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【第四次架空大戦】ティル・ナ・ノーグ

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【第四次架空大戦】ティル・ナ・ノーグ

リアクション


05 襲撃2


 突如空から響く大声。

『フフフ……我が名は、ティル・ナ・ノーグ侵攻先遣隊司令官マネキ・ング(まねき・んぐ)
『そして僕ウォーリー、マイキー・ウォーリー(まいきー・うぉーりー)さ! よろしくね!』
 大型艦とともにやってきた件の招き猫だったが――
【失せろ――】
 アカガネがそのつぶやきとともに圧倒的な速度と圧力を持って艦隊に接近する。
「って、何だ? 攻撃だと? 勇者か? 相手は一機だ……粛々に対応せよ……対勇者特戦部隊、対空防御、弾幕薄くはないが……何やってんの!?」
「へい、エキスパート部隊も出撃!」
 慌てて対応するマネキとウォーリーだが、近づいてくる機体にすべて鎧袖一触で蹴散らされる。
「この、機体は……」
 その先を言わせてもらえないままに、爆発、四散。俳句を読む暇すら存在しなかった……

「ハッハッハ、マネキを倒したくらいでいい気になられては困りますね」
 そう言ってその後ろに隠れていたドクター・ハデス(どくたー・はです)の搭乗する神剣勇者エクス・カリバーンが現れる。
 エクスカリバーンはヘルガイアに対向するための切り札なのだが、それを察知したヘルガイアがその分身である聖剣勇者 カリバーン(せいけんゆうしゃ・かりばーん)ダーク・スカル(だーく・すかる)を使って洗脳、己の手駒としてしまったのだった。

【あれは――エクス・カリバーン!? しかし、なんという禍々しい気配だ】
 さすがのアカガネも、それには驚愕せざるを得ない。
「フハハハ! 我が名は魔神帝国ヘルガイアの天才科学者ドクターハデス! 勇者どもよ、お前たちに、ティル・ナ・ノーグに眠る勇者の力を渡すわけにはいかんなぁっ! この地で、我らヘルガイアに滅ぼされるがいいっ!」

【残念だったなヘルガイア。勇者たちはすでに力を手にれた後だ】

「なんだって!? けけけっ、目障りな勇者どもめっ、ならば、この俺様が操るカリバーンが、お前たちを消し去ってやるぜえっ!」

【なるほど、貴様が操っているのか――】

 アカガネは得心すると、機体を大きく後方に退かせる。そして、美羽の乗るグラディウスを横目で見る。
「さて、カリバーンと言えどもこの聖剣デュランダルに耐えきれるかしら?」
 そう美羽が宣言した時、ハデスの後方から膨大な熱量を持つ光線が襲い掛かる。
「なっ!?」
 すんでのところでそれを回避したハデスの後ろに現れたのは、ガブリエルに乗るリリー・アトモスフィアと新型機であり艦載用大型荷電粒子砲を2門搭載する砲術機ミカエルに搭乗するミレリア・ファーウェイである。
 先ほどの熱量はミレリアの二問の粒子砲が放ったものだった。
「騎兵隊の登場よぉ」
「お待たせしました!」
 ティル・ナ・ノーグに、二人の声が響く。
「リリーさん!」
 ベアトリーチェの歓声が上がる。
「おまたせ、ベアトリーチェさん!!」
「さて、あたしが支援してあげるからぁ、あの金ピカとさっさと合流なさぁい」
「はい!」
 ミレリアの言葉を背に、リリーのガブリエルが突進する。
「……超能力でビームを曲げたりミサイルを操ったり……面白いじゃなぁい?」
 そう言うミレリアのミカエルから発射されたのは、無数の多弾頭ミサイルで、それは左右に膨らんでから、急激に方向を変え、カリバーンめがけて突き進む。
「ちぃっ!」
 ハデスが舌打ちしつつそれを回避しようと高度を上げるが、ミサイルはその後ろを猟犬のように追尾していく。
「どうなってるんだこれは!」
「あれは、コルニクスの……」
 ハデスとジヴァが同時に驚愕する。
「ジヴァだっけ? あんたのままのレポート見たわよぉ……なかなか面白いこと考えてたから、真似させてもらったわ!」
 そして、逃げるカリバーンをミサイルが追いかける。
 急激な軌道の変化に耐えきれなかったり推進剤が突きたりして幾つかは途中で脱落するものの、少なくない数がカリバーンに命中する。その隙にリリーはグラディウスと合流を果たしたのだった。
「おのれ勇者め! だが、これからだ! さあ、ヘルガイアの暗黒エネルギーで破壊衝動を解き放ちなっ、カリバーンッ!」
 ダークスカルの黒いオーラがエクス・カリバーンを包んだかと思うと、カリバーンはそのオーラを勇者たちに叩きつける。
「きゃあああああっ!」
 防御に優れるリリーが前に出てかばうが、その威力に激しく脳髄を揺さぶられる。
「リリー!」
 ミレリアがその身を案じて声をかける。
「大丈夫……です! このくらい……」
(ああ、可愛いわ……)
 場違いな感想を抱きながらも、牽制のためにミレリアはミサイルを次々とカリバーンに向けて発射する。
「とはいえ、さすがに大幹部ともなると、手強いわねえ!」
 激しい機動と超能力でのミサイルの操作に、途切れ途切れになりかける息と思考を何とか持たせながら、ミレリアは戦う。なんのためかはわからないままに。