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花咲けお花見☆

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花咲けお花見☆

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花より恋そしてえっち

「えっちよ! えっちな香りがするわ! やっちゃいましょう!」
「お待ちくださいレオーナ様!」
「止めないでクレア! 私の魔槍『ゴボウ』が突き刺す尻を求めてる!」
「駄目です……彼らは、同意の上!」
「なんですって!」
「ならば、わたくし共には手出しできません……」
「くっ、なんてこと……」

   ◇◇◇

「…………」
「…………」
 レイス・アデレイド(れいす・あでれいど)不動 煙(ふどう・けむい)は、無言だった。
 無言で、向かい合っていた。
 少し離れた所では、酔いつぶれて眠ってしまった神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)
(どうして……)
(どうしてこうなった)
 気まずい沈黙の中、二人は記憶を手繰る。

「おーい、こっちだよぉ」
 梅の木の下で、煙が手を振っていた。
「わ、悪い悪い、待たせたな」
「慌てなくっても、梅は逃げませんよ」
 煙の姿を見とめ、小走りに近寄るレイスと、花見弁当を手にのんびり歩を進める翡翠。
 今から、楽しい梅見の時間だ。
「おぉー、すげー美味しそー」
 翡翠が持ってきた花見弁当に、煙は目を輝かせる。
 三段重箱の中には、おにぎりに煮物、卵焼きその他素敵な物がいっぱい。
 煙の健康を考え、なるべく種類を多く入れてある。
「アセロラジュースもありますよ」
「やったぁ!」
 煙の好きなジュースも忘れない。
 そして楽しい宴会が始まった。
 そして、翡翠は潰れてしまった。
 酒に弱いのに、煙に勧められるがままに杯を重ねた結果。
 そして、レイスと煙二人が残された。

「…………あのっ」
「…………あ」
 レイスは、煙に言いたい言葉があった。
 それを言うなら、今がチャンス。
 しかしなかなか言い出せずにいた。
 煙もまた、レイスに言いたい言葉があった。
 しかし言い出す前についつい体が動いてしまった。
「れいすんー」
「ふぁっ!?」
 気まずさを打ち消すような、煙の抱擁。
 からの、いちゃいちゃ。
 煙の手が、レイスの体の上を容赦なく這いまわる。
「んー、れいすんかーわいー」
「ちょ、煙……」
 一瞬、体の自由を奪われ緊張するが、レイスもまたすぐに自分を取り戻す。
 レイスの手が伸びる。
 煙に負けじと、髪に手を伸ばしその指を絡ませる。
「れいすん……」
「煙……」
 二人の視線が絡み合う。
 同時に、なかなか言い出せなかった言葉が2人の口から零れた。
「れいすんは天使なんだけど、翼は黒くまるでパラミタみたいな感じで色んな種族が共存できる様な存在だね〜。そこに何だか引かれちゃうんだよ〜」
「前から気になっていた。こうして連れてみたいと思ってた。……好きだ」
 二人の、精一杯の告白。
「れいすん……いいの?」
「だ〜っ! もう恥ずかしいなあ。なんだよ同じこと考えてたのかよ! そんなのOKに決まってるだろ!」
 互いの気持ちを確認し合ったその時、二人の心に火が付いた。
「んじゃ、というわけでその翼もぎらせてください!」
「ええっ!?」
 煙の唐突な言葉と共に、キスが降る。ついでに手も出る。
 レイスはそれを全て逃さず、受け止めた。

 ――結局、翡翠は起きなかったのでレイスが家までおんぶすることになった。

   ◇◇◇

「……エス様」
「…………」
「……エス様、グラキエス様、どうされました?」
「……はっ!? い、いや別に何も」
 グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)エルデネスト・ヴァッサゴー(えるでねすと・う゛ぁっさごー)の声で現実に引き戻された。
 そして慌てて誤魔化す。
 言えるはずがない。エルデネストに、その顔に見惚れていたなんて。
 エルデネストの頭に、何か生えているなと思った。
 それを見ていたつもりが、いつの間にか視線は彼の顔へと移っていた。
 そして気が付けば、目が離せなくなっていた。
 ――おかしい。
 これは一体どういう訳だろう。
 そして今は、逆に顔を上げることができない。
 エルデネストの顔を正視できない。
 グラキエスは自らの胸に手を当てる。
 鼓動が、早い。
「グラキエス様」
「うわあっ!?」
 エルデネストの手が、グラキエスに触れた。
 それだけで、飛び上がらんばかりの反応を見せるグラキエス。
 顔を上げてしまった。
 エルデネストの顔が、間近に。
「あ、あっ……」
 駄目だ。
 顔に血が昇るのが分かる。
 グラキエスの頭に生えている花は、黄色いエゾスズシロ。
 花言葉は『ときめき』。

(グラキエス様の様子がおかしい。まさか、いや、しかし……)
 エルデネストもまた、いつもと違う様子のグラキエスに目が離せなかった。
 しかしこちらは、怪しい意味での乱され方。
(グラキエス様が、私を意識している。私の行動ひとつひとつに、心を乱している)
 深く深く、息を吸う。
(――ああ。何という心地よさ!)
 エルデネストの頭の花は、白いセイヨウカリン。
 花言葉は『魅力』『誘惑』『豊麗』『優雅』『唯一の恋』そして『あなたを救う』
「おいでください、グラキエス様」
 エルデネストは、グラキエスの腕を取る。
 乱された心を、心身の違和感を取り払う為に。
(――乱れるのは、心だけでなくてもいい筈ですよね)

   ◇◇◇

 花は、梅や頭の花だけではない。
 女の子もまた、綺麗な花。
 喧騒から少し離れた梅の木の下で、女の子5人がきゃっきゃうふふと梅やらその他を眺めていた。
「えへへ、お花似合う?」
「摩耶様はどんなお花もよく似合っていらっしゃいます」
 頭の両脇にカンツバキの花を生やした神月 摩耶(こうづき・まや)は、リリンキッシュ・ヴィルチュア(りりんきっしゅ・びるちゅあ)に褒められ有頂天。
「えへへへへー……きゃんっ!」
「摩耶様っ!」
 浮かれた摩耶は足をもつれさせて転び、転んだ拍子に桃色のしましまが……
(摩耶様のっ! 摩耶様の、おぱんつが……っ!)
 いつにない浮かれた様子で身悶えするリリンキッシュ。
 彼女の頭の花はユリ。
 花言葉は『陽気』。
 ちなみに摩耶のカンツバキの花言葉は『愛嬌』。
「あったー。大丈夫。怪我なんてしてないもんっ!」
 むんっと元気ポーズを決める。
「良かった、摩耶。でも念のため、脚を見せて頂戴……」
 摩耶のすらりとした足に、白い手が伸びる。
 クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)はそのまま摩耶の足を撫で擦る。
「あぁんっ」
 摩耶が身悶え、その顔をクリームヒルトの豊満な胸に埋める。
 クリームヒルトの頭の花は、月下香。
 花言葉は『危険な楽しみ』『危険な関係』『火遊び』。
 言葉に違わぬ危険な遊びが始まろうとしていた。
「クリム様っ! 摩耶様ばかり構っておられないでください!」
 そこに割って入ろうとするリリンキッシュ。
「私も! 私もお願いします!」
「あら、嬉しいわ。リリンったらいつも以上に積極的ねぇ」
「あ、リリンちゃんも混ざるー?」
 リリンキッシュの頬に、クリームヒルトと摩耶がそれぞれ左右から口付けする。
 今度はクリームヒルトの頬に、リリンキッシュと摩耶の口付けが。
 まさに、きゃっきゃうふふ。

「……皆様、楽しんでらっしゃいますね……」
 そんな様子を少し離れた所から体操座りで見ている人物がいた。
 董卓 仲穎(とうたく・ちゅうえい)
 その頭の花は、ムスカリ。
 花言葉は『憂鬱』……
「……様。穎様。お一人で如何されたのですか?」
 そこに、声がかけられた。
 心配そうに覗き込むのはアンネリース・オッフェンバッハ(あんねりーす・おっふぇんばっは)
 頭の花は紫羅欄化。
 花言葉は『愛の絆』『豊かな愛』『永遠の恋』『思いやり』……
「わたくしと一緒に、クリム様達の所へ行きません?」
「折角ですが」
 アンネリースの誘いに、仲穎は首を振る。
「こうやって皆様が楽しんでいるのを見るだけで、私は楽しゅうございますから」
「そのようなことを仰らずに、さあ」
 しかしアンネリースは挫けず、二度三度と仲穎の腕を引く。
「……このような私でも、よろしいのでしょうか?」
「勿論ですわ」
 アンネリースは仲穎を後方から抱きしめる。
 そして手を取り、先程からいちゃついている三人の元へ。

「あ、穎姉様ー」
「穎にアンネも、よく来たわね」
 クリームヒルトとリリンキッシュから攻められ上気していた摩耶は、それでも仲穎とアンネリースを快く受け入れる。
「ほらほら、そんな憂鬱そうな顔してないで、みんなで楽しもうよー。ほら、こーやって……」
「んっ」
 摩耶のキス。
 仲穎の頬に、首に、次第に人には言えない際どい場所へと下りてくる。
 その間も、仲穎の腰に回したアンネリースの手が止まることはない。
「あ、ふぁんっ」
「どう? 元気出た?」
「……あ、少し、少しずつ、気分が楽になって行くような気がしますわ……」
「良かった」
 クリームヒルトは摩耶に、リリンキッシュに、アンネリースにそして仲穎に、平等に愛を与える。
 その手に翻弄されながら、摩耶はリリンキッシュに口付けし、リリンキッシュもそれを返す。
 クリームヒルトとアンネリースの愛撫を受けながら仲穎は息も絶え絶えに。
 梅の花の香りの中、五人の蕩けるような時間は続いた。