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魂の器・第2章~終結 and 集結~

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魂の器・第2章~終結 and 集結~

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 17 壊れた機晶姫発掘!

 ――確かに、機晶姫は瓦礫の下敷きになっていた。土煉瓦の間から、少女の姿が確認できる。肩の辺りで綺麗に切り揃えられた黒い髪。閉じた瞼。胴体と腕が繋がっている。胴体と首も繋がっている。もしや、脚も……?
「修理出来そう……ですね……」
 響子が呟き、ラスはやれやれと溜息を吐いた。
「……上の方の瓦礫からどかしてくか」
「機晶姫を助けるんやな! ちー、兄ちゃんに任しとき!」
 そうして、地道な発掘作業が始まった。

 その頃、こちらでも。
 瓦礫の傍で機晶石を探していたニーナが、何かに気付いたように動きを止めた。
「あれ、これって……」
 隙間を覗き込んで中を確認すると、立ち上がって瓦礫を両手で抱える。
「スタンリー、ここの瓦礫をどけるの手伝ってください」
「あ? 今度はなんだ、目的のものでもあったのか?」
 怪訝な顔で、スタンリーが近付いてくる。
「いえ、中に機械の腕のようなものが……」
「腕だあ?」
 気が進まない様子ながら、スタンリーもそれを目視して2人で瓦礫をどけていく。1つ1つが大きく重く、積みあがっている量も多かった。苦労して作業をしていく内、徐々に別の箇所も見えてくる。腕だけではなく、足先や腰のあたりも。現在確認出来る部分だけでも大分壊れている上、まだ半分近く瓦礫の下ではあるが――
「……これ、機晶姫でしょうか?」
 ニーナが疑問符付きで言うと、スタンリーはあっさりと首肯した。
「ああ、姫って外見じゃなねえしやたらでけえけど、こいつは機晶姫だな」
「……やっぱりですか……」
 一見して2メートル以上ありそうなそれを見て、ニーナは何か黙考している。一方、スタンリーは何とはなしに機晶姫の身体を眺めていた。
「こんなもん見つけてもどうしようもねえだろ……って、まだどけんのか?」
 作業を再開しだした彼女に驚き、まさかと思いつつ訊いてみる。
「これ、持ち帰る気か?」
「はい。この依頼をしてきたところには機晶姫にとても詳しい人がいるそうだから、持ち帰れば、もしかしたら……」
「……ちっ、しょうがねえな……」
 更に作業を続けることしばし。だが、件の機晶姫の全容は未だ見えてこなかった。一部、潰されたままの部位がある。
「……駄目です。これ以上はどかせません」
「この状態だと、どっか壊さねえと出せないだろうな……」
「露出した所だけでも持って帰りましょう。なくなった所は、瓦礫の下に見えるのや他のパーツから想像して補えばなんとか……」
 そう言って、2人は機体の手足の一部を壊して頭部や胴、壊した先の手足を引っ張り出して集めた。体長2メートル以上なだけに、その重量はかなりのものだ。
「ふぅ……」
 土埃に塗れた身体で、腰を伸ばして汗を拭く。
「後は、この機体を持って帰らないとですね……」
 そこで、少女型機体の発掘を終えた社が気付いて近付いてきた。
「お? これまたでっかいなあ! 運ぶの大変やないか?」
「ええ、今、どうしようかと考えていたのですが……」
「うし! 俺が手伝って運んだるわ! どうせ行き先は同じやしな!」
 そうして、まずはと入口近くに運んでいく。それを見て、千尋がはしゃいだ声を上げた。
「わー! やー兄力持ちー!」
「そうやろそうやろ!」
「みなさーん! そろそろ休憩しませんかーーーっ?」
 真菜華が皆に呼びかけたのは、そんな時だった。

                           ◇◇

 2体の機晶姫の発掘作業が行われている頃、エースとメシエは機械類がごてごてと転がっている部屋を探索していた。
「……ふむ。この部屋では機晶石にトラブルが起きた時の対処について研究していたようだね」
 メシエは、倒れて脚の折れた机から書類を引っ張り出し、読んでいた。どうやら日記の類らしい。
「それじゃあもしかして……ファーシーの修理に役立つ機械か何かもあるかもってことか?」
「それは、まだ判らないのだよ」
 メシエは室内を見渡す。転がっている機械は皆、ひどく壊れていた。あらゆる隙間から砂や土が入り込み、原型が残っていても何かひしゃげていたりと稼動するかは甚だ怪しい。何か大きなものに踏み荒らされたような形跡もあることから、ゴーレム化の際にファーシーが生み出したというゴーレムが動き回ったのかもしれない。
 機械をいろいろとチェックしつつ、メシエは少し残念そうに言う。
「ここの施設がもう少ししっかり残っていれば、ファーシーの修理のみならず、他の機晶姫の改造製作等に大きく寄与出来ると思うのだけれどねぇ」
「確かに、すごい壊れっぷりだものなあ。荒れ具合もひどいし。まあ、5000年間放置されてた上にゴーレム化したり、倒れて崩れたりとかしたみたいだから仕方ないかもしれないけど」
 エースも現存の機械の砂を払いながら何か無いか、と探してみる。その中で、更にメシエは語った。
「私は機晶姫や剣の花嫁は『兵器』であり、我々が使う道具だと認識している。だからこそ……」
「それ、あっちに戻ったら言わない方が良いよ。お星さまにされるかも……」
「む……いや、だからこそだね、大事にもしたい訳なのだよ。製作者の愛というやつだな。ファーシーにしろ他の機晶姫にしろ、半分壊れたまま放っておくのは忍びない」
 、メシエも機械をチェックしていく。内心では、ファーシーの脚は皆で寄ってたかって直しそうだがとか思っている。
「この中のどれかは、何かの役に立つだろう。使えるものを見つけるまで頑張ろうかね」
 そうして、探索チェックをすることしばし。
「ん? これは……」
「あ、いた! 休憩ですよーーーーーっ!!!」
 そこで迎えが来て、2人は見つけたものを持って皆の所に戻った。