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リアクション
手をつないで歩いている辻永 理知(つじなが・りち)と辻永翔(つじなが・しょう)。
「雫をすくうと結ばれるなんて変わった言い伝えだよね」
「そうだな。………ん?」
前方から翔と瓜二つの夢魔が現れる。
その夢魔はそっと理知に優しく触れてきた。
「……俺はお前のことが好きだ。愛してる」
隣には本物の翔がいるが、そんなことは関係ないとそっと理知の耳元で愛をささやいていく。
「(手を繋いでるのが本物の翔くんだからこの翔くんは偽物?)」
「な…な……」
本物である翔は赤面してもごもごしていると、愛をささやいている夢魔翔を押しのけるように求婚してくる翔が現れた。
「むぎゅっ」
「愛をささやくだけで手を出さないアイツじゃなく、オレと結婚しようぜ!」
「ちょっと! 結婚するのはボクだよっ」
小学生姿の翔が本物の翔を押しのけて、ぎゅっと理知に抱きついてくる。
「(どうしよう、いろいろな翔くんがいる……ちょっと嬉しいかも)」
「ねぇ、あっちはあっちで楽しむみたいだし、どう? 私といろいろイイコトをしない?」
いろんな翔に口説かれている理知に目を奪われていた翔。
そこへ翔の手を引くお色気満タンな理知が現れた。
「うわーーーー!」
「可愛いわねぇ。そういう反応も好きよ」
寄り添い、胸を翔の身体に押し付ける色っぽい方の理知。
「や、やめてくれ! 俺が好きなのは誰に対しても優しくて、ちょっと天然ボケで可愛いところもある、明るくて前向きな理知が好きなんだ!」
「翔くん……」
「そ、それに戦う前に必ずやる、お守りを握って目を瞑っている姿だって!」
「ふふ、こんなに褒めてくれるなんて、嬉しい……」
赤面のまま大胆告白する翔。それに理知はときめくが、なお接近していく夢魔理知にどこかで何かが切れる音がした。
「それ以上近づいちゃダメ!」
やきもちを焼いてサンダークラップを放つ理知。
「翔くんは私の旦那様なの! これ以上近づかないで!!」
「そうだ。理知は俺の妻なんだ! これ以上慣れ慣れしく近寄らないでくれないか?」
二人の真空波が合わさり、一つの真空波となって夢魔たちを切り刻んでいった。
「全く……」
お互い相手に言われた事、自分が言った事を思い出して顔を赤らめてしまう。
「……樹を探しにいこっか」
「そうだな」
樹を探している最中、何度も現れる夢魔たちに今度は惑わされることなく倒しながら奥へ進んで行くと双樹の樹があった。
「じゃぁ、手を合わせて……」
合わせた手に雫が落ちてくる。
それが吸い込まれるように消えて行くのを見る二人。
「そう言えば、あの変態たちが出てきたけど、あれって困難になるのかな? 翔くんに言い寄ってきたのは気に食わないけど、不思議な体験だったね」
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