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死いずる村(後編)

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死いずる村(後編)
死いずる村(後編) 死いずる村(後編)

リアクション

 
 
『あー、あー……』
 画面の中で彼は笑った。

『どうも初めまして、駄目人間ラムズ・シュリュズベリィ(らむず・しゅりゅずべりぃ)です』
 それから、モニターの中の映像はぞんざいに滑って風景を映し出した。
 山間の小さな村の風景だ。
『今、この村は死に溢れています。
 死人という、死んで、なお動き回る者たち。
 彼らは生者から生気を求め、そして、彼らに生気を奪われた者は、彼らと同じ死人になる。
 そうして――死人は増殖していく。
 “秘祭”で封印を行わない限り……』
 男の声はそれから、幾つかの村や死人や秘祭に関する重要な情報を伝えた。
「なるほど……」
 と、ラムズは頷いた。
「何やら大変な事になっているようですねぇ。しかも、村からは出られない、と」
 昨日の彼の姿と声を残していた銃型HCを見下ろしながら、のんびりと微笑む。
 彼に昨日の記憶は無い。
 彼の記憶は一日が過ぎると白紙に戻る。
 いつの頃からか彼の頭はそういう風になってしまった。
「さて」
 ラムズは銃型HCの録画機能を起動し、カメラを覗き込んだ。
「あー、あー、録れてますか?」
 カメラに映る湾曲した己の顔が締まりなく笑む。
「どうも初めまして、駄目人間ラムズ・シュリュズベリィです」



■□■幕合――補足情報


 今回村人を演じているのは、10名の方々だ。

・山場 愛
・山場 敬
・工藤 頼香
・水島 慎
・小嶋 咲
・鏡  有栖
・河城 綾
・朱芽 美鈴
・六興 咲苗
・童子 華花

 須藤 雷華(すとう・らいか)キャロル著 不思議の国のアリス(きゃろるちょ・ふしぎのくにのありす)童子 華花(どうじ・はな)六鶯 鼎(ろくおう・かなめ)ニーナ・フェアリーテイルズ(にーな・ふぇありーているず)アーシュラ・サヴェジ(あーしゅら・さう゛ぇじ)雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)ベファーナ・ディ・カルボーネ(べふぁーな・でぃかるぼーね)神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)柊 美鈴(ひいらぎ・みすず)
※順不同・敬称略
(!――この場をお借りし、村人役をしていただけた事、厚く御礼申し上げます)


 以下は、村の地名や施設について、現在明らかになっている物である。
・山場神社
・若宮神社
・六角寺
・変電所近辺
・旧山場医院
・山場医院
・山場薬局
・山場分校
・山場本家
・山場本家別宅
・私設図書館
・中央広場
・閻羅穴
・民宿 ハナイカダ






「『人の一生は二度訪れる』」


 死人であり鏡 有栖と名乗るキャロル著 不思議の国のアリス(きゃろるちょ・ふしぎのくにのありす)は言った。

「『完成されたかに見えた世界は破壊され、再び世界は構築されゆく!』」
 鬱蒼と葉々の茂る山の中へと、彼女の声は響いていく。
 芝居かかった調子で両腕を優雅に広げながら、彼女は続けた。
「『ハロー、そして、グッバイ、ハロー!』
 『そう、僕らは二度目の明日を今日に迎えて、三度目の今日を昨日に変えようというのだ。それは永遠』」
 彼女の語調はコロコロと変わった。
 まるで台本に書かれた何人もの台詞を一人で読み上げていくように彼女は言葉を叩き出していく。
「『つまり、わたくしは、かように思うのです』」
 『前編の幕は降りている』
 『今は幕間』
 『休憩はキッチリ13分と3120秒』
 『さあ、お待たせ致しました。れでぃす、えんっ、じぇんとるめん――えーんど、ゆー』
 『かくして幕は上がり、俺は、これを後編の始まりと名付ける』
 『清聴!! 我々は再び暫しの間、死と生の終焉を巡るぽんこつメビウスをひた走る!! 刮目!! 拍手!!』」

 そう高らかに言って――

 彼女は大樹の影の下、へなへなと身体をワカメのように揺らめかせながら地面の上に身体を折りたたんだ。
「……寝た?」
 多比良 幽那(たひら・ゆうな)は、唐突に地面に丸まって眠り込んだ少女を指さしながら、口端をひくっと揺らした。
「なんだったの?」
「気にしている場合では無いと思うぞ、母よ。
 我らも夜に備えておかなければ……」
 樹の幹に背を預けた格好のアッシュ・フラクシナス(あっしゅ・ふらくしなす)が、ぐったりとした様子で言う。
 その膝には、織田 帰蝶(おだ・きちょう)の頭があって、彼女もまたダラダラと眠っていた。
「夜が降りたら、生気を奪いに行かねばならぬ」
「うう、帰蝶のばかー!」
 へし、と幽那に足を叩かれても、帰蝶は、むにゃむにゃと擽ったげに寝返りを打っただけだった。