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魔女と傭兵と封じられた遺跡

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魔女と傭兵と封じられた遺跡

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封印の先


「ついに封印さんの奥に進めるの!」
 遺跡都市アルディリス。その最深部の入口にて。及川 翠(おいかわ・みどり)は穂波が封印を解くのを今か今かと待っていた。
「それではこの鍵で封印を解きますが……気をつけてくださいね。下手をすれば大怪我では済まないかもしれませんから」
 穂波はそう言って封印を解く。
「突撃なの!」
 封印が解けてすぐに翠はそう言って封印の先へといち早く向かう。
「……翠は本当に人の話を聞かないわね。……それとも聞いてすぐ忘れてるのかしら」
 そんな翠の首根っこをいち早く掴んで言うのはミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)
「お姉ちゃん、そこ掴まれたら先にいけないの」
「いや、だから勝手に先に行かないように捕まえてるのよ」
「訳が分からないの。嫌がらせなの?」
「…………なんかもうこの娘だけ先に行かせていい気がしてきた」
 そう言いながらもミリアは首根っこの代わりに翠の手を握る。この先に何があるかわからない……そんな危険なところに翠を一人行かせるのは決して出来なかった。
「ふぇ〜、ミリアちゃんも大変そうですねぇ〜。……瑠璃ちゃんはぁ〜、突撃してっちゃダメですよぉ〜? 何があるかわかりませんからねぇ〜」
 間延びした声でそう言うのはスノゥ・ホワイトノート(すのぅ・ほわいとのーと)
「え、突撃ですか?…………うん、確かに何があるかわからないですよね……気をつけますっ!」
 翠同様好奇心の強い徳永 瑠璃(とくなが・るり)だが、翠とは違い常識はあるのでスノゥの言葉に頷く。スノゥに止められなければ翠の代わりに突撃したり、ちょっと考える間があったりした気がするのは気のせいだ。それをしてもおかしくないくらいの好奇心をその胸の中に満たしているのは間違いないが。
「ふぇ〜……でもこの奥は本当にまっくらですねぇ〜」
「そうですね……『超感覚』でも光を使わないと視覚はほとんど役に立ちませんね」
 スノゥの言葉にそう返す瑠璃。
「一応光源となるものは私が持ってきていますが……もしも私から離れて行動する場合は少し気をつけてください」
 そう言って穂波は用意していた光源を使い、あたりを照らす。
「……機械音がこの先からしますね。……機晶技術で作られたガーディアンでしょうか」
 今までの冒険の経験と超感覚で得た情報からそう予想して言う瑠璃。
「ガーディアンさんなの!? 突撃なの!」
「はいはい。まずはこっちにいきましょうね」
 掴んだ手を引っぱって翠を音がした方向とは別の道を進むミリア。
「本当にミリアちゃん大変そうですねぇ〜。瑠璃ちゃん、私達も行きましょうか〜」
「はい。早く行きましょう!」
「……好奇心で一杯って感じですねぇ〜」
 翠とミリアに続くようにスノゥと瑠璃も同じ道を進んでいく。


「……なんか、すごい心配になってきたんだけど」
 先頭を歩く四人の様子を見て瑛菜はそう言う。
「えーっと…………好奇心は大事だと思いますよ? 封印の鍵が出来たのもあの方たちのお陰ですし」
 穂波はそう返す
「好奇心は猫をも殺すってことわざもあるけどね。……ま、あたしらがサポートすればいいだけか」
「うん。みんなで協力すればきっと大丈夫だよ」
 瑛菜の言葉にアテナも同意する。
「はい。……けど、本当に気をつけてください。この暗闇で戦うのはそう楽ではありません。出来る限り戦いは避けるべきです」

 そうして穂波たちの遺跡都市最深部の探索は始まるのだった。