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リアクション
ジャタの森 某所
「……そんなことがあったなんて」
“蛾”の応急処置により、ある程度まで回復した歌菜は彼の語る『偽りの大敵事件』の経緯を聞き、小さく頷いた。
「僕達――僕とこころさんはとある超能力研究所にいたんです。その研究所とエッシェンバッハ・インダストリーが提携関係にあった関係で、彼等が開催するイベントに呼ばれていたんですよ。そしてそこであの事件に巻き込まれ、スミスという人と出会ったのです」
話をじっと聞き入っていた歌菜。
そうしていると不意に念話でいきなり話しかけられ、彼女はびくりと震える。
『どうしたの? 意外そうな顔ね?』
念話自体には慣れているものの、話しかけてきた相手が相手なだけに歌菜は驚きを隠せない。
さっきからじっと黙して語らず、それどころか身じろぎ一つせず、まばたきもしなかった少女。
その少女が、自分から話しかけてきたのだ。
「え、ええ」
『悪のテロリストにもそんな人間臭い過去と戦う理由があるのは、やっぱり意外なのかしら?』
「確かに意外といえば意外でしたけど。それよりも、あなた達のような優しい人が何の理由も無くあんなことをしてるんじゃないってわかって、なんて言うか、その変な言い方かもしれませんけど……どこかすっきりしました」
『そう。あなたとはこんな出会いをしてなければ、友達になれたかもね』
「え……?」
唐突にそう言われ、歌菜は思わず呆けた声を出してしまう。
話の通じる相手だとは思っていなかったが、まさかこう言われるとは思っていなかったのだ。
「そうですね。私もそう思います。でも、今からでも遅くはないんじゃないですか。これからでも友達になれば」
我に辺った歌菜が言葉を返した直後。
飛行ユニット、それもイコン特有の噴射音が辺りに響く。
「おや、どうやら迎えが来たようですね」
“蛾”が告げると、濃緑色の機体が六つその場に降り立った。
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