リアクション
○ ○ ○ 作戦終了後、アルカンシェルの艦橋にいた、マルティナ・エイスハンマー(まるてぃな・えいすはんまー)と、イルゼ・フジワラ(いるぜ・ふじわら)、イルゼのパートナーの機晶姫、シュピンネ・フジワラ(しゅぴんね・ふじわら)は、パートナーの剣の花嫁、フェイト・シュタール(ふぇいと・しゅたーる)と共にイコンを駆って戦闘に参加していた松平岩造らと共に、報告書を作成していた。 報告書は、勿論作戦に参加した全員が提出するもので、各々自分の戦闘データなどを提出し、それらを総括することによって、今後に生かされる重要な資料となる。 だが、イルゼ達が作っている報告書は、それとはまた、別のものだった。 「エリュシオンも、参加している作戦ですから……この後に、両国間で、会談などが行われる可能性がありますし〜。 その時に、問題点として挙げられるべき事項かと、思うのですぅ」 イルゼが、シュピンネを見た。 「シュピンネ、項目の、リストアップと〜、概要説明をお願いしますぅ」 「了解であります」 シュピンネはぴし、と背筋を正す。 「項目として挙げられるのは、 1・今回の作戦の結果報告、 2・指名手配犯がイルミンスールに在籍、一時は教頭に就任していたという事実、 であります」 「万博の時に、逮捕しようと思ったんだが」 岩造が苦い表情で言う。 「同じロイヤルガードに邪魔をされてしまってな」 「追記するのであります」 「奴はロイヤルガードでありながら、指名手配犯と恋人関係にあるそうだ」 岩造のパートナー、機晶姫のファルコン・ナイト(ふぁるこん・ないと)が、彼の言葉に捕捉する。 「ロイヤルガードの合コンに参加していた」 「追記するのであります」 「マルティナ様は、どう思われますかぁ?」 イルゼはマルティナに訊ねる。 「……そうですわね」 マルティナは逆に訊ねた。 「イルミンスールは、その指名手配犯を庇っているのですか?」 「……そうと、断定は、できないですねぇ」 「でも、そう取られてしまいますわよね。 自分は、イルミンスールは国家より立場が上なのか? と感じてしまいましたわ。 何故ロイヤルガードの方が犯罪者を庇ったのでしょう……?」 「確かに、看過できない問題ですわねぇ。 色々と、付随する懸念事項も、出てきますし〜」 イルゼは、小さく溜め息を吐く。 「ロイヤルガードさんの方には、何の処罰もないのでございますか?」 「現在のところは」 マルティナの問いには、ファルコンが答えた。 「こうして、報告書を提出することで、上の方で、対策を講じてくれれば、よいのですが。 ――あとは、この報告書を、できれば、アイシャ女王に直接渡せれば……」 「それは、難しいだろうな」 冷静に考えて、と、イルゼの言葉に答えて岩造が言い、ファルコンも頷く。 告発資料だからと言って、すぐに、直接女王に渡せる、といった簡単なことではないだろう。 「内部告発が無視されるようなことがあってはならないのであります!」 シュピンネの言葉に、イルゼは頷く。 「ですから、万一妨害されない為にも、女王に直接、と、思ったのですけどぉ。 上手く、根回しできれば、よいのですが」 イルゼは岩造達を見た。 「情報をくださいまして、ありがとうございましたぁ」 「役に立てれば幸いだ」 また、月に向かった者達が任務を果たしたという報は、シャンバラに残った葉月 可憐(はづき・かれん)とパートナーの剣の花嫁、アリス・テスタイン(ありす・てすたいん)の元にも届いた。 二人は多くの契約者達がシャンバラを不在にする中で、女王アイシャにもしも何かがあってはと、彼女の護衛をしようとしたのだが、空京のシャンバラ宮殿には、他に護衛の為の騎士や衛兵がいるとのことで、宮殿の外部警備に回されたのだ。 「まあ、女王様に何事もなくてよかったよねぇ」 アリスの言葉に、可憐は頷く。 結果として女王に対する襲撃などは一切行われなかった。 それも警備が厳重であればこそであろう。 「……本当は、宇宙に行って功績を立てるのが、復学を願い出る為にはよかったのでしょうけど」 天御柱を放校されている彼女は、何とか戻りたいと願っていた。 しかし今回の警備では積極的な功績とはなりにくいだろう。 「他に、いつか名誉挽回する機会は来るって。焦らず頑張ろ〜」 アリスがのんびりとした口調で慰め、そうですね、と可憐も頷いた。 担当マスターより▼担当マスター 蒼フロ運営チーム ▼マスターコメント
●九道雷GM |
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