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【創世の絆】その奥にあるものを掴め!

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【創世の絆】その奥にあるものを掴め!

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 と、いうわけで……
 思い切りサイドアップに結わえられた髪型のせいでいつもと違うバランスを気にするように、香菜は森の奥に向かうことになった。
「皆さんが手分けして森の中を調査してくださったおかげで、全体の地図がかなりできあがってきているから……」
 自身のHCを確かめて、アルクラント・ジェニアス(あるくらんと・じぇにあす)が言う。
「それで、どうするの?」
 と、聞くのはシルフィア・レーン(しるふぃあ・れーん)。周囲の景色に見とれそうになりながらも、この水晶の恐ろしさを考えると、
 背筋が寒くなりそうだ。
「水晶化の根本的な原因を探りたいわ」
「それが分からなければ、治す方法も分からないですもんね」
 休憩をたっぷり取って元気を取り戻した香菜に、茅野瀬 衿栖(ちのせ・えりす)が頷く。
「地図ができたおかげで、森の中心部がはっきりと分かるようになってきた。最短ルートで森の中央に向かい、その地点に何があるのか確かめる」
 流れるようにレオン・カシミール(れおん・かしみーる)が目的を説明した。
「この場所に長居するのは危険だ。だから、全貌をまず把握した上で、最短ルートを見極める必要があった」
 そのため、調査隊は森の中をくまなく探し回っていたのだ。
「森が水晶化したのだとすれば、水晶化が始まった場所があるはず。それを確かめよう」
 と、アルクラント。
「気をつけてね。メルヴィアさんでも抗えなかったもの……私たちも、警戒しすぎてしすぎってことはありません」
 衿栖も武装を確かめている。んく……と、香菜の細いのどが鳴った。
「……はい」
 そして、きっと前方をにらみつける。
 その視界には、立ち並ぶ水晶の木々。森全体にを透かされた光が複雑なプリズムを描き出し、極彩色の異様な風景を描き出している。
 そして……
「これは……!」
 その光景に、誰もが驚きの声を上げた。
 木々と変わらず、硬直した人の形をしたモノ。
 水晶を削って描かれた像のようにしか見えないそれは……
「水晶化……してるのか?」
 最初に冷静さを取り戻したレオンが呟いた。肌も、髪も、拓かれたままの目も、衣服も、そのすべてが周囲の風景と替わらぬ水晶と化している。
「メルヴィア大尉の状態に似ているけど……でも」
 香菜は、その水晶化したものをじっと見つめた。
「この人たちからは、生きてるって感じがしないわ……」
「生命力を失ってしまった……って、ことでしょうか」
 油断なく周囲を見回す衿栖。だが、彼女の感覚が告げたのは、襲いかかってくるかもしれない脅威ではなく、この森の中には、水晶と、水晶になってしまったものしかないという確信に裏打ちされた恐怖だった。
「素敵……とは、とても言えないな……ずっと昔から、この姿でいたのかな……」
 さすがにアルクラントも、この状況に冷静さを保つのは難しい。目の前にあるのは、生きているのと変わらない姿で水晶になった元人間なのだ。
「これって……僕たちと一緒に来た人じゃないよね。もしかして、ニルヴァーナ人?」
 ぽつりと、シルフィア。
 その言葉を否定する理由はなかった。
 水晶の森の最奥には、ただただ死が広がっていたのだ。