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クールな天変地異?

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クールな天変地異?

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第 1 章−発明は爆発だ!−

 シャンバラ教導団とイルミンスール魔法学校が調査とお遊びに動き出す数時間前――

 シャンバラ大荒野の一角を覆った約1メートル程の大雪を前に高笑いをする人影があった。
「フハハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクターハデス!」
 背景に大雪を背負い、白衣に身を包んだドクター・ハデス(どくたー・はです)が冷や汗を流しながら高笑いしていたものの、次第にその声は意気消沈していく。
「ううむ、まさか大荒野のアジトで我らオリュンポスの新兵器の開発をしていたら、突然発明品が暴走し……その結果が大雪とは思わなかったぞ……」
 失敗こそが成功の近道、とハデスは思ったものの失敗の規模を考えると国軍が出てくる事は容易に想像出来た。
「理論ニ、間違いガアッタヨウデス。原因究明中……原因究明中……」
 ハデスの 発明品(はですの・はつめいひん)がハデスの横で繰り返しバグの原因究明に理論のシミュレートをしていたが、彼はそれを止めると『特戦隊』に【優れた指揮官】による能力を駆使して【戦略的撤退】を指示し始めた。
「このアジトが国軍に見つかるのも時間の問題だ、よってこのアジトは放棄する! あ、研究用資材や極秘資料は出来るだけ持ち出してもらおう」
 大雪に埋まったとはいえ、『特戦隊』の戦闘能力を以ってすればアジトから持ち出すものを持ち出して撤退準備に入る事に、そう時間はかからなかった。


 ◇   ◇   ◇


 ハデスがほぼ撤退の準備を終えると、国軍の調査団の相手をさせるべくペルセポネ・エレウシス(ぺるせぽね・えれうしす)を呼んだ。
「さて、ペルセポネよ! お前には殿という大事な任務を与えよう! 我らが撤退するまでこのアジトで敵を引き付け、時間を稼ぐのだ!」
「りょ、了解しました、ハデス先生っ! 敵は私が食い止めますっ! 機晶変身っ!」
 ペルセポネの制服が光の粒子になって消えると、『ペルセポネ専用変身ブレスレット』と『ユニオンリング』が輝き、大雪の原因を齎した発明品と融合した『ペルセポネ専用パワードスーツ』が装着されました。
「ハデス先生……こ、これは?」
 いつもの『ペルセポネ専用パワードスーツ』と違う事に気が付いたペルセポネが訊ねると、ハデスの眼鏡がキラリと光った。
「今装着しているのは、今回の実験で完成した試作型パワードスーツだ。氷属性が付与されており、物理と炎、冷気に強い装甲になっている。丁度【アブソリュート・ゼロ】と同等の効果が得られるのだ! 使用を認めるので調査団を見事止めるのだ!」
「は……はいっ! この防御力なら、どんな敵が来ても負けませんよっ!」
 ハデスの言葉にペルセポネもキラキラと瞳を輝かせ、新しいパワードスーツの効果に期待しながら調査団を待ち構えるべく『ペルセポネ専用ビームブレード』を構えていた。


 しかし、彼らの横ではハデスの 発明品がバグチェックを繰り返す。
「開発過程ノ、50%チェック完了……原因究明を継続……原因究明を継続……万ガ一ニソナエ、【ハルマゲドン】起動用意……」
 物騒なスキルがハデスの 発明品の口から発せられたと同時に逃走を謀ろうとしたハデスの前に現れたのは、エリザベートと大雪で遊ぼうと集まった契約者達だった。予想外の来客にペルセポネも『ペルセポネ専用ビームブレード』を構えたまま、オロオロとハデスの指示を待っていた。――が! 当のハデスも雪遊びを始めたエリザベート達によって逃走のタイミングを逸してしまっていた。