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ユールの祭日

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ユールの祭日
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●●● ソードキル

「ここでまみえようとはな」
「久しゅうございます」

伊東一刀斎は、徳川家康に一礼した。

伊東一刀斎は弟子の小野忠明(小野派一刀流開祖)を徳川家康に紹介し、後に将軍家指南役とさせている。
二人の出会いは徳川幕府ができるよりも前のことでのことである。

「ひとつ尋ねたい。
 なぜあのとき、貴様はわしに仕えなかった」
「剣にて聞かれよ」

家康は先に述べた小野一刀流をはじめ、馬術、弓術、鉄砲術など武芸百般を修めていた。
しかし彼は小野一刀斎、柳生宗厳という二人の剣豪に出仕を求め、いずれも辞退されている。
このことが気がかりであったのだ。

一刀斎は秘剣『瓶割刀』を振るう。
家康はこれを紙一重でかわし、剣ではなく火縄銃を撃つ。

一刀斎は銃を避けきれず倒れた。

「いまのが一刀斎の奥義、しかと伝えましたぞ」
一刀斎は身を持って剣の秘奥を家康に見せた。
いや、本当は契約者である八神誠一に伝えたかったのである。

もし彼が士官していれば、これほどの業は体得できなかったのではないか。
家康はそのように解釈した。


●●● The Quickening


ユリウス プッロは手傷を負ったが、なお戦う意欲は衰えない。
サクラコは降伏を勧めるが、ユリウスはそれを軽蔑の眼差しで拒絶した。

戦い自体は語るほどでもない。
サクラコがユリウスに近寄り、ただの一撃で勝負を決めたのだ。

ところが、サクラコの武器がユリウスの体に深く食い込み、どうやっても抜けない。

しばらく引っ張ると抜けたが、その刃は信じられないことに歪んでしまっていた。
ユリウスの戦いの意思であろうか。

サクラコはここまで共に戦い抜いた武器に感謝し、それを懐にしまった。
あとは素手にて戦うのみ。

この様子を見ていた天津麻羅はため息をついた。
太陽は昇り、また沈むのだ。


●●● The Sorceror


「ハハハ、やはり避け切れないか。
 薄々気づいてはいたんだよ」

シューベルトは諦念の笑みを浮かべた。

卑弥呼が降ろした英霊は、シューベルトの畏怖する存在。
それはルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンであった。

「いいさ、ここまでこれたことがそもそも間違いのようなもの。
『英雄』、君が先にいけばいい。ここで終わるのが僕の『運命』だ。
 君のあとで、僕にできることがなにかあると思うかい」

シューベルトはそう叫び、失神した。