赤くなった顔を手で隠したいのだろうが、両手をそれぞれ握られているのでそれも叶わない。
ただ俯いて身を捩るだけ。
その様子がまた可愛らしく、ヴァイスと弾は握った手に力を込める。
(ふふふ、弾ってば喜んでくれたかしら? それとも、ちょーっと刺激が強かったかしらね)
隠れて弾を見守っているエリカの頭にも、花。
スグリの花言葉は『私はあなたを喜ばせる』。
(ふむ、上手く告白はできたようだな。あとは、進展を待つばかりか……)
こちらもナノマシン状態となってヴァイスの様子を見守る、いや興味本位なのでデバガメるアルバ。
彼の頭には、花はない。
つまり、素でやっている。
こちらは後で覗いているのがヴァイスにバレて、除菌スプレーの刑にされるのだった。
「アゾートさん!」
「ふわぁ、そんなに熱い瞳で見られたら、ボク……」
「アゾートさん……」
「ああっ、そんな情熱的な言葉をかけられたら、ボク……」
ヴァイスと弾、二人に挟まれたアゾートはただただ頭の花を揺らすだけだった。
アゾートの頭の花、マツヨイグサには『ほのかな恋』の他に『移り気』という意味もあったりするのだった……
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