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クールな天変地異?

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クールな天変地異?

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 第 5 章−犯人確保!−

「アレ……?」
 発動しない【ハルマゲドン】にハテナマークを浮かべるハデスの 発明品に干渉したダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)の【電脳支配】で【ハルマゲドン】は未発に終わっていた。
「さて、ここで大人しく引き下がれば危害は加えないぞ。ついでに犯人の行方も教えてくれるといいんだが」
 ダリルがそこまで言いかけると、雪原から「チュドーン!」という爆発音が響いた。それと同時に数人の人影が爆風で浮き上がったのが見えると、ある程度察したダリルは空から探索しているはずのルカルカ・ルー(るかるか・るー)へ『ダリル専用籠手型HC光条零式』から通信を送った。
「ルカ、爆発のあった辺りへ向かってくれ。そこら辺に多分この大雪を降らせてくれた首謀者がいるはずだ、まあ……誰なのかは大体目星がついたがな」
「了解! 先に金団長と董大尉と向かうわね」
 【空飛ぶ魔法↑↑】で爆発の現場に向かうルカルカ、『小型飛空艇アラウダ』に乗った董 蓮華(ただす・れんげ)と鋭峰は爆発のあった場所へと向かったが更に爆発音が響いた。
「むやみやたらに動いている輩であろうな、最初の爆発で大人しくしておればいいものを」
「は、はい、確かに……そうですね。あの爆発……スティンガーが上手く引っ掛けてくれたみたいですよ」
 内心、鋭峰と一緒に小型飛空艇に乗っていると蓮華の心臓はバクバクと早鐘を打っていた。それに気付いているのかいないのか、鋭峰は下を見下ろして爆発のあった近辺で動き回っている数人を確保するように指示を出す。
「ルー少佐、董大尉はまず説得を試みる事を優先するように」
「「了解です!」」
 2人が答える間にも時々雪に埋まりながら逃走する小さな集団の進行方向を押さえる為、ルカルカと蓮華はある程度の距離を取って雪原に降り立った。彼らの背後には鋭峰と追いついたダリル、そして【インビジブルトラップ】を仕掛けたスティンガー・ホーク(すてぃんがー・ほーく)が退路を失くしてしまった。
「はい、そこまで。何のテストやら実験やらしていたのか知らないけどねぇ……荒地でやっても皆喜ぶだけでしょ? 説得で済んでる内に降参しておこうよ、実力行使の説得になる前に」
「でも……この人のおかげで団長と一緒に調査に来れた訳だし……はっ! い、いえ私情を挟んじゃダメですよねっ」
 挟まれたハデスと『特戦隊』達は前方のルカルカと蓮華、後方の鋭峰とダリル、スティンガーの包囲に嵌ってしまっていた。
「くっ……俺とてこんな失敗をする予定ではない! こうなったら、アジトの自爆を……!」
「ああ、それなら無効にさせてもらったぞ。ハデス」
 ひょい、とダリルがハデスの前に差し出したのはハデスの 発明品であった。それと同時にダリルはハデスへ懐柔策を打ち出す。
「なあ、ハデス……せっかくだから隊員まとめて雪のレジャーに切り替えないか? 訓練の名目なら問題ないだろう」
 否、と言えない雰囲気で説得をするルカルカとダリルの迫力にハデスは首を縦に振ってしまうのだった。


 ◇   ◇   ◇


 鋭峰は大雪の原因はハデスによる実験ミスだと結論付けると、後は自然に融けるのを待っても良いという判断から教導団へ戻ろうとしていた。
「私は先に戻るが、せっかくの雪だ。既に遊んでいる者達もいることだし労を労うついでと言ってはなんだが……少し遊んでいくといいであろう」
 鋭峰の言葉に一も二も無く遊びに行ったセレンフィリティとセレアナ、シリウスとサビク、陽一もノーンやエセル、さゆみや結奈に混じり出した。
「団長も一緒に遊びましょう! 雪が融ける前にスキーでも如何ですか?」
「そ、そうです団長! ここまで来たのですから、それに団長に飲んで頂きたくて温かいコーヒーも作ってきていて……」
 ルカルカは鋭峰をスキーに誘い、蓮華は手作りのコーヒーを差し出そうとアレコレと鋭峰を引き留める。ダリルは既にスキー用のスロープを作っており、スティンガーは使わなかった【インビジブルトラップ】を撤去している。
「団長、ここで断っちゃ男が廃るでしょ。原因も解って犯人も確保した、こうなりゃ先に遊んでる子達も混じって雪合戦でも面白いと思うぜ」
 スティンガーの言葉も一理ある(?)と思ったのか、軽く息を吐いた鋭峰はこの時だけ上司の顔をやめるのだった。

(ここで終わっては悔し過ぎるであろう……! そうだ、雪合戦か……)
「あー……ごほん、騒がせたお詫びに俺達が雪玉を作ってやろう。存分に遊んでくれ」
 言いながら既にハデスとペルセポネはせっせと雪玉を作り始めた。蓮華の淹れてくれたコーヒーを飲みつつ、鋭峰はハデスを見張っていたがルカルカや蓮華とのひと時の休息に一瞬の隙が生まれた。
「これをくらうのだ金 鋭峰! 【武器凶化】でガチガチに固めた雪玉だ!」
 ハデスの投げた雪玉は【魔力解放】で強化され、速度を上げて鋭峰へ真っ直ぐ向かっていくが――

 ボコーーーーーーーン!!

 ルカルカが構えた『星辰手甲『神顕』』で造り出した半径2メートルの特殊力場が雪玉を跳ね返し、そのままハデスへ当たってしまった。
「ぶっっ!」
「団長に挑むなら……私を超えていけ!」
 先程まで鋭峰へ見せていたにこやかな顔はどこにもなく、態度を急変させると立ち上がったルカルカの頭上には【火門遁甲・創操焔の術】で溶岩の塊が生み出されている。同じく、蓮華は【ファイアフェスティバル】を既に放ってハデスとペルセポネが作った雪玉を精霊たちが融かしつくしてしまった。
「団長になんて事を……! ご無事だったから良かったものの」
 蓮華は鋭峰の前に立ちはだかり、どこから何が来ても『ホークアヴァターラ・ソード』で叩き落とせる体勢を取っていた。

「たんぽぽ頭があの溶岩の塊落としたら、スキーは無理だな……」
「ガイザック、お前さん気にするとこはそこか?」
 お互い、パートナーの脊髄反射の速さにただ感心するだけで止める事はしない。ルカルカが至極良い表情でハデスを見下ろし「覚悟はいいかな?」とニコニコ笑顔で訊ねると、流石に彼も降参せざるを得ずどこから出したのか白旗を挙げて振っていた。