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新ジェイダス杯第1回

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新ジェイダス杯第1回

リアクション

 

1ターン

 
 
『さあ、それでは、いよいよレースが開始されます。
 最初に、ジェイダス様のお言葉と宣言に続いて、スタートの合図がされます。
 では、ジェイダス様、お願いいたします』
 シャレード・ムーンに言われて、ジェイダス・観世院が立ちあがった。
『みなの者よ、今日は私のためによく集まってくれた。これから、その己が持てる力を、十二分に発揮して戦ってほしい。勝利は、美しき者の上に輝くだろう。
 それでは、ここに宣言しよう。新ジェイダス杯を開始する!』
『ジェイダス様の言葉に、会場がどよめきます。さあ、いよいよスタートです。
 各選手、すでにそれぞれの乗り物に乗って会場のスタートラインに集合しています。
 最初の激戦を抜け出すのは誰でしょうか。
 今、ジェイダス様がスタートの合図用のアンティークな銃を高く掲げました』
 ドン!
『スタートです。号砲と共にシグナルが青になります。
 各選手一斉にスタート。
 まずは、海上のブイの上に載せられたジェイダス人形を確保します。
 人形は二種類、かつての美青年ジェイダス校長仕様の背後に羽根飾りのついた旧ジェイダス人形、こちらは羽根飾りの分、若干重くなっており風の抵抗もあってやや不利です。けれども、マニアの間には、未だプレミアのつくほどの逸品となっております。
 もう一つは、若返りましたヤングジェイダス理事長仕様の新ジェイダス人形。こちらは、美少年となっており比較的軽量です。
 さあ、各選手、どちらの人形を手に取るのでしょうか』
 
    ★    ★    ★
 
 まずは第一関門の人形拾いから各選手が激しく入り乱れる。
「以前のレースで古い奴は持っているからな、カナタ、新しい奴を頼む」
「任せておけ」
 緋桜ケイに言われて、悠久ノカナタがタイムウォーカーの端から身を乗り出して手をのばした。ブイをかすめるようにして通りすぎ、すれ違い様に新人形をゲットしてタイムウォーカーの上に横倒しに載せる。
「このまま逃げ切るぞ!」
 緋桜ケイが叫んだ。二人の足許にある文字盤の秒針が、カチリと動き出した。その瞬間、二人の乗ったタイムウォーカーが観客の視界から消える。
『おおっと、緋桜ケイ選手、初っぱなからタイムウォーカーの加速機能を使ってきました。本気です。最初から勝負をかけています。一気にトップへと躍り出ました』
 
    ★    ★    ★
 
「よいしょっと。途中で落っことしたらいけないから、ちゃんとないないするですぅ」
『それに続くのは、神代明日香選手です。拾いあげた新人形を背中のリュックの中にポイと投げ入れて口を縛ります。しかし、このリュック大きい、神代明日香選手の身長ぐらいあります。箒型のエターナルコメットにまたがった神代明日香選手、まるで楽器のベースをソフトケースに入れて背中に背負っているかのようです』
 
    ★    ★    ★
 
「ジェイダス様、見てはりまっかあ? お姿はこのようにちゃんと確保しましたでー。これから、ぎょうさん守って見せますで。LOVEでっせー」
『黒船が使えなかった大久保泰輔選手、フランツ・シューベルト選手の運転する小型飛空艇オイレの荷台に新ジェイダス人形を立てた。
 しっかりとジェイダス様にアピールします。
 いかがでしょうか、ジェイダス様、自校の学生たちの頑張りは』
『うむ。我が校は選ばれしエリート揃い。しっかりと私の人形を守りつつ、好成績でゴールすると信じている。
 その勇姿は、このジェイダス・観世院が、しかと目に焼きつけよう』
『ありがたいお言葉です』