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昔を振り返り今日を過ごし未来を見よう

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 現在、2024年。空京、朝。

「……随分買ったね」
 下川 忍(しもかわ・しのぶ)は手に持つ荷物を見ながら先を歩く赤坂 優衣(あかさか・ゆい)に言った。自分の荷物もあるが優衣の荷物もあったりで。
「街を歩いていると色々と欲しい物が目に入って……ついね」
 優衣は少しだけ申し訳無さそうに言った。
 忍と優衣は仲良く街をぶらつき、あちこちで買い物を楽しんでいた。
「まぁ、いいけど。それよりもうそろそろ昼時だけど、どうする?」
 忍はふと時間を確認して昼時が近い事に気付き、優衣に訊ねた。
「……お昼……あぁ、もうそんな時間なのね。時間が経つのは早いわね」
 言われて優衣も時間に気付くなり可愛らしく小首を傾げるも
「折角、外に出てるし外で食べよう。あそこの喫茶店はどう?」
 すぐにどうするのか思いつき、前方に喫茶店を発見するなり指を差して誘った。
「いいね。あそこにしよう」
 特に反対する理由も無いので忍は賛成した。
 そして二人は喫茶店で昼食を取る事にした。

 喫茶店内。

「ここ結構美味しいわね」
「そうだね」
 優衣と忍は美味しく昼食を食べていた。
「……こういうの恥ずかしくてあれだけど……」
 忍はふと食事の手を止めて優衣を見て
「その……いつもありがとう」
 僅かに微笑み感謝の言葉を口にした。
 途端
「何、急に……柄にもない事言って」
 優衣は驚いた顔になり頓狂に聞き返した。
「そうかな?」
 忍は小首を傾げながら言う忍に
「えぇ、でもお礼を言うなら私の方よ。いいえ、してもしきれないわ」
 優衣も食事の手を止めて
「だって、百合園に通う羽目になったのは私のせいなのよ」
 少し申し訳無さそうに言った。
「……そうだね。でも君は教えてくれた。どこまで行っても、人は自分の性からは逃れられないが、それを受け入れた上で人は未来を見なきゃいけない、と」
 忍は口元に笑みを浮かべつつ思い出していた。優衣との約束で百合園女学院に通っていた事を。現在は優衣に約束はもういいと言われて蒼空学園に転校し生活している。
「……まだあの時の夢は見るけど、百合園で学んだことは先に繋げればいい……得た経験は人生にとって無駄な事は一つも無いと言うからね」
 忍は苦笑いと共に喉を潤しながら言った。優衣に嫌がられたため百合園女子学院に入学する事になったのに今口にしているのは怒りでも恨み言でもなく、感謝と将来の事。
 それが優衣にはきいたらしく
「強いのね、あなたは。だから少し心配なんだけど」
 溜息混じりに言葉を洩らす。
「……心配ありがとう」
 忍は笑いながら言うと
「また柄にもないと言うかもしれないけど……」
 と前置きをしてから
「僕は君以外の人と恋人になったけど、君は僕の大切なパートナーだから……これからも」
 笑顔で言った。
「……ありがとう、忍」
 忍の言葉が心底嬉しかった優衣は微笑を浮かべて礼を言った。
 そして
「……食事が終わったらまた街をぶらつくわよ」
「あぁ、存分に楽しもう」
 優衣と忍は食事に戻った。
 昼食を終えたらまた街を歩き回りあちこちで買い物をして、一日を存分に過ごした。