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煌めきの災禍(後編)

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煌めきの災禍(後編)

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 そこに集った契約者の多さから接近戦はフリと悟ったらしい。
 ならず者たちはハーヴィを中心とするその円目がけて、手当たり次第に石を投げ始めた。
 極めて原始的な方法ではあるが、戦においてはかなり厄介とされるのが投石である。ハーヴィの傍を離れられない以上、契約者たちは防御に徹するしかない。
 スケッチブックの表紙をめくろうとしたヴァンビーノの脇腹に、硬い石がめり込む。
「ゴフッ……凄い痛みだ、漫画のネタになるぞ……メ、メモ帳に書いておかねば……」
 悶える様な痛みの中でも「飛び出す筆」を走らせているのには、さすがプロというべきだろうか。持ち前の速筆でヴァンビーノが描き終えたタワーシールドは、スケッチブックから飛び出して後方の守りを固めた。
「わたくしもお役に立ちたいですわ」
 ローズは急いでヴァンビーノに治療を施そうとしたが、そう言って駆けよったチェルシー・ニール(ちぇるしー・にーる)に彼を任せることにした。
 その間にも、石の雨は降って来る。
 護衛者たちが鋭い石つぶてで肉を割かれるような事態に直面し、ハーヴィはひどく動揺していた。
「すまん、我のせいで……我がいなければ、お前さんたちもこんな目にはあわずに済んだのに……」
「大丈夫、大丈夫♪ 絶対奴らの思い通りになんてさせないからね」
 理沙はそう言うと、ハーヴィを励ますように明るく笑った。
 その時、しびれを切らしたならず者の男が武器を構えて走って来た。
「嘆いたり自分を責めたりするのは今の状況を切りぬけてからよ、死んだらそれもできないじゃない」
 セレンはハーヴィにそう言い残して、敵を撹乱すべく動く。
 スキルによって高められた素早さを活かし、攻撃を仕掛けるのに有利な方向へ誘導すると、予測位置に対して愛銃の引き金を引いた。
 打ち抜かれた相手は奈落のどん底に突き落とされたような絶望を感じて、戦う意志を失った。
 味方がやられるのを見たならず者たちは、逆上して一斉に襲いかかって来る。
 セレアナはあらゆる方向に対して警戒を行っていたが、その様子を見て眩い閃光を発生させ、敵の視力を奪った。
 その隙に、理沙、ランディと共に攻撃を加える。恋人と揃いの銃「絶望の旋律」が火を吹くと、やはり相手は戦意を喪失して逃げ出した。
「あ、やべぇぞ!」
 ランディが振り返った先には、契約者たちの攻撃を掻い潜ってハーヴィに掴みかからんとするならず者の姿があった。
「ちょっと我慢して下さい」
 その瞬間、ローズの言葉と共にそこかしこから集まって来た毒虫が、壁となってハーヴィを守る盾と化した。蠢く毒虫の壁は守られている当人も嫌だろうが、そこは我慢して貰うしかない。
 ついでに【パイロキネシス】によって炎を纏った拳を突き出し、ローズは敵の攻撃を跳ねのけた。