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新ジェイダス杯第1回

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新ジェイダス杯第1回

リアクション

 

4ターン

 
 
『さあ、清泉北都選手に続いて、次々と選手が機雷地帯に飛び込んでいきます。はたして、無事抜けることができるでしょうか。
 神代明日香選手、華麗な飛行術で、確実に機雷群を避けて行きます。後続の選手のために機雷は残しておく作戦のようです。
 その後を、これまた熟練した操縦技術で天城一輝選手が追います。
 みごとです。両選手、無事に機雷地帯を抜けました。
 今の華麗な飛行術、いかがでしたでしょうかジェイダス理事長』
『みごとだ。みごとな飛行術は、その軌跡そのものがアートとなる。今の二人は、まさにアーティストと言えよう』
『最大限の賛美、ありがとうございました。
 両選手に続いて機雷地帯へと近づいているのは、なんと、リース・エンデルフィア選手です。これは大躍進です。一気に、トップグループに躍り出ました。
 その後ろには、緋桜ケイ選手が一つ順位を繰りあげて続いています。
 5位には、ハーリー・デビットソン選手です。
 その後ろは、佐々木弥十郎選手と綺雲菜織選手がならんでいます。
 これは……。
 ああ、やはりソア・ウェンボリス選手、ライバルたちを一掃しようと、今度はファイヤストームの詠唱に入った』
狂乱の炎よ、舞い踊れ!
「火、やだ!!」
 火炎の予兆を感じて、本能的に彩音・サテライトが隠れ身で姿をくらました。その隙に、綺雲菜織選手が安全な場所へと回避する。
「何度も同じパターンなら、簡単に予測できるねえ」
 ソア・ウェンボリスの攻撃パターンを予測した佐々木弥十郎も、難なく回避していく。
「まったく、容赦ないやないか」
「ここは、急いでターゲットにならないようにする方が賢明ですね。あるいは、一気に引き離すかです」
 帯域魔法を連発するソア・ウェンボリスに、大久保泰輔とフランツ・シューベルトがいったん安全策をとった。慎重に様子をうかがう。
 その後方から、ジェイダス人形を小脇にかかえた笹野朔夜(笹野桜)が走ってくる。
「ふっ、やっとエンジンがかかってきたようですね」
『――単に、身体が温まっただけのような気もしますが……』
 乗ってきたと言わんばかりの笹野桜に、笹野朔夜が釘を刺した。
「とにかく、この勢いに乗って、一気にトップを狙うのです!」
『あ、ちょっと、そんなに俺の身体を酷使しないで……』
 調子に乗られては、明日は完全に筋肉痛だ。たまったものではないと、笹野朔夜はなんとか自分の身体をセーブしながら動かすように念じ続けた。
 
    ★    ★    ★
 
『おっと、後方グループのフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』選手、先行グループの排除にでた』
「我の前で群れる者たちなど、一掃してくれるわ!!」
 後ろから追いついてきたカレン・クレスティアのそばで、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が前方にむかってサンダーブラストの詠唱に入った。
「カレン、こんな所におったのか」
 そこへ、わざわざスピードを落としてカレン・クレスティアを捜しに来ていたジュレール・リーヴェンディがやってくる。
「雷光に消散せよ! 雷帝招来
 カレン・クレスティアがジュレール・リーヴェンディに声をかけようとしたとき、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』の呪文が完成した。皆川陽とエリシア・ボックの前方の一点が輝く。次の瞬間、細かな光の枝を持つスパークが爆散した。閃光につつまれた一帯の大気が電離してオゾン臭がたちこめ、蒸発した海水で白い霧がわきあがる。
「逃がしたか」
 手応えのなさに、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』がつぶやいた。直前でエリシア・ボックは海中に逃れ、クリストファー・モーガンの姿は幻影だったようだ。
「巻き込まれなくてよかっ……」
「カレン!」
 ターゲットでなくてよかったとほっとするカレン・クレスティアに体当たりするようにして、ジュレール・リーヴェンディが進路を変えさせた。そこへ、クリストファー・モーガンのばらまいたしびれ粉が飛び散る。かろうじてそれを回避したジュレール・リーヴェンディが水面を軽く蹴たてながら大きく弧を描いてカレン・クレスティアと左右に分かれていった。
 ジュレール・リーヴェンディが起こした航跡が、後ろから進んできた不自然な波にぶつかって砕ける。
「うん、この大会、箒に乗っている奴らはまったくいい眺めだぜえい」
 未だ姿を隠したままの南鮪が、箒の柄を挟んでプリンと後ろに突き出されたフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』の白スク姿のお尻を堪能しながらつぶやいた。
「どうしたの、マカロンちゃん?」
 何やらしきりにそばの海面にむかって威嚇しているゆるスターのマカロンを見て、秋月葵が不思議そうに言った。
『最終グループ、混沌としております。最後尾は未だ師王アスカ選手ですが、リタイアする選手が出ているため、全体の順位はあげてきています』
 
    ★    ★    ★
 
『それでは、現在の順位です。
 上位争いが激しくなってきています。
 同様に、後続組はほぼ横一線、誰が抜け出てきてもおかしくはありません』
 
1 △神代明日香
2  天城一輝
3 △リース・エンデルフィア
4 △緋桜ケイ 悠久ノカナタ
5 ▼ハーリー・デビットソン
6  佐々木弥十郎
   綺雲菜織 彩音・サテライト
8  大久保泰輔 フランツ・シューベルト
  △ソア・ウェンボリス 雪国ベア
  △笹野朔夜
11△皆川陽 テディ・アルタヴィスタ
  △エリシア・ボック
13▼ジュレール・リーヴェンディ
  ▼フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』
  △クリストファー・モーガン クリスティー・モーガン
  △カレン・クレスティア
17△秋月葵 魔装書アル・アジフ
  △南鮪
19△師王アスカ