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リアクション
現在、2024年。シャンバラ、早朝。
「さぁ、アイシャちゃん、美味しい朝食のためにお買い物をしよう!」
「はい。朝ですから新鮮な素材で溢れていますね。詩穂の本命は何ですか?」
騎沙良 詩穂(きさら・しほ)と吸血鬼の少女 アイシャ(きゅうけつきのしょうじょ・あいしゃ)は仲良く朝食のための新鮮な素材を求めて市場のあちこちを楽しくぶらついていた。
「ん〜、新鮮な卵と牛乳かなぁ。今日は詩穂が作りたい気分だから美味しい朝食を作るよ。折角、お泊まりに来たアイシャちゃんのためにも」
詩穂はおもむろに答えてから隣のアイシャににこぉと笑いかけた。
「とても嬉しいですが、朝食は何を作るんですか?」
アイシャも笑い返すなりここまで聞いてない朝食内容を知りたくて訊ねるも
「秘密だよ。でも美味しいのは保証するから。楽しみにしててね」
詩穂は良い笑顔を浮かべるばかりで口にしない。
「分かりました。期待していますね」
アイシャは訊ねても無駄だろうと察し訊ねる事を諦め、期待を膨らませる事にした。
目的の物を購入してから帰宅し詩穂は美味しい朝食を作った。
それは
「どうぞ、シュガートーストだよ。お好みでシナモンをかけていいよ♪」
食パンを卵をといた牛乳で浸してフライパンで焼きあげた喫茶店風の朝食だった。
「……美味しそうです」
アイシャは喜びお言葉に甘えてシナモンを振り掛けて
「……焼き立てでとても美味しいです」
美味しく食べた。
「お粗末様です」
詩穂は朝食を食べるのを忘れてにこにことアイシャが食べる様子を眺めていた。
この後、穏やかな朝食を終えると二人はヴァイシャリーやツァンダで雑貨店巡りのデートに繰り出した。
昼。
雑貨巡りを楽しむ中丁度昼食時になり近くの喫茶店に入り
「……こういう何気ない一日もいいよね」
「はい。平和でいいですね」
のんびりと軽い昼食を食べながら窓から外の風景を楽しむ詩穂とアイシャ。
「……この先もずっとアイシャちゃんとこうして過ごす事が出来たらいいなぁ」
詩穂はふと将来の事を洩らした。
「そうですね。でも……」
アイシャは詩穂の言葉を嬉しくも思うも自分は吸血鬼で詩穂は地球人という寿命に差がある現実に口ごもった。
しかし
「分かってるよ。アイシャちゃんの言おうとしている事は。それでも一緒にいたいんだ」
アイシャがみなまでも言わなくとも詩穂は分かっていた。その上で隣にいたいと思っているのだ。その気持ちはきっと未来も変わらない。
「私も一緒にいたいです」
アイシャはほんの少しだけ切なさを含みつつも笑んだ。
他には
「折角、かげがえのない仲間に出会えたからみんなと一緒に時々でいいから計画を立てて旅行に行きたいなぁ」
詩穂が仲間の事でしみじみと思い返したり
「賑やかになりそうですね」
アイシャは光景を想像したのか笑いを含みながら言った。
「なるよ。食べたり飲んだり観光したり……旅行って賑やかに行かなきゃ!」
詩穂はテンション高く声高に言った。すでに旅行に行った様を想像していたり。
「そうですね」
アイシャは詩穂の様子に微笑ましげに笑みをこぼした。
この後、二人はまったりと昼食を楽しんだ。
そして、昼食を終えた二人は雑貨店巡りに戻り存分に楽しんでから帰宅し夕食作りを始めた。
夜。
「アイシャちゃん、この味どうかな?」
詩穂は隣でサラダを作るアイシャにおかずの味見をして貰うと声をかけた。
「……味見、ですか?」
アイシャが作業の手を止めて振り返ると
「うん。はい、あーん」
詩穂が味見をして貰おうとアイシャの口におかずを放り込もうとしていた。
「……えと、頂きますね」
恋人定番のあーんに少しだけ照れながらもあーんと口を開けて詩穂に放り込んで貰った。
「……」
アイシャは咀嚼しじっくりと口内に広がる味を楽しむ。
「どう? もう少し味を濃くした方が良かったかな?」
恐る恐るな調子で訊ねる詩穂に
「いいえ、丁度いいです。さすが詩穂です!」
アイシャはパチパチと手を叩きながら褒め称える。
「ありがとう♪」
詩穂は大好きな人に褒められ、本日大満足。
こうしてのんびりと一緒に作った夕食を食べたりお喋りとしたりと時間はあっという間に過ぎて就寝の時間になった。
就寝時。
「……こういうの恥ずかしくてあれだけど、その……いつもありがとう、私もあなたのことを愛しています」
詩穂は隣に横になってるアイシャに唐突にいつもは言えない感謝を口にした。ちなみにお泊まりという事で一緒に寝ていたり。
「……詩穂、どうしたんですか? 急に……嬉しいですけど」
唐突な事にアイシャは不思議そうに詩穂の横顔を見つめた。
「柄じゃないけど、本心だよ。あとね、アイシャちゃんが生まれてきてくれて詩穂と出会ってくれて本当に嬉しくてありがとう!」
詩穂は隣を向き、真っ直ぐにアイシャの顔を見つめながら笑顔で心底感謝。
「……それは私もです。大好きですよ、詩穂」
アイシャは頬を染めながら嬉しそうに言葉を返した。
同時に
「……アイシャちゃん?」
詩穂は手に感じた温かな感触に不思議そうな顔をアイシャに向けた。
「……こうすれば夢の中でも詩穂と一緒ですから」
アイシャはほのかに頬を染めながら詩穂と繋いだ手を見せながら言った。折角のお泊まりだから夢でも一緒にいたいと。
「うん、手、離さないよ。夢でも一緒だからね」
詩穂は嬉しそうにぎゅっとアイシャの手をしっかりと握り締めた。
二人は手を繋いだまま眠りに就いた。
その寝顔は幸せそうであった。きっと夢の中でも二人一緒だろう。
何気ないが愛おしい一日が終わった。
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