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これは大きな一つの物語の始まりだ。

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これは大きな一つの物語の始まりだ。

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6、これは大きな一つの物語の始まりだ。




「パパぁー!」
 結局、子供が父親に元に戻ったのは日が暮れてからだった。お手伝いさん、父親と母親に抱かれ、女の子は嬉しそうだった。
「ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして」
 想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)は頭を下げる両親に頭を下げ返す。
「可愛いお兄さん、またね」
「ああ、また」
 父親に抱かれた女の子が見えなくなるまで、夢悠と雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)は手を振っていた。
「以前、子供に好かれるとか言ってたけど、本当だったのね」
 雅羅がふと口にする。
「ま、ね。今回はなんか、特別だったような気もするけど」
 なんだか変な理由で懐かれた感じだ。まあ構わないんだが、なんとなく胸元がすっきりしないというか。
「あれだけの騒ぎの中で、ずっと気にかけていたんですもの。根本的に、優しいんだわ」
「いや、あははははは」
 素直に嬉しいことを言われ、夢悠はちょっとだけ顔を赤くした。
「まあ、その、女の子に好かれるって言うのは悪い気はしないけど、「雅羅さーん、ちょっと話をまとめたいそうですー」「今行くわ。じゃああとでね、夢悠」オレが本当に、常日頃から考えているのは、雅羅……って、いないし!」
 夢悠が決意を持って口にした言葉も、いつの間にか雅羅が立ち去っていて届いてなかった。
 どうも、中間地点の出来事をまとめるべく集まっているようだ。
 フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)と並んで、九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)と話し込んでいる。
「ははは、苦労してるなあ」
 少し落ち込んでいた夢悠の肩を、朝霧 垂(あさぎり・しづり)が叩いた。
「垂さん……ん、まあ、ね」
 夢悠は曖昧に答える。
「雅羅みたいな、ことごとく悪いことをかき集めるタイプと一緒にいるのは、大変だろうに。よほどの物好きなのか、おまえ」
「はは、そうかもね」
 夢悠は軽く笑う。今もなにかトラブルのことで言われているのか、フレンディスとロゼが笑い、雅羅は少し赤くなって反論している。
「好きだよ。大変なことも含めて、全部」
 夢悠の素直な言葉に、垂は笑いながら、思い切り夢悠の背中を叩いた。




「黒幕は女、でありますか……」
 葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)はしみじみと言う。
「正体は一切不明、人を燃やす力を持っている。それと、“蜃気楼”って言ったかしら?」
 コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)は確認のためか協調して言う。武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)がこくりとうなずいた。
「間接への攻撃は効かず、歌などの精神的なダメージも効果なし。とんでもない奴だ」
 戦った素直な感想を、牙竜は口にする。
「ふははははは! そのような危険な組織が表に出てくるなどと、これは、我々オリュンポスも負けてはいられないということだな!」
 ドクター・ハデス(どくたー・はです)も、なぜか会議に参加していた。
「あんたが事態を混乱させたんでしょうが」
「俺じゃない、悪いのは十六凪だ。俺はなにも覚えていないからな!」
「そこで胸を張らないでよ」
 息を吐いてセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は言った。
「聞いたことないわねえ。そんなに強いのがいるなら、話題になってそうだけど」
 エメリアーヌ・エメラルダ(えめりあーぬ・えめらるだ)がふと口にした。
「私も知らないわ。噂くらいはあってもいいと思うけど」
 水原 ゆかり(みずはら・ゆかり)も考え込んでそう口にする。
「……つー、イテエ。あの甲冑、こんどあったら許さねえからな」
 貴仁は包帯をいくつか体に巻いていた。痛そうに体を抑え、その原因となった甲冑の騎士にリベンジを誓う。
「どういう連中なのかもわからない以上、動きようがないであるな」
 グロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)が言い、何人かからため息が漏れる。



「……酒杜陽一、覚えているか、例の、洋館」
 左手を包帯でつっている、竜平が口を開いた。
「洋館?」
「メイドが皆殺しにされた」
「あ、ああ!」
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)が思い出して、ぽん、と手を叩いた。
「お化け屋敷となりの洋館でありますか?」
 吹雪も思い出して口を開く。竜平は頷いた。
「……あの事件の女だ。奴は」
 その言葉の意味を理解したメンバーの、顔色が変わる。
「ちょっと待って、洋館、って」
「聞いたな。あの、お化け屋敷の話は」
 遠野 歌菜(とおの・かな)月崎 羽純(つきざき・はすみ)も思い出したのか、表情を変える。
 陽一が、洋館でおきた事件のことを話した。
 メイドが皆殺しにあい、そして、屋敷の持ち主も、なんらかの事故に巻き込まれて死んだ、呪われた洋館。陽一は、その地下にある黒魔術かなにかの実験場を見た。山ほど並んだ、薬、魔道書。利用されて殺されていった、多くの人々の話を。



「あの屋敷な……うわ、あれと関係あるのかよ」
 ハイコド・ジーバルス(はいこど・じーばるす)も息を吐く。
「もしそうなら、とんでもない話ってことだな」
 涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)が神妙な顔で言った。
「その通りだ……っ、とんでもない話だよ」
 竜平が言い、途中、腕の痛みか顔をしかめてバランスを崩す。隣に立っていた虎之助が、彼の体を支えた。
 その様子を綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)は見つめ、息を吐いた。洋館のことも、虎之助のことも……なんというか、大変だ。


「ははははは! そんな神妙な顔では、いいアイデアもでてこないのだよ!」
 突然、重苦しい空気を変える声と、そして、香ばしいいい匂いがしてきた。イングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)が、いろいろな食べ物をその場に運んできてくれたのだ。
「その通りですよ。大変なのはわかるけど、そういうときこそ自然体で。ね」
 料理を配る騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が言う。
「そうだな。これからのことは、これから考えることにしよう」
 千返 かつみ(ちがえ・かつみ)が、たこ焼きを受け取って口を開いた。
「今回のテロはなんとか防止できて、怪我人は出たけど、犠牲は出てない。みんなが頑張った結果だ」
 そして、爪楊枝に刺したたこ焼きを掲げて、そう言った。
「そうですよ。今日のことは上手く行ったんです。まずは、そのことを称えあいましょう」
 ウィル・クリストファー(うぃる・くりすとふぁー)は二つのたいやきを受け取り、一つを隣のファラ・リベルタス(ふぁら・りべるたす)に渡す。いつもよりちょっとだけ近い場所にいたファラは、両手でたいやきを受け取った。
「そうですね。いろいろ大変でしたし。みなさん、お疲れ様」
 衣草 玲央那(きぬぐさ・れおな)はそう言って、お好み焼きの入ったパックを掲げた。
 確かに、難しく考えても仕方ないか、とも思う。とにかく、今回の件は今回の件で、なんとか解決に導けた。


「ゆかりさーん、見てこれ、レースクイーンの大活躍、だって!」
「えっ!? ちょ、なにこれ恥ずかしい!」
 芦原 郁乃(あはら・いくの)がとあるウェブサイトをゆかりに見せた。レースクイーン姿の女の子が数人、爆弾を解体しているところを盗撮されたらしい。「わ、私もだ」と玲央那は口にした。
「……ダブルエロス」
「俺じゃない」「僕も違います」
 アデリーヌの言葉を二人は否定する。レースクイーンの話題は少し明るくなった場をさらに和ませ、笑い声をその場に響かせた。


 そうやって、みんなが笑っていられるように、これからも自分たちは、戦い続ける。
 次に事件があっても、必ず解決してみせる。
 皆はそう、心に誓うのであった。


担当マスターより

▼担当マスター

影月 潤

▼マスターコメント

 

 
 
 と、いうわけで、初めましての方は初めまして。お久しぶりの方には、いつもありがとうございます、と。

 影月潤です。今回、僕のシナリオに参加していただいて、ありがとうございました。

 
 また今回のシナリオにおいても、ずれ込んでしまいました……関係者、参加者の皆様に深くお詫びを申し上げます。
 おかげで人間しばらく寝ないでも生きていけるということを学びました。


 シナリオガイドで予告しましたとおり、今回は三部作で予定しております。

 思っていた以上に小物になった今回の厨二病的テロ組織とは違い、今後の敵は強大、最強、それチートと言わしめるような、そんな形で考えております。

 ちなみにどうやって物語を終わらせるかは考えてません。これからどうなることやら。

 それとテロ組織の名前が厨二っぽいのは僕が中二のときに作った小説の名前に組織名を似せたから。リアル中二。感づいた人はすごい。

 


 今回のシナリオについては、かなりシーンや出番が膨らんでしまい、おかげで極端に見せ場があった方、なかった方と、意外に極端になっていると思われます。そのあたり、僕の実力もまだまだだと感じてしまうことでありました。

 もし、僕に対してご意見があれば、是非ともお気軽に、ご指摘ください。

 ご感想なども、いつもいつも様々な感想をいただいて、本当に感謝です。

 みなさんの言葉の一つ一つが、僕の力になっております。




 http://www.geocities.jp/junkagezuki/  


 僕のHP、『影月 潤の伝説の都』です。もしよろしければどうぞ。
 規約により、「蒼空のフロンティア」プレイヤーさんへのお返事などは行えませんので、ご了承いただきたく思います。



 以下NPC考察


・セイニィ・アルギエバ

 いたんだけど出番の少なかった人。
 なので最後はチートキャラ、蜃気楼に殴りかからせました。危ない危ない、もう少しでフラグが立っていた。

 そういえば、彼女は飛行艇を落とすこともできるそうですよね。どう考えても生かせなかったんですが、一応頭の片隅に入れておいたこの設定、結局生かすことができませんでした。当然だけど。



・雅羅・サンダース三世

 中間地点に向かった人で多かったのが、


「こいつがいるなら、なにか起こるに違いない」


 という人。大正解にするかふふふかかったなと言おうか迷い、結局は大当たりにさせることに。

 地味だけど目立つ、というのが今回の出番だった。うん、目立ってた。なにもしてないのに。


 以下オリキャラ考察



・土井竜平。バーストエロス


 今回は比較的シリアス。
 彼の武器がスピードを生かした槍ということも判明。
 最初はもっと戦わせていたのですが、オリキャラ同士の掛け合いが長すぎになったため全面カット、今の長さに。それでも十分長いけど。


・皆口虎之助 ハイパーエロス


 衝撃の事実が発覚した人。
 ちなみに当初からあった設定。

 面白そうだと使ったはいいのですが、今後のキャラの動かし方をなにも考えてません。どうしましょう。<おい



・沢渡真一


 それほど出番がなかったにもかかわらず、疑われたり探られたり衝撃の事実を発表したりといろいろあった人。爆発に巻き込まれるだけあって、悪運が強いのかな。
 ちなみにバーストエロスが師と仰いでますが、彼はそんなにエロくないです。詳細はまあ、以前の僕の作品を読んでいただければ。<宣伝



・女  および蜃気楼

 については、今後のシナリオで鍵となるキャラなのでコメントは差し控えます。


・ロイ

 なんという軽い男。
 軽そうに見えて実は、あるいはその逆も考えたのですが、どう頑張っても軽いキャラにしかなりませんでした。なんというか、コメントも難しかったりします。


 以下は個別コメントは、皆さまへの簡単な感謝の言葉とアクション等への感想となります。
 それと、皆様に称号を贈らせていただきました。
 まだまだ面白い称号をつけられないのですが、喜んでいただきますと幸いです。