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リアクション
第2章 眠りし女王 8
先行して魔物退治をする任を請け負った杠 桐悟(ゆずりは・とうご)は、仲間たちと小隊を組んでトンネルを進んでいた。
それこそはやはり教導団員の成せる技か。前列、後列と分けられた役割分担によって、隙間のない戦闘スタイルを生んでいる。
が――まあ、そこはさすがに、真正な教導団員気質を持った軍人で構成されているわけではないからだろう。
「晶……あまりうろちょろとするな」
敵が現れないことに暇をもてあましたのか、伊達 晶(だて・あきら)はトンネルの中を観察して回っていた。そのことに対して、桐悟が眉をひそめながら注意を喚起した。
「まあ、そう言うでない、杠殿」
晶の返事は飄々としたものである。
「あまり気を張りすぎては、見えるものも見えんというものじゃ。第一、そうそう敵など現れ――」
仰々しく講釈を垂れるように言い繕うその最中、敵であるゴブリンやオーガの一群が現れたのはその時だった。
だから言ったのだ――そんな顔つきで、桐悟はすぐに仲間たちに編成を命じる。
晶もここに来てまでふざけるつもりはない。朝霞 奏(あさか・かなで)は後方に動き、晶は前列で桐悟の隣に並ぶ。
ジャンヌ・ダルク(じゃんぬ・だるく)が、桐悟の目線での指示を受けて飛び出した。
「縋るは数のみの雑兵どもに、我らが行軍を遮る事こそ、愚の骨頂――烏合の輩など、我らが蹴散らしてくれようぞ!」
彼女の役目は突貫人員。
つまりは先手必勝の一撃を与えることである。ジャンヌは敵数体を剣で斬り裂くと、すぐに飛び退いて桐悟たちのもとに戻った。それから、彼女は盾を構えて防御に転じる。次からは彼女の役目は小隊の防衛に専念することにあった。
「ジャンヌ、回復を……っ」
「ええ、ありがとうございます、奏嬢」
後方から奏が回復魔法のヒールを唱える。
ジャンヌが治癒されている間に、前線の桐悟と晶が敵を戦った。
「数に任すは雲霞の如く。質が勝つか量で負かすか、正に山崎天王山。杠殿、将に足るかはこの一戦、よい試金石じゃのう」
そんなことを桐悟に囁きながら、不敵な笑みを浮かべつつ晶は立ち回る。その手に握られる高周波ブレードが、敵を斬り裂いた。
桐悟はオーガと向き合っている。さすがにゴブリンほど頭は悪くないらしい。こちらの力量を計っているような雰囲気があった。
が、桐悟は容赦はしない。
「悪いが、この道は一方通行でな……逆行は制裁対象だ!」
こちらから仕掛けると、オーガを光条兵器の直刀で斬りつけた。刀に帯びた炎の力による“爆炎波”が、斬り裂くだけではなく相手を焼き尽くす。
見事な連係プレーによる戦い。
「みんな、ひるむなよ!」
桐悟は周りを見回して、仲間たちに気合いの一声をかけた。