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魔道書はアレクサンドリアの夢を見るか

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魔道書はアレクサンドリアの夢を見るか

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終章2 夢で逢えたら


 話は、【非実存の境】の『虚無の手』撃退後、に戻る。



「契約者の皆様……本当に、ありがとうございました。
 そして、皆さんも無事でようございました」
 クラヴァートは、図書館前に集まっている契約者たちに 礼を言い、深々と頭を下げた。
「迫る危機がなくなり、書龍は当分姿を現すことはないでしょう。
 書物たちも徐々に落ち着きを取り戻しています。皆様には感謝のしようもありません」

「あのさ……」
 そのクラヴァートに、かつみが話しかけた。
「あれだけの大量の本の整理、一人じゃ大変じゃないかと思うんだけど……
 落ち着いてからでいいんだけど、バイトとかで整理手伝えないかな、と思って」
 クラヴァートはその言葉を聞いて、少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに微笑んだ。
「お申し出、ありがとうございます。
 そのようなお話にも関係することで、皆様に断っておかなければいけないことがあるので、お聞き下さい」
 そう言うとクラヴァートは、視線をかつみから、を再び契約者全体に戻した。


「今回私は、司書の権限で、ここにいらした皆様全員をこの図書館の利用者として登録させていただきました。
 そもそもは、危険回避のための緊急措置に過ぎませんが――皆様さえよろしければ、登録はこのままにしておこうと思います。

 今後は、皆様は……もちろん『そうしたい』という強い要求があれば、ということですが、
 魔道書に頼らずとも、ご自身の夢を渡って来館してこの図書館をご利用することは可能となります


「自由に……ここに、来られるの……?」
 ネーブルの問いに、クラヴァートは頷いた。

「ただ、夢というものは不確かで、人には恣意的には御しがたいものです。{bold]常に確実にこの境に至る、とは確約できませんが……
 強い思いがあれば、導かれることでしょう。
 それを可能にするのが利用者登録です」

「あーそれ……」
 再びかつみが口を開いた。
「今回、俺たちのために通路役になってここには来てないうちの魔道書も、登録できないかな?」
「はい、喜んで登録させていただきます」
 クラヴァートの快諾に、かつみはよかった、と呟いて安堵した。
「今はまだ混乱が残っていますが、蔵書たちも貴方がたにならいずれ気持ちを許すでしょう」


 静寂を取り戻した【非実存の境】の大地に、幻影がまた現れ、そして消えるのが見える。

「まだまだ、この図書館は施設として完成されていませんし、それゆえに力の十分でない存在です。
 薬草園や勉強施設もいずれ復元したいですし……その時にはまた、人手を募ることも考えなくてはならなくなるかもしれませんね」
 クラヴァートは図書館を振り返り見て言った。

「そうやってしっかりした存在になった暁には、あのように夢でたまさか訪れただけの人の意識も、この図書館に気付き、利用してくれることになるのではないかと思います」

「その人が現実世界で目覚めた時、この図書館を利用したことを覚えているかどうかは分かりません。
 けれど、ここの本から得た情報がその人の無意識下で知識として蓄えられ、いつかその人の生涯の中で役に立つ……
 そのような形で、皆様にご利用いただける場所に、この図書館をすることが、今の私と蔵書たちの希望です」





「どうか皆様も、夢の中で当図書館をご利用ください」


担当マスターより

▼担当マスター

YAM

▼マスターコメント

参加してくださいました皆様、お疲れ様でした。

まず謝っておかなくてはならないのは、ガイドでの説明不足で、「通路役になった魔道書PCの行動範囲」についてPL様の間に認識の差ができてしまったようだということです。パレット達のように自由に動いてもらってよかったんですが、「他のイルミンスールの魔道書が通路を作るために動けない」というところに引っかかってしまったのでしょうか。完全にこちらの説明不足でした。申し訳ありません。

『万象の諱』の顛末については、こちらが手掛けている別シリーズにご参加下さったことのある方にはピンと来た部分もあるかと思いますが、ご存じない方はまぁ「へぇそうなったのか」という感じで納得していただければと思います(苦笑)。

今回で、「パレット」という魔道書を中心に据えた一連の話は終了です。が、他の魔道書NPCも含めて、彼らはまたどこかでお邪魔することになるかと思いますし、また夢幻図書館が出てくるシナリオも終了までに1度くらい出せればと考えています。予定は未定ですけどね(←)。
皆様それぞれの『歴史』に対する認識が現れたアクションは非常に興味深く、楽しんでリアクションを書くことができました。感謝です。

本文にあります通り、参加されたPC様方全員を利用者登録したものとして、利用者カード代わりにその旨を記した称号を贈らせていただきます。よろしければ夢の中でまた遊びに行ってみてください(笑)。

それでは、またお会いできれば幸いです。ありがとうございました。