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七夕祭りinパラミタ内海

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七夕祭りinパラミタ内海

リアクション

「賑やかでこっちまで楽しくなるね」
「そうだね」
 新婚ほやほやの小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)は端から見ても分かるほど幸せそうに七夕祭りに参加していた。
「あの主催者二人に挨拶しに行こうか。お手伝いもしたいし」
「それはもっと賑やかになりそうだね」
 美羽はよく知る双子への挨拶を提案するとコハクは何倍も騒がしくなる事を想像し、笑みをこぼした。
 ともかく二人はいるだろう笹溢れる浜辺へ向かった。

 浜辺。

「願い事はロズが戻って来てからにして笹飾り作りをするぞ」
「あぁ、他の笹の様子を見に行っている隙に……」
 双子はロズが他の笹の様子を見に行っている隙に何やら悪巧みの笑みをちらり。
 しかし
「ヒスミ、キスミ、元気?」
「こんばんは」
 美羽とコハクの元気な登場により双子の悪戯はお預けとなる。
「……見ての通り元気だよ」
「……オレ達今忙しいんだけど」
 悪戯を邪魔された双子は不満げに美羽達を迎えた。
「私達も手伝うよ」
 双子の不機嫌理由を知る美羽は意に介さず、手伝いに名乗りを上げた。
 途端、
「えーーー」
 双子は盛大に不満を爆発させた。つまり手伝いという名の監視が付くという事だから。
「えーーって、また何か悪戯しようとしてるでしょ。もし悪い悪戯だったら……」
 双子の事はお見通しな美羽は軽く右足を上げ、やらかしたら得意のキックをお見舞いするぞと。
「んなわけないじゃん」
「そうそう、オレ達は真っ当に主催者として頑張ろうと」
 何度も美羽の見事な蹴りを食らった事がある双子は即座に悪巧みを引っ込め、大人しく美羽達と真面目に笹飾りの準備をする事に。

 笹飾り準備中。
「星、完成! どうかな?」
 星型の飾りを作り終えた美羽は出来立ての星を短冊の用意中のコハクに見せた。
「いいと思うよ」
 コハクはにこにこと言った。
「……何か楽しそうだな」
「何かあったのか。幸せオーラを感じるんだけど」
 双子は美羽達の幸せ溢れる雰囲気に何かを感じ取ったのか訊ねた。
「……」
 美羽とコハクは顔を見合わせてから
「実は私達結婚したんだ」
 代表して美羽が結婚報告をした。
「本当かよ」
「それでか」
 双子は同時にびっくり仰天。
 すぐに
「二人共、おめでとさん」
「幸せにな」
 祝いの言葉を述べた。自業自得ではあるが、痛い目に遭わされてはいても嫌ってはおらず美羽達の幸せを祝う気持ちは本当である。
「ありがとう、ヒスミ、キスミ」
「ありがとう」
 美羽とコハクは笑顔で礼を言った。
 この後、
「どうだ? 完璧だろ」
「こういうのも作ったぞ」
 物作りが好きなだけあって双子が作り出した笹飾りはなかなかの物であった。
「さすが、悪戯好きは伊達じゃないね」
 美羽は手を叩いて双子を褒めた。わざと双子が引っかかるような言い方をして少しだけ意地悪したり。
「何か引っかかるな」
「おいおい」
 むぅと双子は不満顔になるも二人は仲良く美羽達と笹飾りを作って行った。
 そして、出来上がったものは
「高い所は僕が飾るから任せて」
 背中に翼のあるヴァルキリーのコハクが飾り付けを担当した。
 他には笹飾りに双子は美羽達が新婚ほやほやという事で素敵な仕掛けを実行し、無事に成功した。
 それを見て
「ヒスミとキスミもやればできるじゃない!」
「本当に素敵だね」
 美羽とコハクは笑顔で称賛した。
 周囲にいた人達も喜んでいた。

 笹飾りが終わるなり
「と言う事でじゃーん、ヒスミとキスミにごほうびだよ!!」
 美羽は持参したクーラーボックスからみんなで食べるためにと持ってきた自作のフルーツミックスゼリーを出した。
「サンキュー!!」
「へぇ、美味しそうじゃん」
 双子は躊躇う事なくゼリーを手に取り、頬張った。
「どう?」
 美羽がお味を訊ねると
「うん、美味しいぜ。な?」
「あぁ。よし」
 双子は美味しいと答えるも他の事を考えている様子。
「どうしたの?」
 双子の様子に気付いたコハクがゼリーを食べながら訊ねると
「結婚祝いに何かあげるって事だよ」
「まぁ、何て言うか日頃のお礼みたいな?」
 双子は悪戯な笑みを浮かべながら素敵な提案を口にした。
「ありがとう、二人共。嬉しいね、美羽」
 温和で心優しきコハクは双子の厚意を快く受け取り、隣で双子の悪戯警戒で渋い顔をしている美羽に言った。
「そうだけど……悪戯は無しにしてよ」
 美羽はコハクにうなずいてから軽く目を三角にして双子に念押しした。
「おう、任せておけって」
「そうそう」
 双子は軽くに流した。
 ゼリーを食べ終わった後、双子は別行動をしているロズの様子を見に行くため美羽達と別れた。

 祭りから数日後、美羽達の手元に双子からの結婚祝いが届き、その中身は色違いの魔石が付いたお揃いのチャームだった。魔石と言ってもお守り程度の力しかない物だが。
「わぁ、可愛い! コハクとお揃いだよ」
「この色はそれぞれ僕達の瞳の色だね」
 美羽とコハクはそれぞれ自分の瞳色の魔石を手に取った。