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魔女と傭兵と封じられた遺跡

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魔女と傭兵と封じられた遺跡

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アーデルハイト


「ふむ……穂波たちは先に進んだようじゃの」
 先ほどまで穂波たちがいた場所。封印が解かれた場所でアーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)はそう言う。
「私達も行くかの。例の魔女を探して」
 そうしてアーデルハイトもまた暗闇の遺跡都市最深部へと進んでいく。

「ルカ、止まれ。あのタイプのガーディアンは以前別の遺跡で見たことがある。このまま進めば襲ってくるぞ」
 アーデルハイトの隣を歩くルカルカ・ルー(るかるか・るー)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)はそう静止の声をかける。
「ダリル? じゃあ、どうする? 迂回路進む? それとも倒す?」
 ルカはそう聞く。
「ふむ……確かあれは熱源探知型だったはずだ。だとすれば……」
 ダリルは『アブソリュート・ゼロ』を使いガーディアンを囲むように氷の壁を展開する。
「ガーディアンが氷の壁を壊そうとしているうちに先に進むぞ。こちらの位置を認識されて一点突破されなければどうにかなる」
 ガーディアンはすぐに壁を壊そうと動くが、その反対側を素早くルカたちは通り先に進む。
「ふむ……流石じゃの。お前らは」
 機転とそれを可能にする能力をアーデルハイトは褒める。
「この程度であればいつものように経験していることだ。褒められる程でもない」
 謙遜でもなく当然のようにダリルは言う。
「ダリルは相変わらずだな」
 カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)は面白そうにそう言う。
「カルキほどでもないさ」
 カルキノスの軽口にダリルも返す。
「ねぇアーデ。どうして粛清の魔女と会おうと思ったの?」
 そんあ二人のやりとりを後ろにしながらルカルカはアーデルハイトにそう聞く。
「理由の……どんな人物か見極めんとこの先大変になる気がしての。…………長く生きた女の勘じゃよ」
 アーデルハイトはそう言う。
「お前はどう思う? 粛清の魔女について」
「うーん……人柄とかは正直よく分からないわ。でも、アーでの言うとおりニルミナスの今後に大きく影響するのは間違いないと思う」
 そしてとルカルカ。
「魔女の力は危険だけど、もしもその力を貸してもらえるなら村の発展や守るための大きな力になるのは間違いないもの」
 危険だけど、だからこそその力が正の方向に使われるならと。
「それに、アーデと一緒で勘だけど、粛清の魔女は悪い人じゃないと思うから」
「そうじゃといいな」

「しかし、カルキ。いつもに比べたら真面目だな」
 ダリルは横を歩くカルキノスにそう言う。
「何を根拠に言ってんだ」
「酒を飲んでいない」
「……ダリルの中で俺のイメージはどうなってんだ」
「半分は冗談だ。だが、いつもより心なしか気を引き締めてるのは本当だろう?」
 ダリルは言う。
「ま、そうかもな」
 認めてカルキノスは続ける。
「俺ぁあの村を守りたいんだ。ルカがミナホの笑顔を守りたいように、ダリルが秩序を守りたいようにな」
「そうか……ならくしゃみとかしないように気をつけるんだな。カルキのくしゃみは大きいからな」
「分かってるよ」
 ダリルの言葉にカルキノスは小さく笑う。そして笑いながら思う。
(前村長に俺は誓ったんだ、この村は俺達がちゃんと守っていくってよ……)
 その誓いを心に強く刻むカルキノスだった。